「2022年」の記事一覧

管理されることはとても楽だが、たまには自律もしてみたい

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データ管理は私たちを幸福にするか?自己追跡の倫理学 / 堀内進之介

前回の続きから。いつも通り本の内容と感想がごちゃ混ぜ。

▼第3章:定量化される関係性

これは大体、章のタイトルでなんとなく察した範囲かも。
デジタルデバイスによるトラッキングデータで得られることは、「可視化」「動機づけ」「監視(パートナーの位置を特定する)」など。また、アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』で用いられる、人間の心理傾向の計測と数値化を行う「シュビラシステム」、それを使って監視される個人の「犯罪係数」もある、数値化・定量化できることはこのように社会にとって管理しやすい概念になっていく、みたいな話。
言われてみれば、以前読んだ伊藤計劃の『ハーモニー』もそうだったかな。政府改め、生府が普及させている体内監視システム(ナノマシン)を成人に埋め込んで、あらゆる心身の不調をキャッチする、または勝手に医療行為を行う、そして結果をサーバーに送る、みたいなディストピアだったと思う。また、ゲームのステータス「筋力:192」とかも、計量化されて私たちに認識されているな。

▼第4章:測定されるものは管理される

ある人は「文明は、演算操作が考えることなしにできる量によって進歩する」といった。しかしプラトンが記した本の中では、文字は思考力や認知力を退化させるものではないか?と危惧されてもいた。あっ、これゲームさんぽで聞いた「文字は会話をするよりずっと情報量が低くて、だから古代ギリシアの哲学者は文字を信用していなかった」みたいな話だ!
ともあれ、文明が進み、機械化や最適化が進むと、考えなくても良くなる。労力も減り、すべてが楽になる。水を汲むのに半日費やさなくてもよい。蛇口をひねるといったような手軽さで、何も考えずに、大量の結果が得られるのなら、それが一番ではないのか?肉体のや認知の負荷を最小限まで下げつつ、あらゆる成果が手に入る、それが人間が進歩した証では?というのは分かる。
逆に、情報や広告を大量に浴びせ続けられて思考停止になっているのでは?スマホを使うたびに、実家の電話番号を忘れる。己の仕事が電気無しでは成り立たないというのなら、それは己ではなくて電気がやっている仕事だという考えはないのか?と、自らに問うことすらなくなる。生きる意味も誰かに教えてもらうようになる。というのも分かる。この辺りについては、また別途考えるとする。

話を章のタイトル『測定されるものは管理される』に戻して、数値化されたものは管理がしやすい。ただ、それと同時に「測量できるものは管理ができる(分かることは、できるだろう)」と思えば、自己管理からの自己責任といった風潮が日に日に蔓延していくのも止められないだろうし、数値化できるなら効率化を求め、さらに数値は格付けがしやすく、個人のデータはビジネスに飲み込まれ、企業倫理がそれに追いついていないことも考えられる等、本の概要を見て、色々見えるものはあるな……と思わされた。文明速度と思考能力はトレードオフの関係と一概には言えないと思うが、根底に必要なものは、やっぱ人の倫理観ではないか?

今日はここまで!

Togetterメモ。

市民の幸福を管理するコンピュータ様

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データ管理は私たちを幸福にするか?自己追跡の倫理学 / 堀内進之介

データ管理、自己追跡(セルフトラッキング)。私はApple WatchやiPhoneと連携する体重計、それらで収集したトラッキングデータをiOSのヘルスケアに集約し、アプリで解析させたり自分で眺めてニヤニヤするのが割と好きなので(そしてその数値をもとに改善意識が生まれたりするので)、データ管理は我々を幸せにするのでは?レコーディングダイエットでセルフトラッキングしまくっていたせいでなんとかなった覚えもある。データ管理は私たちを幸福にするか〜?YESだね!という先入観のもと、読み進めた。

▼第1章:「分かる」と「できる」の間の深い溝
スーダラ節に「分かっちゃいるけどやめられねえ」と言う歌詞があるが、我々も、ジャンクフードを目の前にして、知識としては「絶対体に悪い」と思っているのに、欲望が自制では止められずに、そのままフードトラップに嵌ってしまうといったようなことは多々ある。こういった状態を『アクラシア』、アリストテレスは意味を「ある行為を悪いと知りながらも欲望のために行ってしまう心の傾向」としたらしい。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」みたいな名言があるが、愚者も歴史くらいは知っている(大体学校で学ぶ)。しかしそれを活かすだけのセルフコントロールがないせいで状態が悪化してしまい、知ってはいるものの、様々なバイアスや状況に流されてしまい、痛い目を見た経験ができてからようやく行動を改善する。しかし、それは愚者だからではなく、もともと人間はそういう性質の持ち主であり(分かってはいるができない)、一部の賢者に『※彼らは特殊な訓練を受けています(分かったことができる)』というテロップがついているだけでは?そうであるなら、我々はこのダメな性質をどうしていったら良いのか?みたいな話だったと思う(うろ覚え)

▼第2章:定量化される自己
例え人間がダメな気質を持って生まれてきたとしても、それを補うことはできる。例えば、物語の主人公のそばには、モラルアドバイザー(道徳的な助言者。お前ならできると言葉で励まし、旅路を助け、時によからぬ道に進みそうな主人公を叱咤する)がいることが多い。現代ならばその役割を、お手持ちのスマホのヘルスケアや各アプリが担ってくれている。(運動量が足りていないと知らせる、朝7時になったら起こすなど)
また、己の曖昧な認識で捉えていた出来事も(たまには自分へのご褒美にアイスを買うか)、具体的な数値にして定量化されると(1週間に5回ご褒美アイス食っとるな)、状況に対しての改善が行いやすくなる。
日記、計量、スマートウォッチによるバイオトラフィック等、自己追跡(セルフトラッキング)を行って己というデータを管理する環境は、すでに現代に浸透している。これらのデータによって「説得」されれば、「分かってはいるができない」から、「分かってはいるができない、しかし、できるようになりたい、何かいい方法はないだろうか?」と意識の改善の余地が生まれる…みたいな話だったと思う(またうろ覚え)

今日はここまで!

前世は君だった

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言葉を生きる / 池田晶子

前回は『第1章 心はどこに』まで読んだので、今日はその続きから。
▼前回

なぜ自分の内にないものが欲しくなるのか?なぜ自分の内にないものが欲しくなるのか?

『第2章 私とは何か』。テーマがむずかしいんだが?
他人と関わることで自分の輪郭を浮かび上がらせること。自分が何者であるかという個性の存在が、逆説的に己を空虚たらしめ孤独にさせること。役回りを持ち、自己証明をしなければならないと背負い込むこと。様々なところで「己」を前提に世界を認識していることになっているが、しかし、前回でも触れた通りに、自分が世界を認識している以上、世界もまた自分の頭の中にあるものである。他人との関わり合いの中で、その他人から見る己のイメージを感じたとして、しかしそのイメージも自分の認知によるところであれば、自分も他人も無いのかもしれない。
また、ときには、ある対象に感動して我を失い、まるで対象と一体化しているように感じることがある。これは、本の趣旨からはズレた感想になるんだけど、中島卓偉というシンガーが『STAY TOGETHER』という曲を作っていて、(ずっと一緒に生きていきたいと思った)「君の前世は僕だった」という歌詞のくだりを思い出したんだよな。好きな人とは一緒になりたい(そばにいたい、共に在りたい)、憧れている人の真似をしたい(近づきたい、取り入れたい、あなたになりたい)、これらのために自我という個をなくしてもよいと思える、そういうことがあるのであれば、やっぱ「己は世界であること」「自分のうちがわに外の世界が収まっていること」は理屈が通るのでは?

本をめくって数分で何が言いたいのかよくわからなくなってきたので、今日はここまで!てちゅがく、こわくて泣いちゃった。

いつやるの?

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独学大全 — 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 / 読書猿

やさしい英語の学習アプリから始まり、1日15問の漢字の書き取り、小学生の国語教材、中学の公民・地理と、最近楽しく学習のお時間を取れているので、興味があるうちに買えとばかりに1000Pを超えるの知の鈍器と噂の『独学大全』を手に取った。紙としばらく迷ったが、Kindleで購入。まあ鈍器が欲しくなったら別途買えばいい、と自分に言い聞かせるが、果たしてどうかな……(メチャクチャ貧乏性)。

さすがに1週間で読破してやるとかそういう類のものではないと思うので、今日から少しずつ読み進めるとする。評判がとてもいい本なので、じっくり学んでいきたい。本日は「第1部 なぜ学ぶのかに立ち返ろう」の「第1章 志を立てる」まで読み、なぜ学ぶのか?の動機づけから掘り下げて、その後の独学のモチベーションにつなげる核を可視化させるところまで読み進めた。

以下は、個人用のメモ。
私が学習したい動機がはいくつかあって、以下の通り。

(1)知識を得れば得るほど、日常で「お?これってこういうことだったよね」みたいな、ちょっとした気づきと楽しみが増える。学ぶことは人生の彩りになる。

(2)ほぼ(1)と同じではあるのだが、本や漫画を読んだり解説系動画を見たりして知識を得た後、散歩したり風呂に入っている途中、急に「あ、つまりこういうことか!?こういう解釈もできる!」とテーマに対して閃くことがあって、その現象がとても好き。この閃きでさらに連鎖的に閃くことがあって、「閃きのばよえーん」に辿り着くと、その瞬間メチャメチャ生き生きとメモをとってしまう。ばよえーんは歳がバレる。

(3)受動的に情報を大量浴びることはあまりよろしくないと考えている。体系立たず整理もできないままゴチャゴチャ覚えられるほど私の頭のキャパシティがあるわけではないし、返って将来頭ボケそう。ちょっと整理しながら、能動的に、興味のある分野を学習する(自分で考えて咀嚼して血肉にする)習慣を身につけたい。

(4)何処かの本で得たやり方で、悩みや考え事、何でもかんでも一旦紙に書き出す癖がつき、頭の中のゴチャゴチャの整理には言語や図形で可視化することがメチャ有効と思い知る。こういうのを知りたいし、活かしたいと思う。

(5)ちゃんと学んだダイエット知識で10kg以上痩せた、つまり、これまでの怠惰な習慣と本能に対して、学習した知識でぶん殴って勝てた成功体験がある。

(6)学生時代に真面目に勉強しなかったのだが、それが今になってちょっともったいなかったな〜と思っている。基礎知識があれば、今まで読んでいた本ももっと楽しくなったと思う。ただ勉強の代わりに熱中していたことで今食っているので、悪いことだったとも思い難い(今得ているこの環境が、私の理想のそれに限りなく近い)。私の勉強したいタイミングは、今だったんだろうな……ということは?いつやるの?今でしょ(結論)

これをもとに、本の中で紹介された『動機付けマップ』を作っていきた…眠い…今日はここまで!

テレビドラマ版のデビルサマナーの小説を持ってた覚えがあるな

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今日もせっせと漢字の書き取りをやっていたのだが、答え合わせの時に、葛藤の『葛』の漢字を間違って覚えていることに気づいて(下の「人」を「メ」=凶の形にしていた)、うーんせっかくだから語源覚えるか!と思い、『葛』の語源をググってみた。

すると、上のサイトさん曰く、くさかんむりと「曷=口と呼気の象形と死者の前で人が死者のよみがえる事を請い求める象形」で出来ているらしく、反射的に「(ソウルハッカーズの)葛葉キョウジ…ってコト!?」とハチワレめいてしまった。道理で葛って魂がなんとか〜みたいなキャラクターの苗字に採用されることが多いんだな。安倍晴明の母であるとされる狐(玉藻前)も、葛の葉を名乗っていたみたいな一説もあるもんな。葛葉キョウジには、ソウルハッカーズ2でも元気にシャッフラーマハラギオンしていて欲しいぜ。

はしゃぎ終わってようやく思い出した。「そういや葛藤って植物のクズとフジだが、どういう語源だ?」も調べてようとしていたんだった。weblio辞書で拾ってきた回答をメモ。はーんなるほど。

葛藤とは、もつれという意味のこと。英語では conflict と訳される。葛藤の葛は「かずら」と読み、藤は「ふじ」と読む。葛も藤も植物の蔓草(つるくさ)で、葛と藤が絡み合ってなかなか解けないことから葛藤の語がうまれたとされる。

weblio辞書