「言語学」の記事一覧

読書:QuizKnock クイズで学ぶ漢字の世界 / QuizKnock

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Youtubeで有名な東大クイズ集団のQuizKnock、漢字の本とか出していたんだ……と思って軽い気持ちで手を出して、パラパラと中身を見たところ、浅はかにも「おっ文章中の漢字に全部ふりがなが振ってあるじゃ〜ん、ということは子供向けの易しいヤツだな」などと思ってしまい、うっかり手に入れたのが全ての過ちだったと言える。異様に問題が難しすぎない!?ターゲット層はどこなんだよ!?まあでもQuizKnockユーザーの小中学生ならこれくらいは手応えのうち……なのか?

QuizKnock クイズで学ぶ漢字の世界 / QuizKnock

QuizKnockお馴染みのメンバーが登場し、難しい漢字の読み方などの漢字クイズを出しては解説付きで答えてくれたりなど、QuizKnockユーザー向けの漢字問題集みたいな本だとは思うのだが、子供向けっぽい雰囲気に反して問題が難しすぎない!?(2回目)

いい年をした大人なのだが、恥ずかしながらイージー問題しか解けなかった……。毎日やっている漢字書き取りアプリくんはこんなエグいクイズは出してこないので、この本の難しいクイズの半分も分からなかったと思う。だ、だって読めるか?白(ベルギー)、海扇(ほたてがい)、牛津(オックスフォード)、兀兀(こつこつ)だよ!?などと、思わず逆ギレしてしまった。
しかしながら、既知の知識がほとんどだろうとナメてかかった大人の私が、いい感じに知らない知識で殴られてワンワン喚きながらクイズに頭を悩ませること自体が面白かったし、これを読むであろう子供たちへも「子供向けです」みたいな風にナメてかかってないというか、面白い漢字が沢山あるんだよ!という雰囲気が感じ取れて、たいへん良かった。他のQuizKnock本も気になってきたな。

読書:音読で外国語が話せるようになる科学 / 門田修平

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音読に興味が出てきて、AmazonのKindleで関連図書を探していたら、こんな並びが出てきて笑ってしまった。

  • 音読で外国語が話せる容易なる科学 科学的に正しい音読トレーニングの理論と実践
  • 外国語を話せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を保身するメカニズム
  • シャドーイング・音読と英語学習の科学

音読 vs シャドーイング vs 音読&シャドーイング対決!普通に最後の本が一番強そう!

音読で外国語が話せるようになる科学 / 門田修平

と思いはしたんだけど、シャドーイングより音読の方に興味が湧いているので、先にこちらの本から手にとった。音読とシャドーイングの違いは、以下の通り。

・音読:視覚情報を音声に変換する(テキストを目で追って発声する。小学校の国語の授業でやったようなやつ)
・シャドーイング:聴覚情報を音声に変換する(英語の学習でよく見る、耳でネイティブの発声を聞いて、すぐに自分も真似するように発声で追いかけるやつ)

シャドーイングは英語学習にすごく効果的!そういう実験結果がいっぱい出ている!みたいな話をよく聞くが、音読に関しての知見はあまり見かけたことがない。
ノーベル賞受賞者の湯川秀樹が幼い頃に漢文の素読(音読)をさせられていたことが後々勉学に繋がったという話や、目でテキストを追うインプットだけよりは声に出して読むアウトプットを行った方が記憶に定着する、音読が出来ないヤツはそもそもテキストを読めていない(目で見ているだけで独自の読み飛ばしや読み方をしてしまっている)、あとなんか音読は脳トレに良い、というフワッとした知識しか覚えていないため、今回ちゃんと読んでみることにした。

この本がいうところの、外国語習得のキモは以下のサイクルを回すこと。

(1)インプット…大量に本を読んだり音声を聞いたりする(リーディング・リスニング)
(2)プラクティス…インプットしたものを脳内に定着させる。インプットとアウトプットのループで強化される。
(3)アウトプット…声に出したり書いたりする(スピーキング)
(4)モニタリング…学習状況を観察し、調整を行うためのメタ認知

このサイクル表を見て思ったんだけど、学習やスキルの習得っておおよそこの流れではないか?と思い至り、そこで一気に興味が湧いてしまった。今井むつみ先生の『学びとは何か』という本を思い出すなあ。どれも大事な工程だとは思うが、私はこの「(3)プラクティス」について興味が湧いた。五感からのインプットを受け、それをアウトプットするためには、途中で脳で噛み砕き、変換する工程がある。入出力を繰り返すことでその処理を高速化し、流暢にし、脳と身体に定着させ、自動化させる、このプラクティス効果が、サイクルのループ、つまり実践において重要っぽい。これについて音読が効果的である、みたいな感じである。なるほど。

また、この本では音読だけではなくシャドーイングの重要さも説いており、大変ためになった。視覚だけではなく聴覚も使い、違う感覚から多様な入力を行い、それぞれを脳内の違う回路で変換し、意味を一致させて声に出す。テキストを目で追っているだけでは外国語を喋れるようにはならないし、音声を耳で聞いているだけでは外国語の読み書きができるようにはならない。特に日本語は必ず母音が最後に来る言語だし、習熟していない外国語の「音声言語(話し言葉)」と「文字言語(書き言葉)」の言語処理には乖離がある。聞く、見る、話す、それぞれ違うアプローチで英語のスキルを習得し、コミュニケーションのため、そして自己表現のために習熟するには、両方を行うことが効果的である……なるほどなあ。

ちょっと惜しいかもと思ったところ。発声時にはパワーポーズが効果的だよ!(力強いポーズを取ると力強く、弱々しい姿勢でいると気も弱く、といったように、その人の姿勢やポーズに人は影響されるのだ!みたいな説)という話が出ていたが、確かパワーポーズの提唱者が「パワーポーズは効果がなかった、もう研究しない」というコメントを出していたような。訂正が間に合わなかったんだろうな。科学とはそういうことを繰り返すものだとはいえ、勝間和代さんの昔の本の傾向でもあるんだけど、やっぱトレンドの最新の学説を自説に取り入れてすぐ本にして出すってこういう怖さがあるかもしれない。

とはいえ、外国語習得のみならず、他の学習においても応用が効く、良い本だった。じゃあ次は、シャドーイングをメインにした本について見てみるか……と思ってスクショを見ながら気づいたんだけど、

全員作者が同じなんだが!?!?!?!?

若者の深刻なジャワ語離れ

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世界の言語入門 / 黒田龍之介

言語学者の著者が、90種の世界の言語ひとつひとつをテーマにしたエッセイをまとめた本。
まだ心がちびくろサンボ問題に引きづられているのかもしれない(サンボは蔑称じゃなくてインド圏内で普通に使われる名前だよという言語知識は絶対万国であるはずなのに、何とかならなかったのか?世界!的な)

1言語の話題を2Pで語る×90言語という、本をどのページから開いても読みやすい形式で、テンポ良く読めた。以下、心の叫びメモ。

「サンスクリット語がまだ日常会話で使われとんのか……ラテン語と同じ分類だと思ってた……」「奥様が勉強してスロヴェニア語を喋られるようになったくだり、夫婦してすご……。え、奥様スロヴェニア語入門の本を出した!?あ、チェコ語教師!?(wikiで見た)東京外国語大学の教授じゃん!」「言語観、当たり前のように飛び交っているけれど、初めて聞く言葉なのよ」「現代ヘブライ語がある!?えっヘブライ語ってもう今は使われない言語なのではと思ったけど、一人の男が情熱を捧げて現代に復活させたらしい。激アツ〜!」

個人的にめちゃくちゃ気になったのが、ポルトガル語のくだり。ブラジル音楽のジャンルであるボサノヴァで有名な曲「ソ・ダンソ・サンバ」、これがポルトガル語だということをここで初めて知り、驚愕した。黒田先生と同じく私もボサノヴァが好きなので、この有名な曲については知っており、ボサノヴァの歌詞ってずっとブラジル語か何かだと思っていたが、ポルトガル語だったとは露知らず……いやまてよ……ブラジルとポルトガルって、世界地図で見たらどの辺に位置するやつだ…?(Googleで世界地図を見る)ポルトガルはスペインの横?ブラジルは南アメリカだから……アッ……植民地……と薄暗い背景を察しつつ、この辺りの歴史も知りたくなった。(さらにググって)……ブラジルポルトガル語って何だよ!興味が尽きないな、もう!

ちょっと話は逸れるんだけど、ここ半年ぐらい世界地図が欲しいな〜とうっすら思っていた。今までは「世界地図を見たくなったらGoogleMapを見りゃいいじゃん」と思って済ませていたけれど、やっぱいちいちGoogle Mapを広げるのも面倒なんだよな。児童向けのお風呂に貼る世界地図のポスターとかないかとAmazonを見てみたのだが、これがそこそこ高い。うーん。まあ、暫くはPCのトリプルモニターのうち、一番使わないモニターの壁紙にしとくか……と、適当に拾った地図壁紙をデスクトップに貼り付けたのだが、これが面白くてずっと見てしまっている。例えば、TURKEY。黒海の真下にある『TURKEY』って何の国名だよ……?暫く考えたがわからず、ググってみると「ターキー(TURKEY)=トルコ」だった。トルコってターキー!?ターキーってクリスマスの七面鳥のやつ!?えーいどういうことだ!わからん!

ググった結果、どうやら「TURKEY(ターキー)」が英語の正式名称っぽい。日本でいう「トルコ」の読みは、ポルトガル語で「トルコ人・トルコの」を意味する言葉が由来だとか。お前!またポルトガル!……急にポルトガルについての興味が湧いてきたので、関連図書でも調べようかな。

そんな風に異国への好奇心を駆り立ててくれるきっかけを多々与えてくれる、良本でした。

テレビドラマ版のデビルサマナーの小説を持ってた覚えがあるな

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今日もせっせと漢字の書き取りをやっていたのだが、答え合わせの時に、葛藤の『葛』の漢字を間違って覚えていることに気づいて(下の「人」を「メ」=凶の形にしていた)、うーんせっかくだから語源覚えるか!と思い、『葛』の語源をググってみた。

すると、上のサイトさん曰く、くさかんむりと「曷=口と呼気の象形と死者の前で人が死者のよみがえる事を請い求める象形」で出来ているらしく、反射的に「(ソウルハッカーズの)葛葉キョウジ…ってコト!?」とハチワレめいてしまった。道理で葛って魂がなんとか〜みたいなキャラクターの苗字に採用されることが多いんだな。安倍晴明の母であるとされる狐(玉藻前)も、葛の葉を名乗っていたみたいな一説もあるもんな。葛葉キョウジには、ソウルハッカーズ2でも元気にシャッフラーマハラギオンしていて欲しいぜ。

はしゃぎ終わってようやく思い出した。「そういや葛藤って植物のクズとフジだが、どういう語源だ?」も調べてようとしていたんだった。weblio辞書で拾ってきた回答をメモ。はーんなるほど。

葛藤とは、もつれという意味のこと。英語では conflict と訳される。葛藤の葛は「かずら」と読み、藤は「ふじ」と読む。葛も藤も植物の蔓草(つるくさ)で、葛と藤が絡み合ってなかなか解けないことから葛藤の語がうまれたとされる。

weblio辞書

小学生卒業しました

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漢字なりたちブック 6年生 / 伊東信夫、金子都美絵

1年生からチマチマ読み続けてきたシリーズ、6年生の3回目!流石に今回で終わり!

▼前回

ついに私も小学6年生!ついに私も小学6年生! そろそろ自分の知識量と推理力だけで漢字の成り立ちを推測したいという欲が芽生えてきたそろそろ自分の知識量と推理力だけで漢字の成り立ちを推測したいという欲が芽生えてきた

P160「潮」。海の満ち潮は1日2回、朝と夕方に起こって、それらにさんずいで「潮」と「汐」。わかりやすいぞ!

P161「賃」。任務の代金を金(貝)で払う。お金を払って雇う。たまに賃貸の漢字の順番がゴチャゴチャになるので、チンはニン(任)、タイはダイ(代)と覚えよう。

P170「乳」。全然関係ないんだけど、部首の子の上の方にあるやつ、「昨日の将で学んだ!月(にくづき)のやつでしょ?母体を通して子供に乳を与えるってことですよね、フフン分かりますよ!」と余裕かましていたら普通に「爪だよ(子の上に手を置いて子供をあやす姿だね)」と書かれて泣いた。もうその形はにくづきと覚えてしまったんだが、どうしてくれるんだ……。でもよく考えれば「菜」も手で草木を摘み取る形だったな……。

P177「拝」。右側の字、横線が4本あることをいつも忘れてしまうんだけど、手(横3本の漢字)で草木を一本抜き取る(横1本の漢字)形、という解説で、今後覚えられそうな気がする。

P181「班」。王と王の間に刀(りっとう)があって、分けていると考える、と。なるほど。

P208「郵」。急に「垂はここでは田舎を表している」みたいな差し込みがあって、唐突な「垂=田舎」に笑ってしまった。

何ページ目かメモ取るの忘れたけど「欲」。欲とは、谷(ここではいのりの言葉を入れる器の上に神の気配があらわれる形)と欠(ものごとを欲する人の形)、つまり神さまの姿を見たいと欲する人の欲のかたち、みたいな解釈が優勝すぎて、思わずTwitterのオタクアカウントで喚き散らした。

以上で終わり!ついに小学生が習う漢字の成り立ちブックを読み終えてしまった。全く、こんなに漢字が楽しいものとは知らず、よくここまで生きて来られたな。小学生からやり直したいぜ。ウソ、絶対に戻りたくない。大人って最高に自由。やっぱ大人になってから勉強って楽しくなるもんだよな。(※個人の感想です)