「漫画」の記事一覧

漫画:違国日記 1〜10巻 / ヤマシタトモコ

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最近Twitterでよく推されているところを見る漫画。機会があったので、どんなストーリーなのか見当もつかないまま手に取ってみることに。

違国日記 1〜10巻 / ヤマシタトモコ

姉夫婦が事故死したことがきっかけで、人見知りの30代半ばの主人公・高代槙生が、残された姉夫婦の子供であるところの姪っ子・田汲朝を引き取ったところから始まる漫画。歳も離れていれば、性格も大きく異なる二人の交わらなさを味わいながら、手探りの同居生活を始めていく感じ。

槙生はひたすら書き続けるという孤独を愛するタイプで他人が苦手、自立心があり、それらの特性を貸して少女小説の作家をしている。そんな槙生に引き取られた朝は、親を亡くしたりと言った背景こそあるものの、それ以外は特にやりたいことも明確ではないまま暮らしている。しかし、朝は、槙生とは異なり、明るく素直で対人とのやりとりも苦手ではない。

……な、なるほど?だ、大丈夫か?この手の漫画で「人見知りで孤独を愛する主人公」って、コミュ障っぽく見えるが大体リアルで合う友人知人は多いという謎のズレが最後まで気になって仕方ないパターンが多い気がするのだが……!と一抹の不安を感じながら読み進めていったところ、案の定主人公はだいぶ友達いるタイプの人見知りだったりした。まあ人間関係描写するタイプの漫画だろうからそれはそうだろうね……展開上仕方ないね……という納得はあるものの、キャッチコピーで押しられた造形と一致しなくて、キャラクター性が心にしっくりこないまま進んでしまった。

とはいえ、この手の漫画に求める人間関係的な要素(子供と大人の態度・亡くなった姉とのいざこざがずっと残っている主人公・交わらない人間関係の妥協点・理解と突き放し・需要の多そうな恋愛関係)を満たしており、十分に読み応えのある漫画で、とても面白かった。私が感情移入できるキャラクターが一人もおらんかったことが逆にメチャクチャ新鮮だったし、ずっと話の展開が気になって最新刊まで一気に読み切れた。色んな人が推す気持ちも理解できたし、新刊が出たらまた読みたいと思う。

漫画:虚構推理 1〜5巻 / 城平京、片瀬茶柴

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なんとなく店の本棚を見ていたら、この漫画の近辺に「スタッフのオススメ!」というラベルがデカデカ目立っていたので手に取った。小説が原作なのかな?よくわからんが、タイトルだけ知ってはいた漫画に手を出すかという気分になり、ひとまず今日時間が取れるところまで(5巻まで)読んでみることに。

虚構推理 1〜5巻 / 城平京、片瀬茶柴

主人公は、幼少期に遭遇した怪異たちからの条件を飲み「知恵の神」となって怪異たちの困りごとを解決することになった少女・岩永琴子と、琴子が慕う不死身の大学院生・桜川九郎。普通にこの二人がパートナー関係になって進む推理ものだと思って読み始めたら、初っ端からオカルトありのミステリーバトルっぽい感じで、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』みたいな、オカルト要素を現実的な推論で塗り替えながら事件に挑むタイプの物語っぽい雰囲気だった。推理ミステリーにオカルトを直球に打ち込むのは、(ひぐらしがなく頃にとかもあったとは思うが)当時としては物珍しかったのでは。

とりあえずキリのいいところまで読むかなと軽い気持ちで読み始めたんだけども、登場人物の情報が出揃った後に始まった事件が数巻を跨いでも全然解決しねえ〜!原作が相当長編の小説だったってコト!?金田一やコナンのような推理マンガと捉えていたから、長くても1〜2巻以内で終わるような事件解決を想定してたこともあってビックリよ。5巻に入って、ようやくクライマックスの兆しが…!というところで、今日は時間が切れてしまった。キリのいいところまで読めなかったけれど、また続きを読みたいと思うくらいには十分面白かったな。最初は男主人公の桜川九郎がいいキャラだな〜!と思っていたが、女主人公の岩永琴子ちゃんがあまりにもコイツに雑に扱われることが不憫でならず、5巻を読み終わることには「こ、琴子ちゃ、がんばえ〜!」となって応援していた。おい!桜川!多分なんらかの事情あってのことかとは思うが、花よりも蝶よりも丁寧に扱ってくれよな!😠

漫画:うみねこのなく頃に散 Episode5 1〜6巻 / 竜騎士07、秋タカ

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そういえば、ひぐらしはWindows持っていた時代にゲームをプレイした覚えがあるけれど、うみねこは途中で離脱してしまったなあ……。結局どういう物語なんだっけ?とネットでネタバレを踏みまくり、全制覇までにかかるゲーム時間数見積に慄き、とりあえず途中からは漫画で履修するのが良さそうという口コミをあてにして、ちまちまと漫画版を読み始めた。

うみねこのなく頃に散 Episode5 1〜6巻 / 竜騎士07、秋タカ

そんな軽い気持ちでこのシリーズに手をつけたところ、ファイナルエピソードまで漫画が50巻以上出ているらしいことを知って我が目を疑った。50巻以上?正気か?私は何て恐ろしいものに手をつけてしまったんだ……。

とりあえず、うみねこ全体をネタバレなしに読むことはハナから諦めていたためネタバレを読み(もう100時間を超えるゲームをする気力がない)、「なるほどね、バトラくんとベアトリーチェちゃんはデキてるかデキてないか微妙なところなのね、リカちゃまっぽい魔女のコマとしてリカちゃまっぽい探偵がいるのね、そして黒幕はこのキャラクターなのね」くらいの大雑把な知識を植え付けて漫画を読み始めた。
いきなりEpsode5の1巻から手をつけたのだが、これはちょうどこの漫画が梨花ちゃまソックリなキャラクターのいる表紙だったことと、うみねこは途中からいきなり作風全体がガラッと変わる(悪魔とか魔法とかが出てくる)らしいので、全エピソード中の真ん中くらいを見て感じた作品全体の作風が合わんかったらここで切ってもいいや……くらいの期待の薄さで冒険することにしたのだが、このシリーズはなかなか面白く感じたな。謎も犯人も何一つ分からないんだけど、この展開とノリと勢いで強引に進める感じ、確かにひぐらしと通ずるところがあって、懐かしく感じたのもポイントが高い。うみねこの大まかな概要は掴めたし、面白そうだから、今度はエピソード1から読んでみようかな……でも50巻以上か…………(大いなる躊躇)

漫画:鬱ごはん 2〜4巻 / 施川ユウキ

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前回の続き。

漫画:鬱ごはん 1巻 / 施川ユウキ漫画:鬱ごはん 1巻 / 施川ユウキ

鬱ごはん 2〜4巻 / 施川ユウキ

ウ……!1巻で気になっていた『食べ物が粗末にされる』『生理的嫌悪感のある気持ちの悪いオチ』のシーンが、2〜3巻で若干増えている……!あと、起きる出来事の一つ一つが悪い結果に転んだり、そうでなくともマイナスな結論が出ることが多く、これじゃあ鬱野くんが学習性無力感を覚えて鬱になってしまうのもやむを得ないのではと心配になった。いや、鬱野くんにポジティブ思考になって欲しいわけではないんだが……言語化し辛いな!

ただ、4巻に入ってからは、持ち前のシニカルな結論がキレキレで笑ってしまった。何かの話題が出た時にその話題に関連するウンチクを反射的に返している人間を見て「問題は大半が無自覚で、『自分は引き出しが多い』と誤ったセルフイメージを抱えてしまっていることにある、いたたまれない」と反省する鬱野くんや、映画を見た後に「映画の感想を言語化するのが面倒だからSNSで他人の感想漁って自分と感性が近い意見を探すか」とスマホを触る鬱野くんは良かった。そう、私は鬱になるごはんを見たいんじゃないの、モーム的な観察眼の煌めきを見たいの!(?)

しかし鬱野くん、なんやかんや言って金遣いが荒そうな生活しているが、大丈夫なのか?金払わんと出来ん経験の方が多いし経済も回るというのは承知の上だが、フリーターってこんなもんだったか……?とページをめくるたび常に余計な不安がチラつくが、「まあでも私もフリーターやってた頃はこんな金遣いだった気がするな、人のこと言えねえじゃん」と気づいていたたまれない思いをした。他人の経験から何も学ばないくせに、自分の経験からも何も学ぶことができない、この哀れさが人間の証明ってコト……!

漫画:鬱ごはん 1巻 / 施川ユウキ

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漫画『バーナード嬢曰く。』で有名な著者の方のメシ漫画。WEBサイトに掲載されていた話はいくつか見た覚えがあって、その時は面白かったなあと感じはしたものの、特に買ったりはしていなかった。しかし……Kindleセール!還元ポイントつきます!とTwitterで情報が流れてきたため、何も考えずに脳死で購入ボタンを押した。ワンクリって便利だなあ…。

鬱ごはん 1巻 / 施川ユウキ

就職浪人中の主人公・鬱野たけしが、暗い気持ちで一人飯を食い、鬱々とした内省で終わる一話完結型の漫画(特に飯を食って気分が明るくなったりするような話にはならない)。おいおい無職で外食連チャンはなかなか勇気があるなと今になってこそ思えるのだが、20代の時は私も普通に外食してたし、無気力のままオートマチックにコンビニ弁当を毎日買っていたりしてたわ。自炊ができるようになったヤツの上から目線の驕りみたいなの出ちゃった。

面白かったところメモ。

・厭世的な思考の鬱野くんが、ただただ心の中でつまらん考えをしつつ飯食ってるだけなのだが、言語化能力の鬼って感じで大変面白い。なんかそういうの活かせる仕事ないの?

・わさび入りの寿司を食う時、鼻で空気を吸っておくと、つーんとしたワサビの刺激が鼻腔の空気のカーテンによって遮られるという豆知識を覚えた。今度やってみようかな。

・また唐突に出てくるやんけ「ちびくろサンボ」!!この絵本、死ぬほど擦ったの懐かしいな。

・食欲が湧かず、渋々何かを口に入れているという展開が割とある。マジでそんな人種いる?私は身体が許せば1日6食でも余裕だが?などと、あすけんの女に介護されてイキっている身としては抜群に共感できなかったのだが、だんだん鬱野くんにつぶやきに感情移入してきて、最後の方には「鬱気味だと食欲湧かないっていう人はいるらしいから……生きるためやり過ごす重労働のひとつって感じなんだろな……」くらいには思えるようになってきた。

・たまに飯が粗末な扱いを受ける回があるな。飯自体にはあまり欲望がない人間ってこういうコト…!

・あ!?お!?主人公、親から仕送りされてんの!?だから無職でも食う金があったのか!と思ったら「仕送りが停止されてしばらく経つが、なんの問題もなくフリーターとしてライフスタイルを成立させてしまっている」と話が続いて、鬱野くんと同じような表情になってしまった。

・鬱野くんのセリフの文字数が多いせいか、1巻を読み終わるまでに思ったより時間がかかるので笑ってしまった。コスパという意味では良いのかもしれない。しかしキャラクターが最初から最後まで確立されてるな……と思っていたら、かなりの割合で作者の実体験が元になっているそう。なるほど。

以上。面白かったし、2〜3巻も今ならKindleセール!と煽られているので、明日あたりにまた買うか。