「SF」の記事一覧

映画:惑星ソラリス(その1)

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SF(ソ連・崩壊してない)

惑星ソラリス / 1972年 映画

SF小説「ソラリス」の映画版(ロシア製)。結構古いやつ。DVDのパッケージの裏側を見たら「1972年ソヴィエト連邦モスフィルム製作」とかあって、この会社があった当時は、まだソ連が崩壊していなかったことを目の当たりにして、メチャクチャ笑ってしまった。そういえば、古いSF小説も大体ロシアは出てこずにソビエト連邦のままなんだよな(SF小説が出た当時はまだソ連が崩壊してないから)。もしかしたらSFってのはソビエトが崩壊しなかった世界線なのかもしれん。

『ソラリス』というのはダブルクロスというシステムのTRPGをしていた時に知った用語で、「なんか精神に干渉してくるやつの意」というフンワリした認識である。

さて50年前の古い映画か、現代の映画のビジュアルになれきった身で耐えられっかな…と失礼極まりない偏見を持ちながら見始めたが、解像度が低いくらいで、特に問題もなかった。画像はカラーだし、音声もぼやけていない。強いていえば、上映の途中で166minか…60+60+46…エ!?2時間46分!?という時間に、ややキョドキョドしてしまったくらいか。これはロード・オブ・ザ・リングに匹敵する長さでは?映画大好きポンポさんを呼んできて、90分映画にリメイクしてくれないか(気弱)

さて本編。父の家に身を寄せている、少し影のある主人公。父に呼ばれて庭から家に戻ると、父の友人の科学者っぽい男に、『惑星ソラリス』の報告ビデオを見せられる。
このソラリスという惑星については、過去十何回も調査を行なっており、目ぼしい成果も無いため、そろそろ打ち切られる気配が漂っていた。しかしながら、今回は異変があったようだ。その異変を報告するビデオの中のパイロットは、霧を抜けた先に奇妙な庭園を見つけ、そこで人間の赤ん坊を見たと言っている。4mほどある巨大な赤ん坊がいた、目は青く黒髪だった、とのこと。報告の途中で、ビデオの中の全員が「こいつ頭がおかしくなったんやな…」って顔して聞いてる。実際、映像ビデオには何も写っていなく、どうやらパイロット自身にしか視認していないようだ。そのビデオの中のお偉いさんたちは、どうやら惑星ソラリスは思考能力を有し、精神に干渉しているようだとの見解。赤ん坊は、ソラリスが干渉見せた幻覚と結論づけた。しかしながら、パイロットは「確実にいた」と訴えるし、それを支持する学者もいた。そう安易な答えを出してもいいのか?そのビデオは途中で打ち切られるが、主人公の父の友人である科学者は、主人公・クリスに見解を求める。しかしクリスはどこか投げやりな返答で、その科学者を怒らせてしまった。

科学者「ソラリスの研究の仕方は、道徳性に立脚した研究じゃないとね」
クリス「非道徳でも目的は遂げられます。ヒロシマのように」
私「ソ連〜〜〜〜〜〜〜〜」

科学者「それでは本末転倒だ!話にならない!(激おこで帰る)」
私「ソ連の真っ当な科学者~~~~~~~」

それにしても、確か前に読んだSF小説の『星を継ぐもの』でもあったけど、会議の途中でバンバン煙草を吸うんだよなあ。この辺、時代って感じだな。
映画を途中で止めるのはどうかと思うが、2時間46分もあるらしいので、今日はここまで!(0時間33分)
映画を見てイメージを掴んだら、積んでいた小説を読むことにしようと思っている。

読書:星を継ぐもの(その4) / ジェームズ・P・ホーガン

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星を継ぐもの / ジェームズ・P・ホーガン

先日の続きから一気に読了。
木星へと旅立った主人公ハントくんが、その途中、小説の前半でバチバチやらかしてたダンチェッカー教授とささやかなジョークを言い合ってコーヒーを飲みに行ったり、食堂に誘って互いの意見を求めたりするあたり、感慨深いな。月面で見つかったチャーリーたちの遺体とはまた別の種族である、木星衛星ガニメデに住む巨人(ガニメアン)の話について。主人公は、チャーリーの手記から度々「巨人並みの頭脳」「巨人が現れる以前も昔」みたいなワードが出てくるのが気にかかるとのこと。巨人の亡骸自体は見つかっているし、神の視点から読んだこの小説のプロローグでは、チャーリーと巨人が一緒にいたことはわかっているので、まあお互い何か共存関係にはあったんだろうな。そして、どうやらチャーリーたちの住んでいた惑星ミネルヴァから、この星由来の陸棲生物は突如消えていたのでは?と言う疑惑が立ち上がる。巨人が伝染病を持ち込んだのでは?いや、巨人の文明レベル(宇宙服着て死んでたチャーリーたちより数段上の科学力を持っているものと思われる)からいってそのようなミスを犯すとは考えづらい。主人公とダンチェッカー教授がタッグを組み、導いた答えは「空気中の二酸化炭素濃度が急激に増えた結果、ミネルヴァ由来の陸棲生物は死滅した。巨人は、それらの環境を回復するために、大型輸送宇宙船に大量の動植物の標本を持ち込んでいたのだろう。すなわち植物は二酸化炭素濃度を吸い込んで酸素に変え、動物は植物の拡張や成長を促す」、アー!?そう言うこと!?!?!?!そしてその結果を聞いて、有能な二人が個人的なことで反目することをやめ、協力し合い、更なる結果を叩き出したことにニッコリ微笑む国連宇宙軍のお偉いさん。お、おもしれえ〜!!小説が面白い。小説って……面白いんだな!?(そりゃそうよ)

ここからはもう一気に怒涛の種明かしで、ページを捲る手が止められず、最後まで一気に読んでしまった。星を継ぐもの、ものすごい力のあるSF小説だったな。我々はもう、『人間』の歩みを止めることはできない。そうやって、今までこの種を繋いできたのだから。本書は、小説ってメッチャ面白いんだなってことを思い出させてくれた傑作だった。もっと早くに読んでおきたかったな〜と思わないでもないが、きっと今読んだからここまで面白く読めたんだろうな。物語も、あらゆる分野の超エリートたちが力を合わせて最大の謎に立ち向かう、という感じだったから、生物学、言語学、数学、天文学、地質学、人類史、その他諸々の知識がうっすら無いと手放しで面白がれなかったかも。10〜20代の私には難しい本だっただろうな。歳をとってよかった。

読書:星を継ぐもの(その3) / ジェームズ・P・ホーガン

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星を継ぐもの / ジェームズ・P・ホーガン

先日の続きから。この主人公、メチャクチャよく働くな。国連宇宙軍のお偉いさんから指名されて主任となって以来、縦横無尽に専門家の元へと駆け巡り、とうとう「ルナリアンたちの母国・ミネルヴァで大規模な宇宙戦争があったのでは?五万年前には、高度な兵器(核)があったことが予想される。発見されたチャーリーたちは探索隊の一つであったが、月面裏側に集中している大規模な隕石落下によって痕跡が抹消されたものと思われる」みたいな説まで出してきて、SF小説おもろ〜ってなっている。
月面で見つかる五万年前の遺体!宇宙服を着ていて高度な文明を持つと予想される!次々に見つかる彼らルナリアンたちの遺体!彼らの食糧だったと思われる、地球にはない生態の魚が見つかる!エー!?月面の隕石落下クレーターは実は超融合爆弾の痕跡だった!?そして見つかる……母惑星・ミネルヴァの存在!これがSF小説なんだなあ。読んでいて、童心に帰ってしまった。ワクワクする。

同時期に見つかった木星の衛星ガニメデに乗り込んで調査したところ、プロローグで出てきた、人の良い巨人の亡骸も出てきた。ガニメデ?ガニメアン?急に出てきたが、地球人と同じような人間のチャーリーとはまた違った人種(巨人)で、やっぱ宇宙間戦争があったのでは?と思わされるな。プロローグでは、この巨人はチャーリーたちに味方していたように思えるが、複数の惑星ごとに文明があったとなるとな。ここで見つかった言語と、チャーリーが所持していたものから見つかった言葉が照らし合わされて、言語解読が進むというのも面白い。五万年前、地球も氷河期だったが、このミネルヴァという星も氷河期だった。氷河期は、この辺り宇宙一帯の現象だったのではないか?というのも面白い。えー、さっきから面白いしか言えてないんだが。そして地球よりも太陽から遠いミネルヴァは、この氷河期というものがかなり深刻な問題だった。このために、他の星への移住を検討する必要が出てきて、見つかったチャーリーたち探索隊はこの使命を帯びて月まで出てきたものと思われる。しかし、ミネルヴァは資源が不足している星だった。技術が発達し、もし他の星へ移住できるとしても、星の全員を移動させるのは無理だ。選ばれしものだけの手段となる。そこで対立が生まれたのではないか。大型輸送宇宙船から見つかる大量の動植物の標本。地球人の祖先に近い品種!お茶でも淹れこよう、といったん閉じた本の表紙刻まれた『星を継ぐもの』のタイトル!星を…継ぐもの!お、面白〜!!!!!!!!!

言語解析が進み、最初に見つかった遺体・チャーリーの日記が解読される。そこで綴られる任務の日々、戦争の状況。彼らの母星ミネルヴァとは一体どこにある星なのか?もしかして地球か?白熱する議論!見つかる物品!新たな議論!それを中立の立場で見守る俺たちの主人公が、木星へ旅立ったところで、本日はここまで。はちゃめちゃに面白いんだが?

読書:星を継ぐもの(その1) / ジェームズ・P・ホーガン

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星を継ぐもの / ジェームズ・P・ホーガン

だいぶ前に手にとって放置していたSF小説を読み始めた。裏表紙に書かれたあらすじでおおよそのストーリー導入を事前に知らされているのだが、しばらく読み進めてもその導入まで辿り着かず、いつ始まるんだよ……と、自分の気の短さに気付かされている。ともあれ、頭脳明晰な主人公のハントが、国連宇宙軍のお偉いさんに呼ばれて、月面で見つかった正体不明の遺体(宇宙服を着ているが、5万年以上まえの遺体と思われる)の調査をするところから始まる。ハントくんは、お勤め先で特殊なスキャン装置の開発に成功しており、そのスキャン装置が検死に必要とされてお呼ばれされた。5万年以上まえの遺体なので、下手に動かすとボロボロに崩れるため、動かさずに透視するような感じでスキャンを行い、ハントくんはある一定の成果を出す。例えば、遺体の所持していた手帳に書かれた謎の言語、謎の文字列。おそらく遺体の文明は12進法を使っとるなあ、でも、遺体は我々人間と全く変わらない(10本指)だよなあ、とか。しかし明らかに我々以上の科学技術を持っているとんでもない遺体の発見だったため、ハントくん以外にも色んな分野の人間が呼ばれており、この遺体、通称チャーリーの正体を探るためバチバチの討論が繰り広げられーーみたいなところまでで本日はストップ。P85まで。

ソッカの美術解剖学ノート / ソク・ジョンヒョン

家で文鎮となっていたメチャクチャ分厚い美術解剖学の本。韓国のイラストレーターさんが書かれたもので、当時話題になったときに買ったのだが、私が積極的に絵を描くタイプの人間ではないため、長らく放置をしてしまっていた。こんな高い本(6700円+税)を放置すな。

重い腰を上げて、ようやくページを捲ったのだが、絵を描く人の視点から見た「生物の定義」とかの説明が予想外にとても面白かった。

生物の絵を描くには『生物』を描かなくてはいけない。生きているものを生きているように描かねばならないのだ。では、生物とは何か?それは、「繁殖することができ、自ら生きて行動するもの」だ。生物は動くようにできている。動かなければ生きていけない。一人で生きていくためには、自ら、動く必要がある。では動くのは、なんのためか。繁殖や食事といった生存の欲求のため。また、広く見れば、あらゆる行動は、自分を曝け出して、自分が生きていることへの確認を行うためだ。生きているということは、動くという一連の過程を意味するものではないか?生物は、動くためにある。これを前提とすれば、人体を描くことへの理解が簡単になる。みたいなところまでで本日はストップ。お、面白え〜!絵を描く人が見る生物っていう視点がとても興味深く読むことができた。P25まで。

読書:虎よ、虎よ! / アルフレッド・ベスター

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急に「野口!」とヨーガは笑うのよ

虎よ、虎よ! / アルフレッド・ベスター

一昨日の続きから読了。
捕らえられた主人公が治療棟にぶちこまれて、自称老婆と脱出して、顔に彫られた刺青を消すために整形して、なんやかんやあって成金になって、またかつての女たちと出会い、黒幕と出会い、怒りを抑え、やがていつの間にか考える動物になっていた主人公は……みたいな感じだったかな。途中までだいぶ頭の中で整理しにくいし、登場人物はみんな頭バーサーカーの上、主人公はレッガー◎・アヴェンジャー●・バーサーカでポリコレに引っかかることしないが大丈夫か?と首を傾げていたのだが、急に『奥歯のスイッチで起動する加速装置』が出てきてテンション上がってしまい、そこからの加速的な展開も含めて一気に読んでしまった。奥歯スイッチの加速装置、本家ここかあ!(1956年出版だからおそらくそう)終盤の展開も凄まじかったし、紙面上での工夫も凄かったし、これはすごい名作なのでは?

スタートは粗暴で粗野な主人公だったが、復讐のために知識を学び、教養を身につける。途中整形で顔に彫られた刺青はなんとかしたのだが、怒りという感情で血管の通りが良くなると、その刺青が虎のように浮かび上がるようになってしまい、感情をコントロールする術を得ることを強要される。後半になってくると「ガリレオ」と揶揄されるようになるまでに成長し、終盤になると誰よりも考える動物になっていた。

ふと出る描写が抜群にいい。「ゆたかで空虚」「花開く怪物」「こよなく美しい屍衣」「焦ってはいけないのよ、あなた」「あの白い死骸に恋をするだなんて!」。

主人公を見捨てた黒幕にはびっくりしちゃったな。常に炎に包まれた人も出てきて、これファイアパンチの元ネタの元ネタなのでは?となるところもあったし、サトラレの人間が活躍するし、もう6作くらいの小説の設定をぶちこんでるのよ。途中まで読むのに随分苦労したが、それでも「よくわからんかったところ確かめたい、また最初から読んでみたい」となる、確かに不朽の名作と呼ばれるSF小説だった。