以前、何気なく読んだ『日本の渚』という本が予想外の面白さだったことを覚えており、同じようなジャンルならこの本も面白いのでは?と言ったような動機で手に取った本。イラストや写真が多く、海に纏わる民話や事象の説明があり、フィールドワークを記述したものとはいえ学者さんによる厳密な考証ではないため、気軽に読めた。
読書:日本の渚 -失われゆく海辺の自然- / 加藤真ビーチコーミングという言葉を全く聞いたことがなかったので、定義をググったところ、以下の通り。
ビーチコーミング(Beach combing)とは、海岸などに打ち上げられた漂着物を収集の対象にしたり観察したりする行為。漂着物を加工したり標本にしたり装飾にしたりして楽しむ。
Wikipedia – ビーチコーミング
私は海の近くに住んでいるので、海辺に流れ着いた面白い漂着物(ゴミ含む)は、よく目に入る。ハングル語で書かれた面白い飲み物のペットボトルや、大きい貝殻など、なんとなく反射的にカメラを向けてしまうこともあった。そんなノリが講じた有志によるフィールドワークがビーチコーミングなのかな。私はそこまで漂着物に興味関心を持ったことはないのだが、この本で紹介されている漂着物は多種多様で面白かった。次に海辺へ行く際は、漂着物にもっと目を向けてみようと思う。
以下、面白そうだったものメモ。
・海漂器:瓶に手紙とかが入っているヤツねと思っていたら、政治宣伝ビラと、それを読んでもらう為の日用品などが入ったメディアとして使われていた瓶が海漂器というらしい。まだインターネットがなかった時代の政治メディア…!!
・アメリカからのビン:今度こそ瓶に手紙とかが入っているヤツねと思っていたら、海流か何かの調査の一環でアメリカから放たれたものらしい。どこに辿り着いたのかのお手紙を出して欲しいらしく、切手代として1ドル入ってることがあるようで、これはまだ良心的と言える。
・巨人:大昔、3mの女のような巨人の遺体が流れ着いたことがあったらしい。巨人!?!?急に世界観変わったが大丈夫か、ここは日本だが!?と思っていたら、まあ多分クジラか何かでしょう、とのこと。こうやって民話は作られるんだなあ。
・マンモス:急にマンモスってタイトル出てくるの笑ってしまうのよ。正確にいうと、マンモスの化石(奥歯?)が漂流物として流れ着いたことがあったらしい。
こんなところかな。趣味・愛好としてのビーチコーミングについてがメインの話題になるので、以前読んだ『日本の渚』の先生みたいな、「決して人間を滅ぼせる力を与えてはいけないタイプだなこの人」みたいな的な雰囲気は感じない(『日本の渚』では、環境破壊しまくる人間への怒りを終始感じていた)。と思ったら、やはり海の悲鳴が聞こえてしまうようで、最後の方で海の自然破壊、プラゴミ問題などに触れていた。分かる……海へ行くと、人は愚かな人間を滅ぼしたくなってしまうのかもしれん……(ゴミとか多いし……)