読書:建築探偵桜井京介 館を行く / 篠田真由美

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

「日本の擬洋風建築が見たいな〜」と思って手に取った本。表紙の洋館っぽい写真と『館を行く』のデカデカしいタイトルだけしか目に入らず、日本の洋館についてあれこれ教えてくれる本だということを疑っていなかったのだが、実際の本の内容には、かなり予想を裏切られた。この本は、建築探偵なる人物をモチーフにした謎の日本の洋館建築のルポルタージュ…?エッセイ……?で、これは…なに…??もう何が何だか分からねえよ!

建築探偵桜井京介 館を行く / 篠田真由美

読み進めるうちに、どうやら建築探偵・桜井京介という建築好きのキャラクターを主人公にしたミステリー小説があって、著者の篠田真由美がその活躍を記録する……という体で進む小説シリーズがあり、そのスピンオフ?見たいな感じで、桜井探偵と著者の篠田先生、その他の登場人物諸々合わせて、出版社の持ち金で、主人公が好きな洋館巡りをしちゃおう見たいなエッセイ風短編小説が、どうやら、この本らしい。た、たぶん。自信はない。

「へー建築を専門とする探偵か……すべてがFになるの犀川先生みたいだな……」と思っていたら、もう次のページにはメフィスト賞云々が出てきて笑いを堪えるのに必死だった(建築探偵は1994年の出らしいので、こちらの方が早い)。なんかメフィスト繋がりということで、出版社はコラボ企画とかは上げてくれないんですか?私が買います。

ともあれ、日本国内に建てられた洋風建築の数々を周りながら、その建築の蘊蓄についてを楽しむことができる、小説っぽい何か調で面白かった。作中に出てくる建築家や建物は、かろうじて私も分かるものがいくつかあり、架空のキャラクターが実在する建築について色々喋っているのを聞くだけも楽しめた。(建築家の安藤忠雄…光の十字架のやつ!山形は鶴岡の擬洋風建築!私も行ったことがある!先生たち、教会のブラックマリアは見ました!?つや姫を食べて帰られました!?見たいな妙な盛り上がり方した)

どうやら桜井探偵は、和洋折衷の洋館がお好きなようで、わかってるなと後方彼氏面してしまった。この手の話題で早口になるオタク、たいへん信頼できます。あと、その建物についても作品として美しく思うのか、実際に住みたいと思うかどうかは別である、みたいな話で盛り上がったりもし、そういう建築オタ同士がする会話みたいなのがひたすら描写されているのが楽しかったな。多分、本編の推理小説では人が殺されたりなんだりして探偵役として活躍する面々だとは思うのだが、この本は純粋に建築ルポルタージュって感じでよかった。機会があれば、推理をする方も読んでみたい。

あかね

静岡に住む、30代後半のものです。当時何に興味かあったのかを振り返るとき用に、読んだ本やYoutube動画、考えたことなどを書いていきます。