日本人初のノーベル受賞者と名高い湯川秀樹先生の著書、とはいうものの、何を専攻されていたのかまるで覚えていない。アインシュタインと既知だったみたいな話を聞いた覚えはあるので、物理学で志を共にしたか、もしくは量子力学でサイコロ投げ合ってバトったとか、まあ多分その辺りなのでは……とアタリをつけたが、ググったところ「理論物理学、中性子の存在を予言して理論の正しさを証明してノーベル賞を受賞した」とのこと。なるほど(分かってない)。でも、このようなゴリゴリの理学博士が『創造的人間』について語る内容には興味があるなと思った次第である。
そういうわけでこの本を読み始めたのだが、めちゃくちゃいい持論が書かれている。
意訳にはなるが、1965年の時点で「科学文明とは、人間の頭と手を通して出来た第二の自然である」「エックス線や原子力という、偉大な発見だがあまりにも急性に実用を進めすぎた結果被った、予想外の被害、ひいては基礎研究の重要さ」「機械の方がいくつか優れている箇所があり、それに人間は負けじと頭の回転を競うのではなく、反射的な素早い行動については機械に任せ、じっくりと時間がかかる総合的な判断は人間が行えばいい。しかし機械の方が有能になる未来は遠からずくるだろう、その時人間のなすべきことは何か?」「良かれ悪しかれ、刺激の多い文明となった。目に耳に入ってくる情報量が多すぎる。そういう諸々が私たちの大きな悩みの種となる」などなど意見が出ていた。やっぱり学者というのは先々のことまで考えているものだなあと感心した。まだ50Pしか読んでないのだが、咀嚼するのに時間がかかり、ここまで読むのに一週間はかかってしまった。355Pまであるっぽいので、また、ちまちまと読み進めていきたい。