何かをコレクションするとして、その総数が増えるにつれ分類やタグ付けが必要になってくるように、漢字も蔵書と同じように部首っていうカテゴライズがあるんだよ!みたいな説得力で殴られるところからスタートする本。漢字の書き取りするときに、割と部首のことが気になったりするので手にとってみたのだが、いい意味で著者の性格の悪さが滲み出ているところが面白かった。『甘』という漢字の解説ページで、「『甚』は甘いと匹(つがい)を合わせた漢字で、つがいの男女がイチャイチャ甘ったれてる様を示す、これがはなはだしい(過度)という意味」みたいなくだりは笑ってしまった。伏黒甚爾の話してる?(??)
また、常日頃「『炙』や『然』のタにもう一本棒を引いてるやつなんだよ」とうっすら思っていたのだが、月を横に崩した意味であるらしいことも発覚して、だいぶスッキリ。『炙』は月(にくづき)を火で炙ってるのね。そのまんまだったことに気づいてなかった。でも、月には、肉から来る「にくづき」と、天体の月から来る「つき」と、舟を崩した「ふなづき」の3種類の意味が別々あるそうで、お、お前…!とややキレかけた。阿修羅みたいに顔三つ持ってるタイプややこしいな。まあでも、漢字が簡略化された(ついでに纏められた)方が助かるっちゃ助かるか。
さんずいの『治』と、にすいの『冶』の意味の違いなんかも理解できたような気がする。さんずいは水由来、にすいは氷由来、にすいの『冶』を使う冶金は、金属を溶かす(氷を溶かす)ニュアンスなのかな。興味がないジャンルの本を読んで興味を持つのもいいけど、やっぱ興味を持ったジャンルの本を読んで、疑問が解決して、それに納得させられるのも大変楽しい。部首のはなし2も出ているらしいので、これもまた読んでみようと思います。