藤村シシンさんのファンなので読んだ、と言いたいところだが、この本が出たのは大分昔では?ともあれ、ようやく読みました。読了。
ギリシャに対する「青い空、青い海、白い神殿」という漠然としたイメージが秒で崩されて笑ってしまった。あの白いパルテノン神殿も元々はインドの仏像のような極彩色の建物だったのに、ヨーロッパ的な「俺たちが考えたギリシャ」イメージで漂白されて作り上げられたものとのこと。1939年に発覚した、博物館のスポンサーに「大衆に受けるように白くしろ!」と指示された職員が金の装飾等を削ぎ起こしてしまったという世界で一番大きなスキャンダルだったそうだ。知らなかった。でも、そう言われてみれば、アサシンクリードのパルテノン神殿は色彩豊かだったように思える。
ギリシャに限らないが、恣意的に改竄された歴史はもう取り返しつかないんだよな。でも読み進めるうち、とにかく人間くさい動機でしょうもないことを主張し過ちを繰り返すギリシャの歴史に、微妙に親近感が湧いたりもした。なんだろうな、著者の書き手の妙なんだとは思うが、『なんでそんなことした!?』という気持ちがヘイトに向かないというか、まあ、生きてる人間はそういうもんだよなと感じられる温度の文章で面白かった。偉大な古代ギリシャを引っ張り出してきて、それを商売にして現世利益を優先した結果、古代ギリシャ以外のギリシャのイメージが皆無になってしまっているのも示唆に富む。また、ギリシャ神話の神々について少し詳しくなりました。
今、YoutubeのゲームさんぽでFGOのギリシャ陣営を追ってるっぽいので、こちらも引き続き追いかけたい。