なんかこの本めちゃくちゃ村上春樹推してくるな

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

地に足をつけて生きろ! 加速文化の重圧に対抗する7つの方法 / スヴェン・ブリンクマン

デンマークの心理学者が書いた本で、本の帯にある『反自己啓発書』の宣伝文句の通り、ポジディブ心理学に代表されるような「もっと自分を見つめて己を深く知ることで、あなたは人生をポジディブに最適化し、より幸せに、豊かになれる」みたいな主張に疑問を呈する趣旨の本。どこかのブログの書評を読んで、「この新刊、面白そうだから読みたいな、Kindle化するまで暫く待つか」と思っていたのだが、普通に待てなくて買ってしまった。

教えは7つあって、「1.己の内面を見つめたりするな」「2.人生のネガティブにフォーカスしろ」「3.きっぱりと断れ」「4.感情は押し殺せ」「5.コーチをクビにしろ」「6.小説を読め、自己啓発書や伝記を読むな」「7.過去にこだわれ」。ストア派哲学がベースにあるらしく、生きることは苦難の連続であることを見つめ、ポジディブという麻薬に浸り切ることなく生きていいこう、みたいな感じだったように思う。ストア派哲学って?ああ!(何もわからない)

著書はデンマーク人だそうで、デンマークもアメリカっぽい社会なのか「コーチをクビにしろ」というようなテーマには日本人の私にはいまいちピンと来ていないのだが、「自分の内面を見つめたりするな、内面が空虚でくだらないもので満ちていることが真だったとしたら、あなたはどうするというのだ?」というような意見は頷ける。だいたい人間の奥底には、そんな大それた神秘や真実なんてないんだよな。外でモデルを見つけ、考えながら模倣して、失敗してを繰り返す他ない。自分は何者か、というのは、他者との約束や義務を果たす中で生じる、みたいな感じ。

まあ私も自己啓発書の類は毎月のように消費してしまっているし、流行のコンテンツに常に流されながら生きているので人のことは何も言えないのだが、ポジティブは良いこと、より生産的になること、スマートになること、自分を見つめることって、別にそこまで大事なことじゃないからな!惑わされるなよ!って警告してくれる、いい本だった。

あかね

静岡に住む、30代後半のものです。当時何に興味かあったのかを振り返るとき用に、読んだ本やYoutube動画、考えたことなどを書いていきます。