「2022年」の記事一覧

ロボット工学三原則 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない

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羽生善治の『人工知能の核心』に出てきた「その芸術を創造したのが人間かロボットかの区別がつかず、またロボットが作ったとわかると評価を下げる人間の性」と、『ラーメン発見伝』に出てきた「大半の客はラーメンの味なんて分かってない。モナリザの贋作を見分けられる奴がどれだけいる?」みたいな話、さては同じでは?(それはどうかな)

われはロボット/ アイザック アシモフ

人工知能やロボットなどの本が続いたことで、「さすがにそろそろ読んでおいた方がいいのでは」という思いが強くなり、手に取った。かの有名な『ロボット工学三原則』で有名な1950年代のSF小説。ロボット心理学を専攻にしている研究者のおばあちゃんがいくつかの昔話を回想しながらインタビュアーに話す形式の短編集で、本日は子守ロボットの話までを読み終わった。1950年に出たSF小説なのに、もうロボットに仕事を奪われることを危惧する市民の心理描写があって、「人工知能に仕事を奪われる!」みたいな考えは70年前から出てたんだな〜ということが大層面白かった。まあでも、かつて産業革命もあったし、機械が人間の仕事を奪うという考えは当然といえば当然か。あとは、ロボット心理学というところで『TWIN SIGNAL』思い出しちゃったな。この小説が元ネタだったんだ。

あなたは誰ですか?

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人工知能の核心 / 羽生善治

読了。本が提示した、現代の「大量の情報を得ることに追われて、自分の頭で課題を解決する時間がなくなる」ことについては、既にいろんな方が問題提起している。確かに、昔のように特定の会や流派に所属していないと得られない知識などという場所による格差などは減りつつある。実際に情報に恵まれていることで、学習も検討もしやすく、全体のレベルも上がってきている。しかし、情報処理を行うだけでも脳のリソースは十分に使用されることになる。すぐに新しくなる情報を浴びるように受け、それに追いつくことに一杯一杯になると、自分で深く考えること・知見を広げる想像力に回すリソースが減るだろう。みたいな話だったと思う。
個人的な感想ではあるが、最新の知見・技術など、新しいことを取り入れるのが最も効率が良いとされるような前提が世の中にはあるような気がするな。自分が考えることはすでに誰かが深く考えているだろうし、それを見つけて解釈した方が早いとされる常識が根底にあるような気がする。
だから新しい情報を追い続けることにリソースを割くのは間違いではないと思うが、問題は「世の中のみんな」がそのような方法に飛びつくことが当たり前になることで、返って思考の独自性や多様性が世間から失われることである。誰もが同じことを同じように学習し、種族全体のレベルは上がるものの、個人を個人たらしめる個性による創造性は損なわれる。そもそもこの学習法をやり出したら、人工知能が上をいくのは分かりきっていることではないのか?人間にできることは何か?みたいなことを次々に投げかけられ、考えさせられる良本だった。

パラダイスロスト

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Youtubeで雑学系のチャンネルをよく見ているのだが、この「楽園を模した名に不自由ない環境下でネズミを繁殖させるとどうなるのか?」という実験の解説が面白かった。食糧や水源が無限にあって天敵が存在しない楽園であっても、文字通り鼠算式に個体数を増やした彼らは群れを作り、群れからはカーストができ、やがて何も守らず、そして他人に関心を示さない個体の割合が増える。出生率を死亡率が上回って、超高齢化社会で妊娠できるマウスがいなくなり、やがて全滅するという流れになるらしい。もう25回実験をして、全て全滅しているってすごいな。動画製作者の指摘として、「社会が社交的にさせているだけであって、人間は元来非社交的なのでは?」というのが面白かった。生命は眠っている状態が正常で、睡眠を妨げるもの・生命活動を維持する等の問題解決のために不快な覚醒を行う、みたいな説もあったし、考えると楽しくなる話だ。

ヤツらは漫画を読んでるんじゃない。情報を読んでるんだ!

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ラーメン発見伝 1〜7巻 / 河合単、久部緑郎

一巻一巻の厚みに躊躇しながらも、かの有名な『ラーメンハゲ』見たさに読み始める。第1巻で出てきてくれるキャラで助かった。このラーメンハゲこと芹沢が出てきた瞬間から面白さ倍増で、芹沢が説得力のある持論を展開するたびに、それに引きづられた他のキャラもいい哲学し始めるという正のループ。このままではラーメンハゲの夢女になってしまうという危機感を覚えるほど芹沢はいいキャラをしていた。そりゃみんなネタにするよな。それ以外にも、ラーメン業界ってなんか……なんか複雑なんだな……と思わずにはいられないほど多角的に切り込まれる漫画の展開で、単にラーメンがうまい・まずいだけで全てがよしと判断されるのではなく、ラーメン店を経営するということについて取り巻く諸事情についてや社会評判などなど、面白く読むことができた。

星新一ラッシュ

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先日、実家のテレビで『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』を見た。SF作家・星新一のショートショートから『地球からやっていた男』をドラマ化したもので、まあ多分読んだことはある(母がファンで本を持っていた覚えはあるため、かつての本棚にはあったはず、私も読んだはず)……とは思うが、記憶にない。その翌日、入った本屋で星新一が平積みされており、今も人気があるんだなあと思ったあと、適当に寄った喫茶店で昨日の読書の続きをと羽生善治の『人工知能の核心』を読んでいたら、急に「人工知能に物語を書かせたらどうなる?星新一のショートショートを人工知能に書かせてみた」みたいな話が出てきて、二度見してしまった。こんな時間が飛んだ話のつながりかり方ある?

劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』

新一つながりというわけではないのだが、コナンの映画を見に行った。今回は警察組、佐藤と高木の恋物語と、降谷の過去(かつて警察学校で連んでいた仲間含む)の話が混ざった感じのやつかな。相変わらず爆発に次ぐ爆発といった感じで面白かった。今回はロシアからやってきた爆殺のプロとそれを追うロシアのヤベー組織が日本にやってきてハロウィンにドンパチかますという、世界情勢的にやや心配になるストーリーだった。流石に映画を作って公開決定した後の、この現実社会の世界情勢だろうから、この件についてコナン映画に罪はないだろう。ないと思うな。一緒に見にいった子は「やっぱコナン映画って『持ってる』な」とのコメント。分かる。
一番解せない点はコナンと灰原がごく当たり前にロシア語を使いこなしていたことなのだが、「灰原はまあ……わからんでもないが……」「もしかして親父にハワイで習った?ロシア語」「でもコナンってロシア文学好きそうじゃん、絶対『罪と罰』から引用したポエムかましてくるよ」という感想が山ほど出る。そういう点も含めて、コナン映画って毎年本当に面白いんだなあ。感想戦が盛り上がる。
来年はジンが出るらしいので、来年も見に行きます。「会いたかったぜ?シェリー……」じゃないのよジンニキ。シェリーは会いたくないのよ。

アニメ・すべてがFになる 1〜11話 / 原作・森博嗣

身内に布教するため、アニメの一気見を敢行しました。よくこんな長時間付き合ってくれたな。本当にありがとう。原作の小説と比べると、設定の乖離が割とあり、途中もう一人のボクが解釈違いを起こして暴れ回ることも度々あったのだが、無事に試聴完了。また小説読み直すか〜!

人工知能の核心 / 羽生善治

星新一つながりでも人工知能つながりでもないのだが、先日の途中の続きから。
ロボットの『報酬』とはなんぞや?という話。確かに人間が得るものであれば、経験やお金というのは行動した結果の報酬として機能することは理解できるが、ロボットにはそういうものはなさそう。なさそうというか、優先順位をどうするかという話になるのだろうか。機械学習のために知的欲求を優先する、ただし違法にはならない範囲で、というような条件だけでも、まず文系の代表みたいな立法解釈が文脈で理解できる性能が必要だ。人間が考えつかないような規制されていない抜け道もできそう。その結果、システム側が想定のないエラーで不具合を起こして、みたいな展開は思いつくなあ、こういうのどうするんだろうかと思っていたら、それに対応する例として挙げられたのは『ロボット三原則』だった。それだあー!そうだった、我はロボット!ロボット三原則!それをバシっと思い出せたらスッキリできただろう。惜しい。
ロボットや人工知能の人権はどうするのか?という話もあった。昨今の人工知能は芸術の分野にも手を伸ばしている。絵画で独特のタッチを模倣することはもちろん、音楽は数学的処理が行いやすい芸術なのだそうだ。しかし、いくら人を感動させるような絵や音楽、小説を創造したとしても、それがプログラムが作ったものだと分かった瞬間に、人間は評価を下げる傾向にある。芸術は芸術として評価せえよ!とは反射的に考えるものの、この「絵が美しい」というだけで正当な評価を行うことは人間には出来ないだろう。芸術の評価のされ方というのは、技術や表現は前提として、その芸術を通して連想する作者の人間性・人生や時代の背景、自分自身の感情や主観込みでのことになる。創作は、それを観る側がいて成立するコミュニケーションの一種という説もあるくらいだ。この場合、プログラムの創作に対して評価をする、我々人間の方が、時代に合わせて価値観を変えていく必要があるんだろうな。本日はここまで。進捗は60%。

女神異聞録ペルソナ 全8巻 / 上田信舟

表紙が懐かしすぎでは?薦められるまま手に取ってしまった。ぼっちゃま、必ずや一番の日本男児におなりください。
そうそう、こんな話だったなーと思いながら読み進めていたら、第23話で香西千里の写真と共にTendre Poisonの香水の瓶が出てきて、地面を転がるなどした。この時代確実に流行ったアイテム!私も持っていた!廃盤になって久しいやつだ。その後、マキちゃんの『楽園の扉』周りの設定が出てきて、なんだか既視感を覚える。機械に繋がれた少女。少女は楽園の夢を見ながら眠り続けている。その幸福な夢が主人公たちと共有され、のあたりで「これはeuphoriaというエロゲーの設定を思い出すな…」と思っていたらふと「euphoriaの主題歌、確か『楽園の扉』だったのでは?」と気付く私。そこから「これさては、ペルソナ・euphoria共に有名になった元ネタがあるパターンなのでは?イギリス文学あたりで同じような設定の小説ありそう、タイトルは多分『楽園の扉』!」という謎の推理を展開してしまったのだが、実際はどうなのだろうか。気になる。