「2022年」の記事一覧

湿気がヤバくて本もカビが生えてきている

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

「待つ」ということ / 鷲田 清一

Kindleセールで価格が安くなっていたことと、最近「待てないで行動してしまう」「待つって大事だな」と思う機会があったので購入。夜遅くにスーパーへ行くと半額シールが貼られていてつい買ってしまうことがあったり、家の中にお菓子があることが分かっているとお茶の時間も待てずに手を伸ばしてしまったり、遅延報酬が判断できないというか、「長期的な目標はあるにもかかわらず(痩せたい・健康を維持したい)、目先の欲望に直ぐに負けてしまう」なんて状況をどうにかしたいなあとは思っていた。次の機会待てばいいか、とか待てないんだよなあ。

まだ最初の方しか読んでいないけれど、やっぱ時代の変化と共に「待つ」ということに対しての価値観ややり方が変わってきているよね?という警鐘をこの本は鳴らしている。LINEがあれば、昔みたいに文通で一週間のスパンを置いてやりとりするなんてこともない。「待つ」ことが当たり前だった時代から、「待てない時代」「待てない社会」になったのではないだろうか?という主張には、最もだと感じるなあ。
ソシャゲの課金や半額セールもそうだけど、目先の誘惑に負けることで経済が勢いづくし、堪えることができない、忘れないうちに確実な今の価値を獲得したい、という人間の判断が当たり前になることで、耐えるという経験があまり積むことができなくなったのかも。それは、変化の激しい社会では、受け身であることがマイナスだと教えられたからかもしれないし、目の前にぶら下がった人参に釣られることがあまりにも多いからなのかも知れないが、焦ったさに屈することや、逆に待つことが、人にどのような影響を及ぼすのか考えていきたい。みたいな気持ちにさせる本。また明日続きを読みたい。

Lemonが数多くのカプ厨のイメソン餌食になったって話?

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不自然な死因~イギリス法医学者が見てきた死と人生 / リチャード・シェパード

アンナチュラルってドラマあったじゃないですか。米津玄師のLemonを主題歌にしてたやつ。あのドラマ、実家に帰った時たまたま最終回をやっていたので流れで見たんだけど、途中で「妙だな……テトロドトキシンには解毒薬はない(現在まだ見つかっていない)が……?」と漫画とかで培ったオタク知識が活きた瞬間だけ覚えてる。なんの自慢話?

ともあれ、この著書は、イギリスの医学者が死因を特定するために遺体の解剖を続けてきて、何を見て・何を思ったかの半生を綴ったびっくりするほどクソ分厚い本。かの有名な養老孟司先生(解剖学者)が解説を入れているのだが、それが終わったページで483Pの刻印押されとるからね。厚みやば。本は分厚いが、短編くらいの長さの出来事一つ一つをくっつけて一冊の本にしましたみたいな感じで、もちろん最初から通しで読むに越したことはないが、割とどこからでも読める構成でありがたかった。最初の1ページにさえ手をつけてしまえればスイスイ読めた。人が死ぬという結果の原因を特定する職業の話であるがゆえに、その前後に付き纏う痛ましさや悪意、世間の判断、理不尽さに陰鬱になる箇所もあるんだけど、著者が必要以上に物事の善悪を強調しないし、ただ当時の自分の心情を書きました、的な筆の運びで読みやすくはあったかな。

9.11回りの出来事やダイアナ妃の死因の再検証なども興味深くはあったんだけど、シンプルに「DNA鑑定が高精度になった今日において、フェイスマスクなしで息をしたり話したりすると、DNAまみれの唾液の飛沫が現場に残るのは誰でも知っている」的な知らない知識が出てきたりして、もうそこまで時代進んでいるんだ!?と驚いた。や、やべ〜!知らなかった〜!でも、やっぱDNA鑑定にはロマンがあるよな!と改めて興奮してしまった。古代遺跡でファラオのDNA鑑定がなんとか、イングランド王リチャード3世の遺骨が駐車場で見つかって鑑定をなんとか、みたいな技術で判明する痕跡にとても興味があるので、そういう本も読みたいなあ。

人は必ず死ぬという当たり前のことすら夢のように感じる昨今、著者が死というプロセスにどう向き合ってきたのかを知ることができる、良い本でした。

漢字なりたちブック 1年生 / 伊東信夫、金子都美絵

小学1年生向けのやさしい漢字の本。漢字の書き取りクイズをやるとき、部首の意味や語源、成り立ちを知っていた方が、明らかに捗るので手に出した。小学6年生まであるっぽいので順を追って読んでいきたい。いや、小学1年生向けの内容ではあるけど、私が個人的にめちゃめちゃ興味があるせいで面白いよ!「大」は両手を広げた人、「天」はその大きいに天井を表す棒線が上にある(ー)、「立」はその逆で下に棒線がある(ー)、「上」は天の横棒の上に何かあるさま、「下」は天の横棒の下に何かあるさま、「夕」は夕方の月のかたちから、「気」は元々、氣と書いて(魔人学園で見たやつ〜!)米を炊くときにできた湯気のモヤモヤから、などなど、心の中のへえボタンを連打しながら読むことができた。小学1年生でこんなに面白いなら、次回以降は一体どうなっちゃうんだ……!?
ただなんか、やっぱり漢字の成り立ちにも諸説あるのだろうということと、小学生向けだから過激な由来は書けないのだろうという感じで、以前読んだ『部首のはなし』や、私がYoutubeとかで得た知識とは違う解釈があるな……と首を傾げる箇所もあり、その引っかかり含めて楽める本だった。この楽しみ方を小学生の頃の私が知っていればなあ〜。(歴史にIFはない)

なんかこの本めちゃくちゃ村上春樹推してくるな

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地に足をつけて生きろ! 加速文化の重圧に対抗する7つの方法 / スヴェン・ブリンクマン

デンマークの心理学者が書いた本で、本の帯にある『反自己啓発書』の宣伝文句の通り、ポジディブ心理学に代表されるような「もっと自分を見つめて己を深く知ることで、あなたは人生をポジディブに最適化し、より幸せに、豊かになれる」みたいな主張に疑問を呈する趣旨の本。どこかのブログの書評を読んで、「この新刊、面白そうだから読みたいな、Kindle化するまで暫く待つか」と思っていたのだが、普通に待てなくて買ってしまった。

教えは7つあって、「1.己の内面を見つめたりするな」「2.人生のネガティブにフォーカスしろ」「3.きっぱりと断れ」「4.感情は押し殺せ」「5.コーチをクビにしろ」「6.小説を読め、自己啓発書や伝記を読むな」「7.過去にこだわれ」。ストア派哲学がベースにあるらしく、生きることは苦難の連続であることを見つめ、ポジディブという麻薬に浸り切ることなく生きていいこう、みたいな感じだったように思う。ストア派哲学って?ああ!(何もわからない)

著書はデンマーク人だそうで、デンマークもアメリカっぽい社会なのか「コーチをクビにしろ」というようなテーマには日本人の私にはいまいちピンと来ていないのだが、「自分の内面を見つめたりするな、内面が空虚でくだらないもので満ちていることが真だったとしたら、あなたはどうするというのだ?」というような意見は頷ける。だいたい人間の奥底には、そんな大それた神秘や真実なんてないんだよな。外でモデルを見つけ、考えながら模倣して、失敗してを繰り返す他ない。自分は何者か、というのは、他者との約束や義務を果たす中で生じる、みたいな感じ。

まあ私も自己啓発書の類は毎月のように消費してしまっているし、流行のコンテンツに常に流されながら生きているので人のことは何も言えないのだが、ポジティブは良いこと、より生産的になること、スマートになること、自分を見つめることって、別にそこまで大事なことじゃないからな!惑わされるなよ!って警告してくれる、いい本だった。

宅配野菜

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永遠の今 / フジコ・ヘミング

スエーデン人の父、ピアニストの日本人母のハーフで、本人も世界的なピアニストとしてご活躍されている、フジコ・ヘミングさんのエッセイ本を読んだ。フジコ・ヘミングさんは、私の母が好きなピアニストという情報しかなかったのだが、実家に帰った時の話のネタになるかな〜というフンワリした動機でこのエッセイ本を手に取った。案の定、戦前生まれの女性芸術家らしいエピソードや語り口のオンパレードで安心して読めた。どういう偏見?(貧乏苦労話、〜かしら・〜わねといった口調、とにかく煙草を吸う、没個性への抵抗感、完璧主義でない、諦めたものがある、古いものに対する思い入れ等は多分あるだろうなという私の先入観と、実際読んでみてそんな感じだったことに対する安心感)
意外だったのは、ベジタリアンだったこと。そうなんだ!?そうなんだって何だよ。まあ、御年齢から肉を食うのがしんどくてそのまま菜食主義にって話は世間では聞くけれど、演奏家って体力勝負なのでは?みたいな思い込みがあるからか、命を大事にという観念からベジタリアンなのはちょっと意外だった。
あと、ヘミングという苗字は芸名なのかな?と思っていたけど、冒頭でも述べた通りにハーフの方で、本名はゲオルギー=ヘミング・イングリッド・フジコというバチバチにカッコいい名前だった。

あとは、ちょこちょこと私物や部屋の写真が本に載せてあるのだが、昔の海外映画みたいな古めかしい雰囲気のある家具や小物が揃っていて、こういうの素敵だな〜と憧れた。古いものをそのまま長い間残せる余力があるというか。モダンで整った無機質な部屋も好きだけど、こういうアンティークっぽい雰囲気を一貫して保つって、結構根気がいるもんな。途中で趣味が変わってもミスマッチになってくるし、断捨離には決して目覚めない、終活や生前整理は死んでからするという覚悟もいる。どんなスタイルであれ、変わらないっていう選択ができるほど、自分の世界が固まってる人なんだろうな。紙面に映える人のエッセイだった。

ニュース

イラクでミタンニ王国の主要都市が発見…!?天は赤い河のほとりで出てきたあの黒太子の国〜〜〜!!!!!!古代オリエント史は、大体少女漫画が教えてくれるんだよな。(王家の紋章、天は赤い河のほとり)

ヒマなんだもの〜〜〜〜〜〜〜〜〜

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ザ・ファブル 8〜22巻 / 南勝久

一気に読了。

ネット広告で1000億回くらい見た、ヨウコちゃんの「ずいぶんナメられたものねぇ──…一人で来るなんて〜〜〜〜」「たとえばテーブルの銃──……いいのそこで?両腕を下ろしてるけどいいのそれで?」が見れたので感無量だった。ヨウコちゃん思ったよりだいぶ強くてビックリしたんだけど、最終的には戦力外とされるパワーバランスで、こういう漫画は良くも悪くも女の扱いが難しいよなあと思う。HiGH&LOWも似た感じだったな。あと、鈴木くんはキングスマンは観ていないのかな?テーブルマナー守らん奴は死ぬって英国紳士が言っていただろ────……。

また、蛇の肉は美味いのくだり、私もマレーシアに行った時にカエルを串刺しにして焼いた肉食べて美味いと思ったから興味がある。昆虫食も割りかし興味があるので、最低限しっかり火が通っていれば…食べてみたいぜ!

最後はちゃんとお兄ちゃんがヒロインと添い遂げたり、デザイン屋の社長がマジでいい人だったり、クズ野郎がいっぱい出てきたりで、殺し屋休暇漫画として期待されているものは一通り出しました!期待に応えました!って感じがして全編通して面白かったと思う。やっぱずっとネット広告のネタにされているだけのポテンシャルあるよ!続編も出ているようなので、折を見て読み進めたい。