「2022年」の記事一覧

やっぱ聖書からは逃れられないのか?

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『ちびくろサンボ』絶版を考える / 径書房編集部

前回の続きから。読了。

▼前回

やっぱ全人類「ひぐらしのなく頃に」を履修しておくべきなんだよやっぱ全人類「ひぐらしのなく頃に」を履修しておくべきなんだよ

絵本ちびくろサンボの「サンボ」が蔑称だということで論争が巻き起こった絶版騒動、なんやかんやで「絵本の少年はインド人、インドではサンボは普遍的な名前」というネタが本の付録のコーナーで出てきてしまったので、もうこれ以上、この前提がなかった時代の揉め事を聞くのはしんどいが?と思って寝かせてしまっていた。しかしながら、まだ200P近く残りのページがあったので、なんとか重い腰を上げて読み切った。以下メモ。

この絵本を差別問題とこじつけるのは大人の都合であって云々の理屈で、再度出版に踏み切った会社もある。もちろん日本の差別反対団体の抗議も受けたが悉くスルーし、差別を受けたと主張している当のアフリカ民族会議の駐日代表の抗議にも、電話で「あなたの見方がおかしい」と返した。差別とは「痛み」というものを感じる人が一人でも声を上げれば成り立つのか?

昔の英辞典には「サンボ=蔑称」という記述はないが、最近の英辞典にはそのような記述がある。のろま、知能が低い、猿を意味するなど。国や場所、歴史背景から、同じであるはずの言葉が、違う意味を持ち始める。ポジティブな意味で普及している国に住む人にはなんともないが、ネガティブな意味に変わった言葉が普及しまって場所では違う風に捉えられてしまうこともある。時代と共にネガティブな意味を持つようになってしまった言葉に過剰反応したり、それに露悪的な態度で改悪した絵を添えたり、皆同じ時代背景を認識していないといったことも、事態を複雑にした要素の一つではあるが、それが全てとも言い難い。例えば、ちびくろサンボの原題は『The Story of Little Black Sambo』であるが、日本人は『Little Yellow Monkey』と書かれた吊り目の軍人やゲイシャが出てくる絵本が出てきたら、同じように思えるか?その本がインド人のよくある名前のサンボくんの物語だったとしても、出版にあたってステレオタイプの黒人像に絵を変更された絵本を、奴隷時代に「おいサンボ!」と揶揄われ続けてきた黒人が見たら、そしてその息子が学校で「サンボ」というあだ名をつけられて泣きながら帰ってきたら、絵本を配給する側に配慮してほしいというのは当然のことでは?「あなたと私は違う人種」という強烈なメッセージである。聖書でも取り扱うテーマなので問題が根深い。
しかしながら、インド人から見た絵本の見方もまた違うことであることも、同時に気に留めねばならない。それにちびくろサンボが好きな黒人もいる。それを気に入らない人もいる。人種によってその傾向はあるが、個人としてもまた違う意見を持つ。などなど。

つまり、己の認知の負荷を下げるために、過度に一般化して(「ちびくろサンボは黒人差別の絵本だから絶版は止むを得ない」)、問題を「だから当然ダメ」の一言で済ませるのは悪手になりうる。
人を一人理解するにも、今日明日、今この瞬間に変貌するその人の人格に対して、常に変化し続ける評価をもたなくてはならないというのは、あまりに負荷がかかることである。一生をかけて一人を理解するよりは、1つのステレオタイプで「日本人(1.2億)は全員メガネで慇懃無礼」みたいな雑な理解をしておく方が圧倒的に楽だ(それが普段、使う機会のない概念であればなおさら)。ただ、今回の問題は、その「楽」な方へと全体が舵を切り続けた結果、問題が拗れたとも言える。立ち止まって考える、その機会と意識は、事情が許す限りは少し持たなくてはならないのでは。

そういった意味でも、「差別問題だからと訴えられた」から即座に絶版してなかったことにするのも、出版側の悪手なのかもしれない。本にはこう書いてあった。差別用語をなくしても差別意識はなくならない。表にある、外に出ている「有害」は消せたとしても、人間のフィルターまで消せるわけではない。問題から目を逸らしても問題がなくなるわけではなく、嫌々ながら正面から格闘をする必要もあるだろう。ただまあ、売る側もイメージ商売ではあるし、恒久的に対応し続けなくてはいけない問題を抱えるのは、負荷のかかることだしなあ、と考えると、やっぱ止むを得ないのかな……。高尚な倫理観を出版側に期待するのは勝手だが、まずそんなことを他者に期待するのではなく、自分からできることを考えた方がまだ生産性があるのでは?と言われれば、それは確かにそうだもんな。

とにかく負荷のかかる問題ではある。日本は「黒人差別」と言われると、あまり身近なこととは考えられないかもしれないが、「男女差別」と言われると急に「うわ……この話題には近寄らんとこ……」と面倒に感じてしまうもんな。大体のことには優位も劣等もなく、人間の認知の歪みでそのような錯覚を起こしているだけなのだが、その思い込みで実害が出ていると感じている以上、それが論拠になってしまうのもわかる。だからと言って、そのように、答えも出なければ、他者の理解も得にくい、ただただ自分を含めた人間の無知さ・愚かさを直視し続けるような行為も辛い。もっと他に、楽しくなれるような遊びなんていっぱいあるもんな。

本の中にもあったが、結局のところ、「サンボ」という言葉の意味が問題ではなく、その道具を用いて他者を傷つけるために振り回す人間がいる、ということが問題なのだろう。そしてその幻視を見て、勝手に心が傷ついてしまうことにまでは、誰も責任が持てない。また、過度に一般化をしてレッテルを貼り、何も考えもしなければ偏見も改めないなど、己の認知負荷を下げる行為はおおよその生物の本能とも言えるので、その人が悪いわけでもない。どうしたらいいのか、見当もつかない。だからこそ、安易に結論を出してしまうことはできる限り避けて、悩みを保留し続けることを、諦めるしかないのかも。

山を舐めると死ぬ、それはそう

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孤高の人1〜17巻 / 坂本眞一、新田次郎

かなり昔に、いつか読むぞリストに突っ込んでいた漫画。この本は、もともと実在の登山家をモチーフにした原作の小説があるっぽく、それをアレンジして漫画化になったっぽい。

確か登山家の主人公が一人山に挑む感じで、ヒロインが風俗落ちするみたいな事前情報は仕入れていたのだが、まあまあその通りの内容だった。途中まではなんだか爽やか青春部活ものっぽい雰囲気があったので、「おや?もしかして違う漫画読んでる?」と首を傾げたら、急に、マジで急に、地獄の道に行くじゃん。なにこの急展開の角度のエグさ…!?と思って読み終わって調べたら、やっぱ途中から原作変わっとんのよ!道理で!

恩師は死ぬし、出てくる連中の大半がクズだし(1巻で出できたヒロインは風俗落ちして、ライバルポジションの男は詐欺師オチ、命を預け合う仲間の裏切りも多々)、バトル漫画よりも多く人が死ぬし(登山仲間は大半が死んどるが!?)、も〜〜〜!!最後まで信じられるのは嫁と大学の先生だけ!!こういう人間関係のクソみたいなしがらみのある下界を振り切って、ただ一人命をかけて山を踏破する瞬間にすべてを賭けようとした主人公の気持ちは分からなくもない……と言いたいところだが、主人公も主人公でかなり極端な思想なので、まあ……山以外何もなくてよい、という思考の脆さは見ていて不安になったし、案の定社会でうまくやっていける気配もなくて、ずっと見ていて辛かったが、うん、うん……。でも、途中で「俺は不死身の森文太郎だ」みたいなの出てきた時、金カム思い出して笑ってしまったな(おそらくこの登山家の方が先)

Youtubeでもたまに登山家の遭難事件の動画とか見たりするんだけど、見たものの半分以上が登山家が死ぬ有様だったりするので、私は、絶対に山には登らねえぞ!という強い意志を育んだまま読了した。無理だよ山〜〜〜〜クマもいるんでしょ〜〜〜〜!?まあでも、この漫画はとても面白かった。絶対山には登らないが。

同行(アカンパニー)、オン!マサドラへ!じゃないのよ

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1日外出録ハンチョウ 113話『巨父』

ヤングジャンプと間違えて、うっかりヤングマガジンを手に取ってしまったので、ついでにハンチョウを読んだ。今回は、寝る前にイマジナリー息子の成長過程の妄想をしているといい睡眠導入になってよいと言う話でメチャクチャ笑ってしまったし、メチャクチャ身に覚えがあった(私も数年使いまわしているイマジナリー幼児がいる)。

そうなのよね、寝る前の妄想って、とりあえずなんでもいいから適当にスタートして、そのまま気がつけば入眠時特有の胡乱な方向に入ってゆき(妄想中の班長が急に「同行(アカンパニー)、オン!マサドラへ!」とか言い出したのオモロかったし、あれ?これヤンマガじゃなくてやっぱりヤンジャンか?ともう一度雑誌のタイトルを見直してしまった)、そっから夢に睡眠に……というのは、確かにみんなやってるライフハックなのかも。作中では、幕末にタイムスリップして歴史人物に訴えかける入眠妄想から始めるもの、異世界で無双するもの、麻雀で無双するもの等とバリエーションが豊かである。

班長も、別に家族や息子が欲しいわけではないのだが、よく眠られるからって理由でイマジナリー使うの面白いな。イマジナリーが家族なのも、寝る前にイチイチ新しい設定を考えるよりかは安定したいつものシチュエーションを使い回すという感じで使っているようだった。息子に限らず、娘、犬、対象は家族であればなんでもよさそうで、大体20日間で個体の主要イベント(授業参観、パパ大好き期、反抗期、大学、就職)をこなし、ゴールの自立まで見届けると、新しい家族を拾い直す(お陰で今は100を超えるイマジナリー家族の残骸がある)と言うオチも良かった。いやー、途中で単行本買わなくなってしまっていたけど、久々に読むとやっぱ面白い漫画だよな。続きも買い足すか。

今日は大人しくして終了!

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以下のYoutube動画を見て、人間の時空の認識について興味が湧き、『空間の経験(イーフー・トゥアン著)』と言う本を買ったのだが、眼精疲労がヤバくて何にも手がつかん。解散!また明日!

推すなら七海がいいって言ったじゃないですか?先生ェ!

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ジャンケットバンク 第1話〜第86話 / 田中一行

最近、私のTwitterのタイムラインでよく見かけるジャンル……と言うオタクありがちな理由で原作に手を出した。単行本で追い切れる箇所は一通り追って、残りの話も気になったのでヤンジャンアプリを入れて最新話まで一通り見た。まだギリギリ一気に追い切れる範囲でよかったよ、100話超えてたら流石に追いかけるのを諦めただろうからな。

そして読んだ感想なんだけど、全く知らん銀行員のボーイが主人公であったことに驚愕の一言〜〜〜〜(!?)。エッ!?ジャンケットバンクが好きなオタクのタイムラインからは一切情報が出てこなかった人物がまさかの主人公…ッッ!!二次創作がきっかけだとこう言うことあるよな、ある…!とはいえ、久しぶりのオタクあるあるだったので笑ってしまった。

物語はというと、裏でギャンブルやってるヤベー銀行に就職してしまった主人公が、もう一人の主人公であるところのヤベーギャンブラーのジャンケット(ギャンブラーの担当員)になり、デッドオアライブの世界に足を踏み入れてしまった話。そこそこに人が死ぬので、「これは下手に推しを作ると死を見る感じだな……呪術廻戦で同じ目にあった人間死ぬほど見てきたやつぞ……」とは思いつつ、獅子神と言う序盤に出てくる噛ませポジションの、しかしプライドと向上心が高いギャンブラー(投資家)が気に入ってしまった。

このキャラクター、主人公たちとの対決後も、ちょこちょこ日常回やらなんやらで出てくる。直近では第85話、彼がお手製のカレーを作っている等家庭的なところを見て、これまたニコニコしていたのだが、その次の話、最新話の第86話、86話で、エ!!!?どういうこと!?どうして急にこんな地獄が現界した!?!?やだあ〜〜〜〜!!死なないで城之内くん〜!!!!!

続きが気になるので、しばらく追いかけていきたい。