「2022年」の記事一覧

読書:脳の地図を書き換える / デイヴィッド・イーグルマン

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脳の本を何冊読んでも、自分の脳がより高度になる訳ではない(戒め)

脳の地図を書き換える / デイヴィッド・イーグルマン

スタンフォード大学の神経科学者が脳について語っている本。まだ若く脳の可塑性が保たれている状態なら、人は脳の半分が除去されても、十分に生活することが可能である。盲目になった人間は、肌で音を感じるし、視野情報を扱う脳の領域は点字を読む際にも活性化するようになる。そのように、「脳は絶えず自らを改造する汎用的パターン認識器」として捉え直すことを著者は提唱している。

以下メモ。

・当初学者は、人間の遺伝子は複雑で、数にするとおよそ数十万個はいると決めてかかっていたが、実際には二万個だった。人間が生まれた時、脳の台本を前もってすべて書いてはならず、基本構造だけの状態で世に出る。その基本構造だけを持ち、精緻にして行くことは外の世界に任せるのだ。このため、出産時の人間の脳は著しく未完成であり、完成させるには世界その相互作用が欠かせない。

・脳は課題解決装置だとする仮説がある。つまり、脳が気にかけているのは、何かしらの課題を解決することであり、その解決のために用いられる情報が、どの感覚経路を通って届けられるかは関係がない。目が見えなければ、肌で見ても良いし、音で見ても良い。脳の可塑性が保持されている限り、問題解決に適した状態に作り替えようとする。

・しかし、世間の定説では、歳をとると頭が固くなるとされる。脳は、既存の内部モデルと現実との差異があればあるほどそのギャップを埋めようとして改造をする傾向にあるのだが、歳を取ると、物事の予測を立てたり、スルーしたり、自分の解釈の応用で現実の出来事を収めてしまうことが上手くなるため、若い頃ほど脳を書き換えなくても(頑固なままでも)問題は解決できることになる。

・ネルソン提督は、右腕をなくし、幻肢感覚(存在しない腕がまだあるように感じること)から、「これは死後の生を議論の余地なく証明するもの」だとした。つまり、実際の肉体がなくても、肉体があるように感じられたことから、死後の霊体を信じられた。しかし、幻肢感覚は、まだ、右腕の感覚の入出力を受け付ける脳の領域が残っていることに起因すると思われる。

・使われない脳の領域は、徐々に他の用途に使用するために乗っ取られる。この脳の土地をめぐる領土の競争問題に関連する話として、一つ、夢についての仮説がある。地球は自転しているため、大体12時間サイクルで、生物は闇に放り込まれることになる。この間、脳は視覚視野を満足に使えなくなる。脳は数十分でも変わってしまうため、視覚を重要なセンサーとするならば、常に視覚視野を刺激することが望ましい。夢を見るのは、視野の脳領域のシェアを奪われないためのものでは?(これが面白かった)

・「あなた」と呼ばれている存在は、経験を入れる器であり、時間と空間から小さなサンプルが切り取られて、その中に注がれる。

面白〜!!

読書:天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(下) / 小川一水

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前回、上巻を読んだので、その続きとして下巻を読んだ。なんか、確か資源に乏しい星から脱出したいお偉いさんたちがどうのこうのという話だった気がする。うろ覚え。

▼前回

ありったけの夢をかき集めありったけの夢をかき集め

天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(下) / 小川一水

う、ウーン!こんなところで発言することではないのだが、エロの趣味が合わねえ……!いや、大事なことだな。エロを含めた、この物語の展開から嗅ぎ取れる作者の性癖と私の性癖が合わない。SF小説に何を求めているんだ私は、と思わないでもないが、そのフェチから構成されたキャラクターがメインを張っていることが多いっぽいので、最終的にはメインの登場人物の性格や振る舞いが合う合わないみたいな話になってくる気がヒシヒシとしている。上下巻2冊も読めば、それなりに感情移入したくなるキャラクターや注目して追っていきたいキャラクターとか出来るもんだけど、今回はマジで特にそういう登場人物がいなかった。ということは、今後も望めないかもしれない。このSF小説は全17巻のシリーズっぽいので、これは致命的かもしれない……と思い、もうネタバレ覚悟でwikiを漁ってみたところ、お!?次の話は、未来ではなくて現代に戻るの?これは掌返しで読みたくなってきたな。とりあえず、ちょっと日を置いてから、改めて追いかけるか。

1回休憩

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「加速思考」症候群 心をバグらせる現代病 / アウグスト・クリ

老若男女問わず常にながらスマホ、映画やアニメ・解説動画を倍速で見る人も増えた、このご時世。私も常に「何かしらコンテンツを摂取しなければ…」みたいな悪い呪いに取り憑かれている自覚があるんだよな。耳でラジオを聴きながら家事をこなし、風呂の湯を溜めている間にYoutubeを見、散歩の時はKindle本をSiriに読み上げて貰い、寝る前にうとうとしながら本を読む。完全に頭の悪い奴のパターンだなこれ、ショーペンハウアー先生だって多分そういう判断を下すと思う。他人の考えを感心しながら聞いているだけでは自分で考えたことにはならんのよ。こういうのってやっぱ現代病に入るのかな?静かさ、孤独、思考、人間にはそれが必要なはずよ!あと1時間くらいは、家でじっとすることに耐えられるようにならないと…と反省する毎日を過ごしていた時に見つけた本。

本の内容としては『急速にデジタル化が進み、情報過多に追われ、落ち着きはなくなり、ストレスを抱え、脳は休まることなく、思考だけが加速し続ける現代。この加速思考症候群とも呼べる現代病の深刻さに、我々はどう対応したら良いのか?』的な、今の私にドンピシャな本だとは思うんだけど、思うんだが、やべえ。なんか内容が全く頭に入ってこないし、ピンともこない。こんなことある!?帯曰くブラジルで120万部売れた本が!?ま、まあでも、たくさん売れた本が読みやすいとは限らないもんな。ちょっと日を置いてみるか。一旦、今日の読書はここまでとします。

ぜんぜん関係ないけど、帯曰くブラジルで売れた本ってことは、原著はブラジルポルトガル語とやら?また出会ったな、ポルトガル。そこだけニッコリしてしまった。

読書:ポルトガル菓子図鑑 お菓子の由来と作り方

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Twitterでつぶやく時、「▼トピック、・」と打つのが面倒になってしまった。(諦念)

ポルトガル菓子図鑑 お菓子の由来と作り方:ルーツは修道院。知っておきたいポルトガル菓子101選 / ドゥアルテ智子

この間読んだ、ポルトガル滞在記に出てくるデザートが美味しそうだったので、なんとなく手に取った。あと、ポルトガルから長崎に伝来した菓子類って結構あったんちゃうかったかな、と興味が湧いた。ポルトガルからやってきた菓子で、パッと思いつくのはカステラかなあ。昔、お笑いコンビのロンドンブーツ1号2号が「ポルトガル人が〜長崎へ〜カステラカステラカステラカステラ…明月堂のカステラ〜」みたいなCMソングを口ずさんでいたのを覚えている。なんでそんなことばかりを覚えている?

ともあれ、ポルトガルのお菓子の図鑑を開き、お菓子の写真・紹介・レシピが見開きに収まったページを1枚1枚捲っていった訳だが、素朴なお菓子が多い印象があるな。基本は卵と牛乳と大量の砂糖。ビスコット、トウモロコシ粉、ナッツ、メレンゲの何か、カスタード等々。甘さとコク。古き良き、伝統のお菓子文化こそがポルトガル菓子!という感じで派手な感じの菓子があまり見当たらなくて、修道院ゆかりのお菓子が多いっぽい。

図鑑の解説曰く、ポルトガルは9割がカトリック教徒で、キリスト教にまつわる菓子が多いとのこと。かのスペインの隣国だもんなあ、それはカトリック一強になるよな。だから修道女が開発した菓子レシピが多くて、素朴な印象のものが多いのか。まあカトリックが質素か〜?と言われるとちょっと違う気もするが、さほど材料や技術が発達していなかった時代のものを継承しとんのかなと。また、修道院は古くには王族貴族が国内旅行をする際の宿泊施設としての役割があり、高貴な人へのもてなしとして、貴重な砂糖を大量に使った菓子作りが発達したとのこと。時代が進むにつれて、修道院に権力が集中することを恐れた王が修道院廃止令を施行され、収入源を失った修道院は、市民にお菓子やレシピを売ったりして広まった、とあり、納得が行った。あと、スペイン統治下になったり、財政基盤が貧弱だったりのゴタゴタで、普通に工業化全般が遅れており、それが手作り菓子の文化を残すのに逆に良い環境になったっぽい記述がある。そんなことある?

気になっていた日本へ伝来された南蛮菓子のルーツだが、一六タルト、カステラ、カスドース、かせいた、鶏卵素麺、金平糖、丸ぼうろが紹介されていた。お!?さすがカステラを教えてくれた国、丸ぼうろ(ボーロ)もラインナップにある。言われてみれば、砂糖と小麦粉をバンバン使うのは日本古来の菓子ではないよなあ。そういう意味では、ポルトガルに影響を受けた、砂糖と小麦粉をバンバン使う菓子が多くなっていくきっかけとなったのは、ポルトガルなのかも。ポルトガルは植民地政策によるプランテーションで砂糖を多く交易商品として持っていたから、日本の貿易拠点の九州側では甘いものが流通して〜みたいな流れだとは思うが、もしかして九州で甘い醤油がメジャーになったのもそういう理由なのでは?「砂糖は高価なものだが、俺たちは…使える!」ってコト!?また、「コンフェイトシュ。来た!金平糖の原型!」と思っていたら、ご本家では白くてゴツゴツした砂糖菓子のようだった。我々の知っている半透明の金平糖は、どうやら日本人が魔改造したものらしい。いつもすみませんね、日本人が……。ちょっとびっくりしたのは、米系のスイーツが結構あること。カスタードで煮た米とか。米ケーキとか。

興味がある国のレシピ見るのって楽しいよなあ。そろそろちゃんとしたポルトガル史の本にも手をつけてみるか。

性の対象は季語に入りますか?

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大人になるまでに読みたい15歳の短歌・俳句・川柳(1)愛と恋

15歳の倍以上の歳を取っているが、ようやく短歌に興味を持ち始めたので手に取った。手に取った後に気づいたんだけど、サブタイが『愛と恋』だった。15歳の……愛と……恋!

鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし

三橋 鷹女(みつはし たかじょ、1899年12月24日 – 1972年4月7日)、千葉県出身の俳人

鞦韆(しゅうせん)ってなんだ…!?いきなり困惑してしまったが、解説を見たらブランコのことで、春の季語とのこと。ブランコって季語になるんだ?それも鞦に秋ってあるのに春の季語とは一体?でも、「〜べし、〜べし」の勢いが良くていいな。愛は奪うべしのインパクトもよし。そしてよく見たらこの本の句、15歳以下の人が読んだものじゃないな。恋とか愛とかの句を並べるから、大人になるまでに一度読んでおいてくれということか。

こういった歌集は一気に読むものではないという偏見が私にあるため、少しずつ読んでいる。下句に「性の対象」とか「しめる友の首」とか、たまにアンブッシュが来るので、面白い。