「2022年」の記事一覧

読書:発達障害サバイバルガイド / 借金玉

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

この間、月間スピリッツを読んだ時に、たまたまカレー沢薫先生の『なおりはしないが、ましになる』という発達障害についての漫画を見た。発達障害については正直なんも知らんのだが、人の心がわからないことについては自覚があるので、とりあえず参考までに……という動機で、前々から気になってはいたこの『発達障害サバイバルガイド』という本を手に取ったのだった。これが思いのほか、とても良かった。シンプルに生活する上でのライフハックについて、メチャクチャ強力な方法を提示して来る……。そうか、発達障害者が見るという前提で書かれた本で、これだけ堅いシステムを組んでるなら、そりゃあ大体のヤツに効くに決まっとる。うっかり付箋まみれにしてしまった。

発達障害サバイバルガイド / 借金玉

とはいえ、流石に私も30代半ばを過ぎたところなので、本の内容の三分の一くらいは、これまでの人生でなんとなく自分でもやっていたことはある。しかしながら改めて言語化されるとよりシステムが強固になっていく気がして、一度自分の生活について考え直す良い機会になったと思う。

この本が提示しているのは「より楽な、より快適な、より優雅な生活」。
これらのやり方について、「生活環境」「お金」「習慣」「在宅ワーク」「服」「食事」「休息」「うつ」の8つのテーマを絡めてガイドしていく、というのが大まかな内容になる。

以下、自分のことを振り返ったメモ。

(1)生活環境
設備投資できない病、これだあー!!!!!仕事周りについては、機能性の高いパソコンでいかに効率よく仕事をするかや、ドライアイ対策に加湿空気清浄機を横に置いたり、定期的な換気を行ったりと気を配れるんだけど、自分の身の回りの生活に消費する時間効率については後回しにしてしまう……!!食洗機、電子レンジ、炊飯器、ガスレンジ、乾燥機付き洗濯機、うちにない時短家電の数々よ。家事があまり苦にならない方なので、気分転換と考えるやり方で落ち着いてしまったが、そうだよなあ、仕事も生活の上で成り立っているんだから、仕事以上に生活の環境を整えなきゃいけない。自分の体が一番の資本なんだからな。人生をよくするのは努力ではなく設備投資、その通りだった。メチャクチャ反省したし、ゲームで学んだことを何も活かせてないことに気づいてしまった。ゲームではあんなに、楽になるための設備投資(装備・レベリング・ガチャなど)にマネー回せていただろ!

(2)お金
そんなに儲かっているわけではないのだが、何せ私はフリーランスで、自分で確定申告をしなくちゃならいということもあり、常にデビットカードとマネーフォワード先生に依存している。そのおかげで、まあまあ支出については管理できている……余剰資金で積立NISAとiDeCoもできとる……とは思う。ただ、生活環境の時にも思ったんだけど、つい光熱費がケチれないか考えちゃう悪癖があるなと気づいてしまった。必要なものをケチる、というのは、心身に良くないに決まってるんだよな。だって必要なものだぜ!?毎日確実にぶち当たる事態に、毎回ネガティブな思考を働かせるのは、どう考えても認知資源が勿体無いに決まってるのよ。私は自分の努力とか根性とかを当てにし過ぎている。人生をよくするのは努力ではなく設備投資……!(二回目)

(3)習慣
これについては、30代に入ってから、何事も長期戦でコツコツ挑む癖がついてきたので、実践できているかも、と思っていたけど「習慣にしたいものをエブリデイボックスという箱に突っ込んで、1日1回の眺める」は革新的だったかも。毎日Googleカレンダーを眺める、またはスマホのアプリのアラームとかをトリガーにして何かをする、みたいなことをしていたが、それよりスマートな方法かもしれない。というより、私は「物理的に視界に入る」ものの存在の強みを生かしきれていないなと思った。否応なく視界に入ってくるものを置いてみよう。

(4)在宅ワーク
ここ数年は在宅ワークで自分なりに対策を練ってきたこともあり、これはまあ、大丈夫。たぶん。繋がっていたい人に、もっとお菓子を送ったりするようにしよう。

(5)服
他人の目がない+ユニクロ+アップルウォッチなので最強!最強です!

(6)食事
これも問題なさそう。調理理論と栄養学は昔習っていたし、基本野菜は皮ごと食う、生協コープで一週間分の食材を買っている、予定とは違うけど美味しいもの食べてえ〜〜!!!美味しいものつくりてえ〜〜!!ってなったら外に出たりはする。

(7)休息
これもできている!と言いたいところだが、ちょっと怪しい。完全在宅ワークのフリーランスなので、仕事とプライベートの境目がない。そして美味しいご飯をゆっくり食べる、お茶をゆっくり飲むという喫茶喫飯が、なんかできないんだよな……と日々反省してしまっており、ちょっと心のしこりになっている。スマホや動画を見ながら休憩っぽいことをしてしまう癖がついているんだよな。そしてそれをやめたいと思っているのに、辞められない。春と秋は、気ままに手ぶらで散歩へ行くという趣味があるから良いのだけど、ただ自宅で過ごすしかない夏と冬がどうも……。最後の方にあった「多くの楽しさは、技術的習熟の先にしかない」「人生は、少しずつ楽しくなる」というところは、本当にそう思う。

(8)うつ
10代20代の頃は、もっと社会や人と上手く付き合っていかねば!という気持ちが先行していたが、30代になって自分にとって適切な他人との距離感が分かるようになった。鬱っぽい気分になる原因に対しても、逃げたりスルーしたりすることができるようになり、悩む時間が減って、そのぶんいろいろ考える時間が取れるようになった。ようやく生きていくのが随分上手くなってきたと感じるし、40代に入ればきっと、もっと楽しくなると思いたい。

などと振り返ったときに気づいたのだが、ここまでやってこれたのは、私自身の努力というよりは、思考するゆとりが取れるようになった状況・環境の恩恵がだいぶデカい気がする。やっぱ、時間と気持ちの余裕を生み出すような、環境に対する設備投資が大事だな!?!?一番最初の課題に戻ってきてしまった。仕方ねえ〜〜〜〜〜自分と生活に対しての設備投資に金を使ってみるか〜〜〜!!(諦念)

漫画:medium 霊媒探偵城塚翡翠 1〜2話 / 相沢沙呼、清原紘

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ヒストリエの続きが見たいなと思って、なんとなく月間アフタヌーンを読んでいたら、新連載「medium」の文字が。聞いたことあるな、なんか原作はミステリの小説だったやつでは?

この目立つ表紙の本、確か買って積んでいた覚えがあるし……!と思いつつ、漫画版を読むなどした。

medium 霊媒探偵城塚翡翠 1〜2話 / 相沢沙呼、清原紘

表紙絵と「medium」の英単語しか視界に入っていなかったので、全くもって今更ながらの気づきなのだが、これは霊媒師と探偵役のタッグによるミステリジャンルなのね。何にも分かっとらんかった。いわゆる「犯人や手がかりは超能力でわかるが、どうやって証明していくか」という系統のやつか、小説家になろうでよく見たやつ。とはいえ、漫画を書かれる方の絵力もすごいし、展開としても丁寧に進んでいくのでスッと話が頭に入ってくるし、面白かった。バンジーの泣き女は有名なオカルトだけど、確かにその女の厳密な出現条件までは考えたことなかったなあ。主人公の霊媒師・翡翠ちゃんと、推理作家として難事件を解決してきた香月のタッグは、互いの能力で互いを補っている感じで、いい組み合わせに見える。積んでいた原作の小説にも手を付けてみるか。

読書:言ってはいけない / 橘玲

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お?Kindle Unlimitedに入ってるじゃん、読もうかなって思って商品ページを開いたところ、視界に入ってしまたのは、Amazonくんの「お客様はこの商品を2016/6/28に購入しました。」というメッセージ。6年くらい積んでいたのならもう記憶にあるわけがないのよ。ちゃんと読まないからこんなことになる……!!

言ってはいけない / 橘玲

まあ多分、『金!セックス!暴力!』みたいな内容で、今となっては大体知っているという話だろうな……(ちゃんと買った6年前の当時に読んでいればどれも知らなかったと思う)とボンヤリ想像していたが、遺伝による知能の格差、美貌格差による損得計算等、と大体その通りの内容だった。やっぱ倫理観みたいなもんは近代の発明で、生き残ってきた生物の生存戦略なんて綺麗事であるわけがないのよ!とビンタされている気分でもあった。とはいえ、ちょっと気になったのは、「そういえば採集狩猟民では、『金!セックス!暴力!』みたいな話題あんまり聞かねえな〜〜」というところ。この分野、原住民と30年一緒に生活しながら研究しているといったガチの連中をたまに見かけるが、採集狩猟民はどういうアンサーを出しているのだろうか。あんまり視界に入ってこないので、気になるな。

これは仮説なんだけど、やっぱ人間楽して得することを選びがちなんだろうな。見た目が良ければ遺伝的にも良いだろう、金を持っているか若いヤツと結婚した方が得だろう、隠れて二股三股しておいた方がリスクヘッジになる、と本能で決めておくのは、これまでの長い歴史でそう外れたもんじゃなかったんだと思う。長い共同生活を送ってく上で、それ以外の要素が目に入るようにはなるけれど、短絡的とも言える、その場の勢いに乗れる人がちゃんと繁栄できたのだろう。今の時代は、たまたま内面がどうたらこうたら見たいな話に表面上なりがちだが、内面を触るだけの距離感、その人に注視することとか、そんな長いスパンコンテンツに注意力を注げる時代じゃないからな。老いながら、深く長く考えていくことより、タイパにこだわって倍速で結論を求めてしまうなら、パッと意識に入る個性やスペックで人を見るのも、間違いじゃない気はするな。投資でもなんでも、早く始めたヤツ、そして試行回数が多いヤツの方が成果が出やすいものだしな。私は猜疑心がメチャクチャ強い方なので、このまま私の代でこの血は滅ぼすと決めているのだが(?)、理想と現実ってやつはいつもギャップがでかいのから大変なのよ……!共産主義vs資本主義の構造みたいなもん!


だからまあ、いつものことながら、究極的には自分で自分をマシな人生にさせるしか方法はない、自分がいちばん頼れるマンであるように仕上げて進むしかない、そしてそんな他人が頼れないようなヤツは対して社会に適しとらんから、大人しく滅びを受け入れておけ!いいな私!という結論に辿り着いて本を閉じてしまった。

とはいえ、平等や公平、努力や人徳、真善美などなど『理想の存在』だとは思っているが、それらの幻想を現実側に手繰り寄せようとするあらゆる手管を、我々は笑うべきではないとも思う。楽な結論を出すことに慣れないように、と自分に言い聞かせ、人類の歩みの一歩一歩が良いものだと信じて生きていくしかないのである。なんの話?このご時世に、ちゃんと結婚して、夢と子供を育てている人が一番社会に貢献しているという話かな……。

動画:やっぱ環境って大事だな…!!

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土地が豊かでもなく寒い地方は、環境条件の悪さを知恵と工夫で乗り切らざるを得ないため知能が発達しやすいけど戦争はよく起きる、みたいな話を聞いたことがあるが、そんなフンワリした認識に対して分かりやすく15分で答えてくれる動画を見た。自国のことを棚に上げ、採取狩猟民族から農耕民族になったユーラシア大陸の考えの野蛮さってどこから来てるんだよ、と思っていたけれど(失礼)、これは……地理が悪い……!

ジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』、買ってはいるんだけど、上下巻で分厚い上に大体の書評をあちこちで聞いているから、もう完全に読んだ気になっていて、ちゃんと通読してないんだよな。近年では色々反論も出ているぽいし…と二の足を踏んでいたが、やっぱ一度はちゃんと読もう。この手の誓い、年に30回くらいくらいはしている。

漫画:フランス家族のニッポン滞在記&出産体験記 / 大場もも

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Kindle Unlimitedで色々な漫画を読み漁ったよメモ。

フランス家族のニッポン滞在記&出産体験記 / 大場もも

この漫画は、タイトル通りにフランス家族が3週間ほど日本滞在した時の記録(と作者が妊娠・出産した経験ログ)なんだけど、やっぱ異文化交流でハッキリする両国の違いみたいなものの認識のズレが面白かった。出だしからして、フランス人の夫と結婚して、日本で子供を産むぞ!となった時に、夫側の親戚友人一同(計6名)がフランスから駆けつけてくるの強すぎんか?

フランスと言えば、革命と人権、自由・平等・友愛、食い物全般が途方もなく美味い、酒も美味い、植民地エグい、十字軍、カロリング家、ブルボン朝、ナポレオン、圧倒的な芸術資本力、ロマンチックっぽい、ファッション総本山など咄嗟に思い浮かびはするものの、そのイメージを現実の具体的な何かと結びつけて考えたことはそんなになかったから、フランス人から見た日本の●●みたいなコメントが面白く読めた。日本人が興味を抱きがちな「フランス人から見た日本のフランスパン」「日本人はビニール使いすぎでは?」「ウォシュレットトイレに感動してフランスでも使えないか検索する」「みんなで回転寿司に行く」などの定番どころも押さえてあるし、全体的に面白く読めたな。