読書:徒然草 ストーリーで楽しむ日本の古典 / 那須田淳、十々夜
「まんがでわかる歴史シリーズ」みたいな、児童学習向けのコーナーでふとこの本を見かけ、そういえば徒然草読んだこと覚えないかも……と思って手に取った。
表紙から見て、てっきり学習漫画だと思っていたんだけど、徒然草の著書・兼好法師の遠縁にあたる、オリジナルキャラクターの女子からみた兼好法師……みたいな感じの小説だったな。児童向けなので、文章はとても易しく、よくわからん時代の描写を視覚化するイラストも相俟ってか、スイスイ読めるのが助かった。いい時代!
兼好法師は鎌倉時代末期(1300年くらい)に活躍して、日本三大随筆の一つとされる『徒然草』を書いた随筆家であるらしい。もとは天皇に仕える官人でもあり、歌人の才も持つという、隠居した後も政治の相談など、人に頼られる人であったっぽい。本名は卜部兼好(うらべ・けんこう)とされ、吉田流卜部氏の系譜に連なり、政治の吉兆を占う神職の卜部家の元当主らしい。へ〜、うらべ……卜部…卜部!?!?
日本の古典を読んでいて、いきなりオタクの血の方が騒ぎ出すなんてことある?あるな……。
この本は「徒然草」というよりは、「嫁入りを控えたオリキャラの少女が、徒然草を書いた親戚のおじさんと少年2人と一緒に住み、その人柄や活躍などを観察することで、兼好法師がどんな人物であったか伝える」という創作がメインなのだけれど、徒然草についての語り草がとてもよく、いきなりブチ込まれた「卜部家」という経歴も相俟ってメチャクチャ興味が湧いてしまい、随筆としての徒然草も読んでみようという気になった。ストーリーで楽しむ日本の古典、よい学習シリーズだったな。