読書:言ってはいけない / 橘玲
お?Kindle Unlimitedに入ってるじゃん、読もうかなって思って商品ページを開いたところ、視界に入ってしまたのは、Amazonくんの「お客様はこの商品を2016/6/28に購入しました。」というメッセージ。6年くらい積んでいたのならもう記憶にあるわけがないのよ。ちゃんと読まないからこんなことになる……!!
まあ多分、『金!セックス!暴力!』みたいな内容で、今となっては大体知っているという話だろうな……(ちゃんと買った6年前の当時に読んでいればどれも知らなかったと思う)とボンヤリ想像していたが、遺伝による知能の格差、美貌格差による損得計算等、と大体その通りの内容だった。やっぱ倫理観みたいなもんは近代の発明で、生き残ってきた生物の生存戦略なんて綺麗事であるわけがないのよ!とビンタされている気分でもあった。とはいえ、ちょっと気になったのは、「そういえば採集狩猟民では、『金!セックス!暴力!』みたいな話題あんまり聞かねえな〜〜」というところ。この分野、原住民と30年一緒に生活しながら研究しているといったガチの連中をたまに見かけるが、採集狩猟民はどういうアンサーを出しているのだろうか。あんまり視界に入ってこないので、気になるな。
これは仮説なんだけど、やっぱ人間楽して得することを選びがちなんだろうな。見た目が良ければ遺伝的にも良いだろう、金を持っているか若いヤツと結婚した方が得だろう、隠れて二股三股しておいた方がリスクヘッジになる、と本能で決めておくのは、これまでの長い歴史でそう外れたもんじゃなかったんだと思う。長い共同生活を送ってく上で、それ以外の要素が目に入るようにはなるけれど、短絡的とも言える、その場の勢いに乗れる人がちゃんと繁栄できたのだろう。今の時代は、たまたま内面がどうたらこうたら見たいな話に表面上なりがちだが、内面を触るだけの距離感、その人に注視することとか、そんな長いスパンコンテンツに注意力を注げる時代じゃないからな。老いながら、深く長く考えていくことより、タイパにこだわって倍速で結論を求めてしまうなら、パッと意識に入る個性やスペックで人を見るのも、間違いじゃない気はするな。投資でもなんでも、早く始めたヤツ、そして試行回数が多いヤツの方が成果が出やすいものだしな。私は猜疑心がメチャクチャ強い方なので、このまま私の代でこの血は滅ぼすと決めているのだが(?)、理想と現実ってやつはいつもギャップがでかいのから大変なのよ……!共産主義vs資本主義の構造みたいなもん!
だからまあ、いつものことながら、究極的には自分で自分をマシな人生にさせるしか方法はない、自分がいちばん頼れるマンであるように仕上げて進むしかない、そしてそんな他人が頼れないようなヤツは対して社会に適しとらんから、大人しく滅びを受け入れておけ!いいな私!という結論に辿り着いて本を閉じてしまった。
とはいえ、平等や公平、努力や人徳、真善美などなど『理想の存在』だとは思っているが、それらの幻想を現実側に手繰り寄せようとするあらゆる手管を、我々は笑うべきではないとも思う。楽な結論を出すことに慣れないように、と自分に言い聞かせ、人類の歩みの一歩一歩が良いものだと信じて生きていくしかないのである。なんの話?このご時世に、ちゃんと結婚して、夢と子供を育てている人が一番社会に貢献しているという話かな……。