読書:面白くて眠れなくなる地学 / 左巻健男
最近、地理に興味が出てきたので手に取った本。
人生で地理に興味が出てくることなんてあるんだ…世界史がなんとなくわかってきた結果、世界地図を見ることも面白くなるなんていう日が来るという想定は今までなかったのだが、まあ興味があるうちに初心者向けのものから見て勢いをつけようという魂胆である。
・アトランティスの存在について言い出したのはプラトン。そのアトランティスを発見したと主張したのは、かのトロイアの遺跡を発見したシュリーマンの孫であるらしい。シュリーマンの名前は聴き終えあるな〜と思っていたら、確か日本にも来たことがある人で、アジア旅行記みたいなの残してなかった?孫も似たようなことやってんだな、と思ったら、シュリーマンと違って孫はだいぶアレだったらしい。とりあえず、地質学的には、大西洋にアトランティスが存在したと言える痕跡はないとのこと。
・超大陸パンゲア。元々大陸は一つだった。プレートテクトニクス論で補強されたのね。この本を見ながらGoogle Earthで日本のプレートも見てみたんだけど、こんなの怖すぎんか?こんなズレの隙間にぎゅうぎゅうにプレートを詰められたら、地震なんて起きるに決まってるんだよな。
・山の出来かたは大まかに2種。火山の噴火でできるタイプ(例:富士山)、地面にしわがよってできるタイプ(例:日本で2番目に高い山、北岳)。なんとなくなんだけど、地面にしわが寄ってできるタイプは、崖があったり、上下の高低差が激しい地形が多そうで、登山家の漫画『孤高の人』の主人公が、日本一高い富士山より2番目に高い北岳を攻めていたのはこういう理由なのかも!と今になって納得してしまった。
・磁石のS極、N極の話。地球を大きな磁石として捉えたとき、北(North)がN極、南(South)がS極であろうと思い込んで疑っていなかったのだが、実際のところ現在は、「N極が南」「S極は北」とのこと。そんなことある!?!?じゃあSとNはなんの略だよ!?紛らわしいなあ!と思っていたら、そもそも地球の磁極は反転することがあるらしい。77万年前にひっくり返ったり、258万年くらいに更にひっくり返ったりしていたというのが地層の状況で分かったとのこと。これが一番びっくりした話かもしれない。
・スノーボールアース仮説。これは有名なやつだ!解説動画で見たことがある。過去に地球の平均温度が−40度になったことがあるってやつね。なぜ地球が全て凍りついたのかは原因が特定できないようだけど、その地球が凍りついた状態から温暖な気候に戻るまでに発揮した温室効果ガスの効力というか、そういうものが少しは理解できるようになる話だった。あとは、やっぱ極端に寒くなると生物は絶滅期に入るが、同時に環境の変化は強力なターニングポイントにもなる傾向にある、というのも面白かった。これはこの本の話にはないのだが、恐竜は人間史よりも長く種として生きていたが、人間ほどの知能を持たなかった。温暖な気候だと植物が繁栄し、食糧に困らなくなるので、知能をあげずとも生きていける。しかし、寒くなると食糧の取得が困難になってゆき、生きるための工夫や、食い扶持を減らすための同種の間引きが必要になっていき、それが人間が知恵をつける要因の一つになったのではないかという話もあったような気もする。面白い。
・最後の方に、火星のテラフォーミングについての話も出てきた。「Surviving Mars」という火星テラフォーミングゲームに熱中していた時期があり、楽しく読めたのだが、やっぱ色々現実的ではなさそうだなあ。火星をテラフォーミングして移住してみよっか!みたいなのは、大体地球の資源が枯渇するとか環境が悪化するとか、そういうのが主な要因となると思うのだが(人口爆発の可能性はもう無くなってきたしな)、その上でどえらい量の地球資源を使って火星を開発する前に、まだやることがあるのでは…‥火星調査の人間がいくのはいいが……みたいな空想に時間を使ってしまった。やっぱ人間こういうのが好きなんだろうな。
以上!