読書:知的思考力の本質
おじいちゃんたちが、おじいちゃんが好きそうな教育や教養についての話をしている……みたいな対談本をパラパラ読んでいたところ、急に「小説の『リング』が賞に落ちたおかげで、賞金1000万円で著作権ごと買い取られずに済み、ドラマ化、映画化、ハリウッド化の権利で今ウハウハ」みたいな話が出てきて盛り上がってきた。エー!?リング・らせんの小説を書いた鈴木光司先生と、ベストセラー翻訳者の竹内薫先生でしたか〜〜!『超圧縮 地球生物全史』、気になってたんですよね〜〜!(媚を売る)(権威に屈するな)
そういうわけで、そういうお二人が「知的思考思考力について考えていこうぜ」というテーマで対談した本。「ウーン?正直言って首肯しかねるな……」みたいな感想と「なるほど!」みたいな相反する感想が行き交う反復幅跳びした。以下、メモ。
・西洋思想は、真善美というような哲学的な問いに始まり、突き止めてゆくと最終的には科学に行き着く傾向にある。これは一神教のエリアであることが関係しているのでは?突き止めれば、必ずそこには一つの真理がある、という前提がある。東洋はというとアニミズム、すべてに霊魂が宿り、それをあるがままに物事を受け入れる。事象に対して「こういうものだ」とただ受け入れ、観察し、外の現象の理由については掘り下げずに終わる。西洋的な価値観に見る理論性と、東洋的な価値観から生じる情緒性、その両極端の狭間にある中道を目指してブランコのように揺らぐことが本懐なのでは?
・また、西洋・東洋に限らず、陰陽(インヤン)的な対は多々ある。男性・女性、右脳・左脳、コト・モノ、肉体・精神。どちらか一つが優れているのではなく、互いに影響し、動かしあい、相互関係の中にある。どちらかが偏ることは、よい状態だと言い難い。
・脳のニューロンとニューロンを繋ぐハブの下り、使われないニューロンは萎む、この辺りは前読んだ『脳の血雨を書き換える』と通じるものがあるな。知識Aと違うジャンルの知識Bがハブで繋がって、ひらめいた!っていう瞬間が私は好きだな。
・フィードバックは学習の本質。間違いの方にこそ、気づきがある。
鈴木「視神経というのは、脳が頭蓋の外に向かって延びていったようなものです。言ってみれば、「外部に飛び出した脳」、恐るべき情報収集器官です。視力を獲得するために、肉体内部の自己組織化に外部からの光が強く作用した。 要するに、内部と外部、 両者の共同作業が必要であったと感じてならないのです。」
知的思考力の本質 P178
以上。
鈴木先生の小説『エッジ』が読みたくなったし、竹内先生翻訳のサイエンス書『超圧縮 地球生物全史』も読まねばなるまい。