「2022年9月8日」の記事一覧

読書:ポルトガル菓子図鑑 お菓子の由来と作り方

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Twitterでつぶやく時、「▼トピック、・」と打つのが面倒になってしまった。(諦念)

ポルトガル菓子図鑑 お菓子の由来と作り方:ルーツは修道院。知っておきたいポルトガル菓子101選 / ドゥアルテ智子

この間読んだ、ポルトガル滞在記に出てくるデザートが美味しそうだったので、なんとなく手に取った。あと、ポルトガルから長崎に伝来した菓子類って結構あったんちゃうかったかな、と興味が湧いた。ポルトガルからやってきた菓子で、パッと思いつくのはカステラかなあ。昔、お笑いコンビのロンドンブーツ1号2号が「ポルトガル人が〜長崎へ〜カステラカステラカステラカステラ…明月堂のカステラ〜」みたいなCMソングを口ずさんでいたのを覚えている。なんでそんなことばかりを覚えている?

ともあれ、ポルトガルのお菓子の図鑑を開き、お菓子の写真・紹介・レシピが見開きに収まったページを1枚1枚捲っていった訳だが、素朴なお菓子が多い印象があるな。基本は卵と牛乳と大量の砂糖。ビスコット、トウモロコシ粉、ナッツ、メレンゲの何か、カスタード等々。甘さとコク。古き良き、伝統のお菓子文化こそがポルトガル菓子!という感じで派手な感じの菓子があまり見当たらなくて、修道院ゆかりのお菓子が多いっぽい。

図鑑の解説曰く、ポルトガルは9割がカトリック教徒で、キリスト教にまつわる菓子が多いとのこと。かのスペインの隣国だもんなあ、それはカトリック一強になるよな。だから修道女が開発した菓子レシピが多くて、素朴な印象のものが多いのか。まあカトリックが質素か〜?と言われるとちょっと違う気もするが、さほど材料や技術が発達していなかった時代のものを継承しとんのかなと。また、修道院は古くには王族貴族が国内旅行をする際の宿泊施設としての役割があり、高貴な人へのもてなしとして、貴重な砂糖を大量に使った菓子作りが発達したとのこと。時代が進むにつれて、修道院に権力が集中することを恐れた王が修道院廃止令を施行され、収入源を失った修道院は、市民にお菓子やレシピを売ったりして広まった、とあり、納得が行った。あと、スペイン統治下になったり、財政基盤が貧弱だったりのゴタゴタで、普通に工業化全般が遅れており、それが手作り菓子の文化を残すのに逆に良い環境になったっぽい記述がある。そんなことある?

気になっていた日本へ伝来された南蛮菓子のルーツだが、一六タルト、カステラ、カスドース、かせいた、鶏卵素麺、金平糖、丸ぼうろが紹介されていた。お!?さすがカステラを教えてくれた国、丸ぼうろ(ボーロ)もラインナップにある。言われてみれば、砂糖と小麦粉をバンバン使うのは日本古来の菓子ではないよなあ。そういう意味では、ポルトガルに影響を受けた、砂糖と小麦粉をバンバン使う菓子が多くなっていくきっかけとなったのは、ポルトガルなのかも。ポルトガルは植民地政策によるプランテーションで砂糖を多く交易商品として持っていたから、日本の貿易拠点の九州側では甘いものが流通して〜みたいな流れだとは思うが、もしかして九州で甘い醤油がメジャーになったのもそういう理由なのでは?「砂糖は高価なものだが、俺たちは…使える!」ってコト!?また、「コンフェイトシュ。来た!金平糖の原型!」と思っていたら、ご本家では白くてゴツゴツした砂糖菓子のようだった。我々の知っている半透明の金平糖は、どうやら日本人が魔改造したものらしい。いつもすみませんね、日本人が……。ちょっとびっくりしたのは、米系のスイーツが結構あること。カスタードで煮た米とか。米ケーキとか。

興味がある国のレシピ見るのって楽しいよなあ。そろそろちゃんとしたポルトガル史の本にも手をつけてみるか。