「2022年7月」の記事一覧

ジェンダーの10フィート棒

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女ってなんだ? / カレー沢薫

著者が常々「女性に限らず、性というのはデリケートなテーマであり、炎上の可能性があるので避けたい」と思っている『女』テーマについて、毎回地獄のような直球なお題(キラキラ女子、ゆるふわ女子、干物女、オタサーの姫、スピリチュアル系、お局様、女友達の作り方、ババアとの付き合い方など)を出してくる担当に四苦八苦しながら、なんとかそれらしいエッセイを書きましたみたいなコメディタッチのまとめ本。たぶん、担当はあらゆる女に親を殺されたんだと思う。妙に殺意の高い担当の微笑みに対して、著者は引きながらも「ゆるふわ女子みたいな、コミュ障に対しても人当たりが良さそうな女に、いつも助けられてるのは俺たちの方なのでは?」「担当のこの一定のテンプレート女に対する憎悪はどこから来ている?」「そもそも○○系女子というのは頭の中以外に実在するのか?私は見たことがない」など、踏みとどまって述べているのが面白い。片方がブレーキをまともに踏まないやつだと、もう片方は補助ブレーキを横から踏まざるを得ない運転免許合宿の教官みたいな組み合わせ。
でもまあ、女ってテーマで私も考えたことはあまりないな……あまりないというか、20代の頃までは自分の性を取り巻く環境についてアレコレ悩んだかもしれないが、30代に入ると過去の9割を忘れて生きいけるようになったというか、ひとりぼっちに最適化した環境にいるから女も男もないというか……。
人間生きることは苦であるらしいから、もう性別なんてオマケなのよ。地獄のバリエーションの問題。女には女の地獄があり、男には男の地獄があるってワケ(?)。人間関係のクソみたいな悩みは極力避けたいとは思うけど、社会との関わりは絶対に必要だもんな。社会の人間のアレコレに対してバッサリ切り捨てるよりかは、できる範囲で悩んだり考えたりできる人間の方が最終的に人生楽ができそうだよなあ、となんかそんなボンヤリした考えに至らせてくれる、著者の解釈が光る本だった。

直哉くんこんなのダークシグナーじゃん

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チェンソーマン 99話 / 藤本タツキ

吉田ヒロフミ、もう出てくるなとあれ程言っただろう!死にてえのか!エーン死なないで〜!かといって死んだほうがマシな目には合わせないで〜!藤本タツキ先生に対するその手の信頼が本当にないんだよな。こんなに推しキャラに出てきて欲しくないなんて思うことある?続きも気になる。

週刊少年ジャンプ33号

呪術廻戦191話。おじゃんぴ片手に深夜24時にムギャオーする大人になる予定はなかった。聞いているか?早くそのガワを返して羂ちゃん😠 ぜんぜん関係ないんだけど、昨日「賢治とか健太とか名前にケンがつくやつ、絶対ケンちゃんってあだ名になるよな」みたいな見出しのスレを見て、その時はスルーしていたんだけど、けん、羂、ケンちゃ…?(思い出してジワジワきてる)

さては地理とかいうジャンル、めちゃくちゃ面白いのでは?

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中学地理が面白いほど分かる本 / 笹原卓哉

Youtubeで歴史系の解説チャンネルを見ることが趣味で、そうなってくると必然的に地理の知識がいる…(無くてもいいが、どうせならあったほうが楽しそう)という考えに至り、手に取った本。中学地理でも結構難しいのではと心配しながら読んでみたが、いい感じの分からなさ(なんとなくは知っているが詳しくは知らないし説明もできない)がちょうどよく、楽しく読むことができた。とはいえ、まだ1/3も読めていないので、日々少しずつ読み進めたい。

以下、学習感想メモ。

私は元々王家の遺伝子見たいなものに興味があって(ピラミッドで見つかったファラオや、リチャード2世のDNA解析とかの話に関心がある)、そこから近親婚で遺伝的な病が顕在しやすくなったハプスブルク家のことはうっすら知っており、ハプスブルク家がオーストリア、スペイン、ドイツ系、マリー・アントワネットの生家だからフランス、フランスと仲の悪いイタリア、その辺りの国は、おそらく固まっている地域なんだろうなというボンヤリ理解していた。

オーストラリアとオーストリアの違いってなんだよってなった時、オーストラリアは日本の下にあるコアラの国という雑な説明になるが、オーストリアのハプスブルク家は神聖ローマ皇帝を排出していたのでそのへん、オーストリアはかつて『オーストリア=ハンガリー帝国』だったのでハンガリーの横、プロイセンとトラブっていたのでドイツの横にあるという地理だということが分かった。ハンガリーと言えば、かの有名な処女の血で永遠の美貌を手に入れようとしたエリザベート・バートリの居たチェイテ城があるわけで、吸血鬼伝説とも近しかったはずだから、横にドラキュラ発祥のルーマニアがあるはず。あった。ルーマニアはウクライナから避難してきた人がいるというニュースだったので、ウクライナの隣のはず。ウクライナはロシアの下の方なのはニュースで分かっている。

おや?ハンガリーにはドナウ川がある?ということは、これは「青く美しきドナウ」のドナウでは!?あっ、そのドナウだ…いや、ドナウ川、地図でよく見てみると横に長いな!ドイツから黒海まで出てる!

などと、オタク活動で培った知識や、これまで見たネットニュースで得た情報等を踏まえながらGoogleMapと照らし合わせて追いかけていくと、さては地理とかいうジャンル、メチャクチャ面白いな……!と楽しくなってしまった。世界史は複雑怪奇すぎて細部は全く追えないんだけど、なんと無く知っているところだけでも繋ぎ合わせていくのはとても楽しい。年を取ると勉強が楽しくなるのって、こういうことなんだろうなあ。

本の続きはまた後日!

憧憬をショウケイって読むのは知ってる、憧憬破綻世界に教えてもらった

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月曜日なのに、おじゃんぴが無いなんてことある?いっぱいかなしい。

知るほどに深くなる漢字のツボ / 円満字二郎

漢字の豆知識みたいなの教えてくれるやつかな、と思って手に取った。気軽に読めそう!とか思っていたのだが、日本語を殴りたくなるようなややこしい漢字の歴史が学べ、両手を顔で覆いたくなった。

・音読みと訓読みの違い。漢字はそもそも漢文を表す言語を日本に持ってきたので、その本家中国の漢字を日本風にローカライズして読んだものが「音読み」。訓読みは、「左(サ)って中国の言葉、日本語でいうところの『ひだり』では?」と翻訳した読み。ローカライズした言葉とローカルの言葉の翻訳語を同時に使うんじゃない。

・湯桶読み・重箱読みと言う、音読みと訓読みをゴチャませにした規則がある。訓読みが先に来る「湯桶(ゆトウ)」、音読みが先に来る「重箱(ジュウばこ)」。これの読みは、「本代(ほんダイ)」「相棒(あいボウ)」「極細(ゴクぼそ)」などが例に挙げられる。

・同音異義語「対象」「対称」「対照」、すべて読みはタイショウだが、平安時代では「対象(タイシヤウ)」「対称(タイシヨウ)」「対照(タイセウ)」と違っていた。いつの間にかなんか単純化された。これだから日本は読み書きが先で、話し聞くが後になるって言われるのでは。

・漢字の書き順って何か意味があるの?という疑問に対して「書き順で人に違和感を与えないテーブルマナーのようなもの」「慣習的に美しいと思われる順を教えられるが、媒体によって書き順は違うこともある」「ちなみに『取』という漢字は書き方が二通りある。『必』に至っては三通りある」とのこと。め、めんどくせえ〜!

・同じ頭でも、「頭(ズ)痛」「頭(トウ)髪」「饅頭(ジュウ)」と読み方バラバラな理由としては、シンプルに中国の時代に背景によるもの。中国先輩は領土が広いので方言も多様だし、読み方も多様、民族も多様、その上すぐ滅ぼされたり統一されたりする、日本も遣唐使から漢字を持ち帰った時代はそれぞれ違った、という背景を踏まえつつ、西安の方の漢音をもとにした頭の読み方が「ズ」、南京の方の呉音の読みが「トウ」、やや珍しいが唐音もあって、これが「ジュウ」とのこと。や…ややこしい!まあでも英語でもあるから……歴史ってこういうことだよな……

・そんな音読みくんだが、「三位一体(さんみいったい)」=サンイイッタイだと発音しづらいから三位のサンイをサンミしたろ!とか「安穏(あんのん)」=アンオン言いづらいからアンノンにしたろ!などもやらかす。まあでも、これは他言語でもよくあるからいいかあ……。と段々ガバガバになってくる。

・八世紀ごろ、時の朝廷から「地名は縁起のいい漢字二文字にしてね!」とのお達しがくる。こういうので「泉(いずみ)」が「和泉(いずみ)」になったり、「倭(やまと)」が「大和(やまと)」になったりしたらしい。そういう理由で!?

まだ半分も読めてないが、漢字の歴史が重大なポイントはこれだよ!って重めのジャブで畳み掛けられてダウンしたため、今日はここまで!

ち、違…俺そんなつもりじゃ…

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ひとりでしにたい 3〜4巻 / カレー沢薫

カレー沢薫先生はTwitterでちょいちょいお見かけしていて、へしきり長谷部狂いの人またはFGOの新撰組副長沼の人という印象がある。芸風はコメディの漫画家の方で、コラムニストとしてもご活躍されており、たまに思い出してはコラムをいっぺんに読み漁るとかしている。『人生で大事なことは、みんなガチャから学んだ』というエッセイ本も読んだけど、面白かったな。文章だけでも十分に面白いのだが、この『ひとりでしにたい』というのは本業の漫画の方で書かれたやつで(??)、確か1〜2巻あたりまでは読んだ覚えがあった。今朝方、そういえば続きは…!?と思い出したようにKindleでポチってしまった。

この漫画は、主人公のアラサー女子がかつて憧れていた叔母が、自宅の風呂場で孤独死していたことをきっかけに諸々考え、後輩に厳しいダメ出しを喰らいながらも「ひとりで生きてひとりで死にたい、いやできれば猫と!」との結論に行った主人公のコメディ終活話。ジャンルは終活でいいのか?自信がない。自信があるのはコメディの分野に入るであろうというだけなんだよな。

終活を始めようとする主人公はまだ30代なので、己の終活より親の終活の方が早いじゃんという話の流れがあり、3・4巻は親の定年退職&熟年離婚危機、iDeCoやNisa、老後の家計の支出の話がメインなのかなという感じ。芸風の合う合わないはもちろんあるかとは思うが、このような話をギャグタッチで展開してくれるのは、気持ちが重くなりすぎずに助かる。邁進する主人公の傍にはエリートの後輩が居て、毎回メチャクチャ正論パンチで殴られているんだけど、主人公も自分で考えたり反省したりとりあえず行動してみたりと、渋々ながらも次々に可視化されてゆく問題を直視する姿勢が頼もしくて好き。

そんなこんなで漫画も面白かったな〜、Twitterで感想とか漁ってみよう!と思って、『ひとりでしにたい』と検索したところ、以下の状態になってしまった。