スゥーッ!
なんか有名な本。かつて存在していた名古屋ボストン美術館に年1〜2回くらい行っていた時期があって、それに深く関わった岡倉天心の存在は知っていて、外国人向けに英語で茶と日本人についての本を出したという話もざっくり知ってはいた。多分動画かなんかで内容のまとめは見たことがあるけれども、そういやちゃんと本で読んだことないなあ、と思って今回手に取ってみた。せっかく原書では英語で書かれているのだしと思って、見開き左側ページが日本語・右側が英語で書かれた茶の本を選んでみたのだが、予想外の英訳が続いて結構面白かった。茶道のことTea cultっていうんだ!?
本の初っ端から、著者が「白色人種は黄色人種のこと笑ってるけどお前らなんも分かってねえな、舐めてかかったロシアが痛い目に見たの覚えてないのか?」みたいなバシバシの喧嘩腰で笑ってしまう。でもまあ、そんな西欧・アジアの両者でも、茶のことについてはお互い受け入れられるよね、茶で互いを慰め合えるよね、という感じから、茶を通してみる世界の歴史、一般的に茶のルーツとされる中国の茶に対する思想、禅との繋がり、茶室の趣と内包する美学、華美のために花を大量消費するのではなくただ花を生かす心について、茶人・千利休の辞世について、とつらつら説明がされて、ページ数もさほど多くなく、ジャパニーズ・ワビサビ・チャドーの世界観がさらりと体感できる感じの良本だった。
せっかくなのでルピシアの福袋で入手した紅茶なんかを飲みながら読んでいたが、私に茶気がなさすぎて、「日本のアーサー王とでもいうべき源義経(笑)」というところばかりに反応してしまっていた。もっと他にあるだろ!感銘を受けるところが!こんな大人になる予定ではなかったのに。(もうちょっと芸術を理解する知性を磨きたかった)