3cm先闇 赤をもっとおくれ
前回読んだ「部首のはなし」の続編。文体の運びとそこから滲み出る性格、見え隠れする男女観からして、多分おじいちゃんなんだろうな……と大変失礼な偏見を持って読んでいるが、さすがに培った歳月の奥行きがあって、どの話も面白い。お偉い学者の先生のお話って感じがあってためになる。
パラパラ読んでみて面白かったのは「刀(りっとう・かたな)」。分の下側、初の右側、利の右側。カタナというのは、片方のナ(刃を意味する古語)で出来ているそうで、片刃包丁の片刃=カタナなのだそう。八に刀とかいて分=カタナでものを切り分ける(八の意)こと。衣へんに刀で、初=衣を作るときにはまず布を刃物で断つことから。利=禾(穀物)を鋭い刃で断つほどに利が生じる様から。な、納得できる〜!
部首とか関係ないんだけど「寸(すんづくり)」。一寸法師の一寸=約3cmか〜おやゆび姫より小さいんだな、と思いながら読んでいたんだけど、一寸先は闇って言葉があるよな……3cm先は闇ってすぐ近くすぎん?と思わず明後日の方向に考えてしまった。すぐ先の未来でも読めないことは承知だが、3cm先の未来でもダメか?ダメだったかあ。
寸が長さや距離を占める言葉なら、「斗」はマス=量るという意味だそう。米をはかることが料理、といえばイメージしやすいか。北斗七星は、柄杓をテトリスしたような星座で、ひしゃく=斗、っぽい。
「文」。胸に彫り物を入れた人間を真正面からみた形とのこと。きらびやかな模様=文というのは、なんとなく分かる気もする。彫り物を指す紋紋(モンモン)も糸に文だし、文化の文でもあるし、華がある感じはする。
「青」。静=青+争で出来ているが、本来は青と赤のバランスが取れている状態。
どれも面白くて、全編ネタバレになってしまうのでこの辺にしておくが、やっぱ日本語はいいなって思えた。言葉の形一つとっても匂わせがすぎるのよ。中国先輩サンキューな。