読書:星を継ぐもの(その4) / ジェームズ・P・ホーガン
先日の続きから一気に読了。
木星へと旅立った主人公ハントくんが、その途中、小説の前半でバチバチやらかしてたダンチェッカー教授とささやかなジョークを言い合ってコーヒーを飲みに行ったり、食堂に誘って互いの意見を求めたりするあたり、感慨深いな。月面で見つかったチャーリーたちの遺体とはまた別の種族である、木星衛星ガニメデに住む巨人(ガニメアン)の話について。主人公は、チャーリーの手記から度々「巨人並みの頭脳」「巨人が現れる以前も昔」みたいなワードが出てくるのが気にかかるとのこと。巨人の亡骸自体は見つかっているし、神の視点から読んだこの小説のプロローグでは、チャーリーと巨人が一緒にいたことはわかっているので、まあお互い何か共存関係にはあったんだろうな。そして、どうやらチャーリーたちの住んでいた惑星ミネルヴァから、この星由来の陸棲生物は突如消えていたのでは?と言う疑惑が立ち上がる。巨人が伝染病を持ち込んだのでは?いや、巨人の文明レベル(宇宙服着て死んでたチャーリーたちより数段上の科学力を持っているものと思われる)からいってそのようなミスを犯すとは考えづらい。主人公とダンチェッカー教授がタッグを組み、導いた答えは「空気中の二酸化炭素濃度が急激に増えた結果、ミネルヴァ由来の陸棲生物は死滅した。巨人は、それらの環境を回復するために、大型輸送宇宙船に大量の動植物の標本を持ち込んでいたのだろう。すなわち植物は二酸化炭素濃度を吸い込んで酸素に変え、動物は植物の拡張や成長を促す」、アー!?そう言うこと!?!?!?!そしてその結果を聞いて、有能な二人が個人的なことで反目することをやめ、協力し合い、更なる結果を叩き出したことにニッコリ微笑む国連宇宙軍のお偉いさん。お、おもしれえ〜!!小説が面白い。小説って……面白いんだな!?(そりゃそうよ)
ここからはもう一気に怒涛の種明かしで、ページを捲る手が止められず、最後まで一気に読んでしまった。星を継ぐもの、ものすごい力のあるSF小説だったな。我々はもう、『人間』の歩みを止めることはできない。そうやって、今までこの種を繋いできたのだから。本書は、小説ってメッチャ面白いんだなってことを思い出させてくれた傑作だった。もっと早くに読んでおきたかったな〜と思わないでもないが、きっと今読んだからここまで面白く読めたんだろうな。物語も、あらゆる分野の超エリートたちが力を合わせて最大の謎に立ち向かう、という感じだったから、生物学、言語学、数学、天文学、地質学、人類史、その他諸々の知識がうっすら無いと手放しで面白がれなかったかも。10〜20代の私には難しい本だっただろうな。歳をとってよかった。