水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます
惑星ソラリス / 1972年 映画
ソ連のSF映画こと「ソラリス」、先日中断したところから再開して、一気に見終えた。
お帰りになられた科学者が高速道路で移動している最中、「冷暖房付観光バス」「渋谷方面渋滞」と日本語の看板が見える。先日に「ヒロシマ」発言といい、このソ連のSF映画、妙にJAPANみを入れてくるな。というか、この映画の主人公一家は日本在住なのか?お前さっき「非道徳でも目的は遂げられます。ヒロシマのように」とかって煽ってたくせに?と思っていたけれど、しかし主人公のクリスのご実家の周辺はどうみても日本ではないので……日本に住んでるというより、近未来っぽさのために日本の高速道路を入れただけ感あるな。この科学者が運転する車は左ハンドルで、これ車の外に流れる風景はどうやら別撮り合成しとるなという感じもある。全体的にチグハグ的な違和感があって、これで多分近未来っぽい、現在とは異なるズレを出そうとしているんやろなと深読みおじさんしてしまった。
いや、冷静に考えても2時間46分長いよ!まだ主人公宇宙に行ってないんだがどうするんだ?と思ってたら、唐突に主人公が宇宙へ飛んだシーンから始まる。ん!?結局ソラリスへは行くんだな。え?どういう動機で行くんだ?
なんというか、全体的に説明がないので、メタ読みが必須みたいな感じがするな。原作の小説を読んでいることが前提の読者ターゲット層なのか、はたまた監督がそういうタイプなのかは分からないが、「ちょ待てよ……一旦考えさせて」と再生止め、首を傾げてしまう。ちょ待てよ。
まあともあれソラリスへ飛んだ主人公。基地には3人の学者がいると聞いていたが、どうやら前日に1人自殺したらしい。その自殺した人は、どうやら主人公の同僚っぽくて(!?)、そいつの部屋までへ行くと、某『狂った果実』の少女が描いたようなニンゲンの絵があり(!?)、主人公への遺言テープを残している。か、カセットテープだあ!
そのテープの途中で物音がして、一旦中断。探索の途中で、女を見かける。その女の後ろ姿をふらふら追いかけると、自殺者した同僚の遺体が保存されている冷凍室へたどり着く。女?残りの学者2人は全員男だが?というかこのメチャ美人の女性、主人公の亡き妻にそっくりらしい。いつの間にか彼女が部屋にいることにビビる主人公。
Q.死んだ妻の生写しの女が現れた!どうする!?
A.主人公「ロケットに騙して入れて宇宙に飛ばしてなかったことにする」
私「主人公~~~~~~~」
後で出会う学者曰く、惑星ソラリスは、人間の記憶の一部から選んでそれを物質化する能力があるらしい。主人公の場合は、たまたま亡き妻がピックアップされたと。この人型の物体はニュートリノでできている。ソラリスの磁場が、本来は不安定なニュートリノを安定化している。理論上無限に創造が可能ということで、主人公が殺しても蘇るし、彼女が自殺を図っても蘇る。そう、彼女は自殺を図る。主人公と交流を深めるうちに、自分が誰なのか分からず、どうやらソラリスから寄越されたものであることも自覚する。己が何者であるかのアイデンティティを確立できず、人間らしき記憶も持たず、愛する彼の元妻を模した何かであることに苦悩する。「でも、私は人間になります。」やがて自殺するほどに『人間らしく』なった彼女は、ある日、主人公の目の前から消えた。学者に頼んで、自分を爆破で消してもらったのだ。
この『人間の記憶の一部から何かを選んで物質化する』という、惑星ソラリスからのコンタクトは一体なんなのか?人間を理解するため?それともコミュニケーションの媒体として?彼女は「私は人間の良心の表れ」という。エンディングでは、オープニングに映っていた実家へ、主人公が帰って来る。出迎える犬、実父。と思いきや、カメラが引き、その家は、ソラリスの海に浮かぶ孤島に出来たものであることが分かる。主人公は、惑星ソラリスで奇跡を待つことにしたのだ。みたいなストーリーだった。やっぱりな〜!?途中で「彼女が消えて、代わりに島がいくつかできた」みたいな話があったからそんな予感したんだよ!
今更だけど、惑星ソラリスの基地に舞台が移ってからの登場人物は、以下の通り。
・主人公・クリス(精神科医らしいが特に説明されてない)
・元妻を模したメチャ美人・ハリー(ソラリスの触媒)
・キバリャン(自殺してた主人公の元同僚)
・スナウト(学者その1、54歳、そこそこいい人っぽいリーダー格)
・サルトリウス(学者その2、ソラリスの再生能力で不死の薬とか研究してる、ヤなやつっぽいがメガネ外すとイケてる)
学者たちが割といい味出していて、私が好きだと感じたセリフは次の通り。
サルトリウス「(主人公が元妻に似ている女の物体について感情的になるのを見て)昔の女房とのロマンスしか頭にないようだ。一日中ベッドにいて何ができる?お前はここに何をしに来た?」
私「それはまあその通りなんだよなあ」
スナウト「(我々は眠る。その時は苦労も幸福もなく、苦も楽もない。ただ深い眠りは死に似ている。これは良くない、そして)我々に必要なのは鏡だ」
私「ま、真賀田四季〜〜〜〜!」
この映画が出た当時の時代背景なんかもうっすら匂ってくるし、やはり宇宙空間でもバンバン酒飲んでタバコを吸うし、物理的な本はいっぱい出てくるし、色々引っかかるところがあって面白かったな。次は原作(小説)を読んでみたいと思う。