「2022年4月」の記事一覧

仮想現実は、いずれただの現実になります

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」/ 岡嶋 裕史

読了。『すべてがFになる』一連のシリーズや『ソウルハッカーズ』等、仮想現実(VR)がある創作が好きなので、興味があって手に取った。なんだかVRに没入できるヘッドセット型のデバイスOculus Quest2欲しくなっちゃったな。今のメタバースでも、なんか課金するとVRの視界内にモニター5枚並べて仕事ができるみたいな話を聞いたことがある。2〜3枚モニターを並べられるなら、現実でモニター買うより安そうだし、もうちょっと技術が進んだら手に取ってみたい。私がVRに求めることは、基本的には眺めのいい景色にいること(誰もいない古風のホテルの窓際から夕暮れの海を眺めながら茶を飲むみたいなおハイソ空間を、家賃の安い家に居ながら満喫したい)、自分で部屋を改造すること(シムシティの部屋作りみたいなインテリアコーディネートかな)の二点なので、VR内でも金を稼ぐとか他人とコミュニケーションを取るとかは今のところ興味がない。しかしまあ、『すべてがFになる』や『Wシリーズ』で出てきたように、仮想現実はいずれただの現実になるし、現実をやや上回る美しさ、快適さになるんだろうなあという予想はぼんやりしていること。
ジブリのアニメの話でもあったが、創作で描かれた優美な自然は、現実以上に美しく見えてしまい、いざ現実の自然を目にすると「なんだ、現実ってこんなものか」とがっかりしてしまう、ということがあるらしい。私もこの感覚は理解できる。仮想現実でも搾取されることはあるだろうが、それより視覚的には現実より美しい風景があり、優しいものがあるのだろう。本の意訳だが、この仮想現実は、優しいフィルターに包まれて、より美しく、より幻想的で、不都合なものはシャットできる。現実では人は単体で空を飛べないが、仮想現実であればリアリティのある飛翔が単独でできる。リアルが苦手な人にとっては、天国みたいなところなのかもしれない。
ここの本で笑ったポイント。
・アイドルのCDはコピーできるが、アイドルの握手はコピーできない。(それはそう)
・いいねコスト高すぎ説(民主主義的に数で賛同を得れば強い社会だけど、承認欲求を満たすためだけにしてはコスト高すぎるんだよな〜見たい話)
・ニーアオートマタに人生救われた話(ある世界観に没入することで何かが救われるというのはめちゃめちゃ分かるので、これは笑いポイントというより頷きポイント)

お金の減らし方 / 森博嗣

いいねコスト高すぎ説でなんとなく思い出して、読み返した。たまに読んでは、「見栄の出費になってないか」「何が一番欲しいかはっきりしているか」と自問するきっかけにしている。あとはまあ、「今すぐ楽になりたい」と短絡的な辛さから逃げて、短絡的な楽をとってしまうのは得策ではないのかもしれないよ、という自戒にもなるか。物事は少しずつ、継続的に、長期戦でよい、夢は後回しでも良いと自分に言い聞かせるためにパラパラと読み返しました。(何回めかなので通読はせず)

雨ばっかり降っとらんか?

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だれもが偽善者になる本当の理由 / ロバート クルツバン

前回の続き。第二章の途中から第四章の途中まで(102P)。話は興味深いんだけど、やや難解で、。
複数のモジュールから成り立っているとされる心理についてのわかりやすい例えとして、プログラマーが複数のプログラム言語を習得していることが挙げられている。一つの言語では、目標に沿った最適な答えを出せないことがある、というもの。複数のアプローチを手段として持った上で、目標に対して最適と思われる手段でシステム構成を行うことは有効である。だから、例えばザッハトルテを見て「お腹すいた」「私の好物!」「今甘いもの食べたい」「脳が疲れているから甘いものがおいしく見えるんだよな」「チョコレートだ〜」「と言ってもダイエットしているし…」「これ何キロカロリー?」「今日だけなら問題ないのでは?」「明日からダイエットするができるなら今こんな状況になるはずないだろ」みたいな心のモジュールが一斉に立ち上がり、互いで競合したり、補強しあったりする。しかし、最終的には、これら複数のモジュールのボリュームが各自調整され、声の大きいモジュールの主張が通ったような行動として一つの結果が導き出される……という解釈でいいのかな?

本のタイトルからするに、人は一つの主張のみを持っているわけではない。善人は善しかできないのではなく、悪意も心の底にはありながら、善の声に耳を貸すものである。みたいなことだろうか。漫画でよくある、悩む己にうちなる天使と悪魔が交互に語りかけて……みたいな。

こういうことがあるから、人間は己の無知を利用したりできるのかなと思った。この本で挙げられている例えは、会社の金庫の暗証番号を知らなければ、金庫を不法に開けずに済むというもの。自分で何か他にも無知を利用する例を例えられないか考えてみたが、「デザイナーには、DB設計書を見せないなど、その人の職場上のポジションでは知らなくてもいいような情報は渡さないことが役割の明確化・作業の効率化につながる」みたいなことかなと思った。無関係な資料を与えられることで発生するであろう心境のモジュール(不快・もしかして役に立つのか?・わからん・相手は何をしたいの?・でも見た方がいいだろうし…・めんどくせえな)は無い方が、良い方向に働くだろう。

天国まで何マイル

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英語の語源大全をパラパラめくっていたら、『1マイルは成人男性の1000歩(左右で1歩)に相当する』と言う人体を基準とした身体尺の話が出た。これYoutubeの動画で見たことあるやつだぞ……成人男性の身長は2ヤード、1日3食分の小麦粉とかの計量としてちょうどいいのが1ポンド、1ポンド=3合だから、3合米を炊けば1日3食分ちょうど足りるみたいな換算の話だ。面白い。こういうよそで見た知識と一瞬何かが交わるのが楽しくて、いろんな媒体で情報を集めている感じがある。

勉強の価値 / 森博嗣

本日は70%まで読んだ。読んだというか、読み直した。

私は30代に入るまで、勉強が全く楽しく思えなかったタイプの人間なので、「勉強を楽しいものと見せかける大人の欺瞞に子供たちは付き合わされている」みたいな先生の主張には同意できた。とはいえなんだろうな、私が親の立場になっていたとしたら「早いうちから勉強しておいた方が人生の攻略がメチャメチャ楽になるぞ」と言うような気持ちから、なんとか勉強させようとしてしまうタイプになってそうな気もした。典型的な『自分ができなかったことを子に託そうと押し付ける』的な、人がゲームをやっている横から口を出してくる有識者気取りの嫌なタイプのやつなんだよな。まあでも、勉強自体は悪いものではないから、結局いくつになったとしても、自分のやりたい目標と一致するような勉強が必要になるタイミングが来た時に自発的に勉強するのが、結果的に一番楽しいのだとは思う。あとはインプットとアウトプットの話かな。

私の場合、大量にインプットし続けると、頭の整理が追いつかなくてモヤモヤした何かが倉庫に乱雑にぶん投げられている感じになる。それらを頭の中で少しずつ精査して、重要そうなもの、文脈を思い出すキーワードになりそうなものをメモに書くなどでアウトプットする。それを後から見返せば大半はなんとかなると信じて、細かいことは忘れてもいいと言い聞かせる。結果的に頭の中の整理ができたような錯覚になる。みたいな流れでやり過ごしているかと思う。大学教授のように(著者が当時そうだった)、大学生へ専門知識を教えるというアウトプットとインプットを交互に行うなら、生きた知識の定着と気づきは強烈になるだろうなあ。

花粉は盲目

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雨が降った後だからと思って油断していたところ、目が痒くて昼寝もままならなかった。空気清浄機ちゃんと回そう。

エッセイ脳―800字から始まる文章読本 / 岸本葉子

最近エッセイを読んでないかもなーと思ってのチョイス。読み進めていくうちに、これはエッセイではなく、エッセイの書き方の本だと言うことに気づく。サブタイトルをちゃんと読まないとこうなると言う好例である。でも、エッセイとブログは何が違うのか?エッセイの書き手、読み手の立場の違いは、どのようなずれを生じさせているのか?A・自分の書きたいことを、B・他人が読みたくなるように書く。ブログはAが中心であり、エッセイは必ずA<Bとなる。読者を迷子にさせない、エッセイの構成は一度紙に図なり箇条書きなりで書き出した方が結局効率が良い、などといった話があり、楽しく読むことができた。
最後の方で構成の仕方、起承転結のリズム、導入のやり方におけるリスク回避などの話が続き、おや……と思って著者略歴を見ると、ちのうが高そうな経歴である。このような本を読んでいたからか、急に「ブログで本の話書くようになったけど、自分だけしか見ることのないメモと違って、ネットで公開する以上は本の著作権なんかをきちんと押さえないとダメだろ……」と気になり始めた。

コンテンツ別ウェブサイトの著作権Q&A / 雪丸真吾、福市航介、宮澤真志

そう言うわけで、改めて確認する意味も含めて、手に取りました。難しそうな感じではなく、ちゃんとした弁護士の先生が書かれているっぽいので捲りやすかったな。とりあえず、公共された著作物は引用して利用することができるが、引用のルールを守らねばならない。この辺りのルール要項をまとめると、


1・公表された著作物であること(著作物の定義に該当するもの)
2・明瞭区分性(引用された文章がはっきりと区分されていてわかること)
3・主従関係(引用は自身の著作物の補強に使うものであって引用が主になってはならない、と言うことかな?)
4・出典明示(著者名、著書物名、引用箇所のページ数などを引用分のできるだけ近くに明記すること)
5・引用する側も著作物であること

2・明瞭区分性!

著者名、著書物名、引用箇所のページ数

本日途中まで。そういえば、漫画のネタバレサイトが訴えられていたなあ、と気になってニュース記事を読むなどした。

参考 ネタバレ自体は違法ではない--漫画「ネタバレサイト」の問題点を弁護士が解説CNET Japan

ゴールデンカムイ最新話に追いついたぞ

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雨!読書!ネタバレ!

ゴールデンカムイ 298〜313 / 野田サトル

来週が最終回と聞いたので、慌てて最新話まで追いついた。武士道だよ、杉元!そして最後まで熊が怖すぎる。日本最大の熊害事件を元にした『熊嵐』を読んだ時から私は本当に熊がダメ。
そして怒涛のネームド死ラッシュ!アー!私は長谷川幸一を一番の推しとしている厄介オタクなので、エッエッ……半泣きしながら来週の完結を待つことにします。

自分の構造 逃げの心理と言いわけの論理 / 加藤 諦三

目立つところに置いてあった本で、なんとなく手に取ったところ面白そうなので読むことにした。
前書きを読み終わった時点で気づいたんだけど、この本出たの1980年なのな、40年も前の本だけど大丈夫か?今の時代にあっとる考え方か?と不安になりつつも読み進めた。結果的にメチャ良本だったので謝りたい気持ちでいっぱい。書かれた加藤先生は、大学の教授でラジオの人生相談を半世紀以上も続けていらっしゃる方だった。本は一貫して『自分を実際以上のものに見せようとする人間の自我の基盤の脆弱さについて』というテーマからブレることがなく、また説得力を持った自説と、この虚栄心に対しては具体的にはこのような対応が有効かと思われる、みたいな道筋まではっきり書かれているので頭の中にスッと入ってくる。まあ途中、個人的には「そうか〜?」と思う箇所もあるにはあったが(逆にいうと40年前の本でこの感想だけで済んでるのがすごい)、含蓄ある本だったと思う。以下メモ。

・虚栄心諸々からくる性根で自分を実際以上に見せようとすることで、それによって実際の自分に幻滅して自信を失い、また軽蔑するようになる。また、他人はありのままの実際の自分は愛さないという前提にするその行動は、その前提をより他人に確信させるものである。そのような人物は自己の些細な喜びを「これはくだらない喜びだ」という理解の仕方をし、その喜びさえ隠そうとする。(ある……私もなんとなく異世界転生ものが好きだとは社会で大っぴらには言いづらい)
・成熟された人格は一つずつ困難を除去しようとするのに対し、人格の未熟さは困難を一気に終わらせようとする。(わかる、辛いことは一気に終わってほしいから、一発逆転の他力を欲する気持ちはあるよね)

まあ虚栄心が悪い事ばかりだとは思わないが(先日読んだ無知の科学でも、時に己の無力目を背けることで、前向きに行動できることもあるみたいな話はあったので)、実際の自分・実際以上の自分の虚像とのギャップで自己に対する尊厳がすり減ってしまうのなら、そのような自傷行為に近いことは減らすのが良いのかなあ、とは感じた。

この本に書かれていることではないが、本日「ボリュームの調節」という考え方を知った(鈴木裕さんのメルマガ)。己の強みの使い方は、スイッチのオンオフではなく、ボリューム調節のようなものだと考える。虚栄心や見栄、劣っていることを武器とした過剰な謙遜は誰しも持つが、この本の話に用いると、例えば何かしら人に指摘を受けた際は「虚栄心」モジュールのボリュームを小さく下げ、「素直さ」モジュールのボリュームを上げて、「本当ですね、すみません。気をつけます」と一言言えるように意識する、という『対応の知識』を頭の片隅に持って置けるかどうかで、楽になることも多いだろうなあ、と思った次第。

パスカルは言いました。『すべての人間の不幸は、部屋に一人で静かに座っていられないことに由来している』。加藤先生が言うには、何をしてもじっとしていられない、安住ができないのは、そこに不安があるからなのだそう。その不安がなんなのかを直視しようとしないと、内なる不安に駆り立てられることしか無くなる。私はことあるごとに引っ越しをしたり何かを止めようとしたり、常に環境を変えるようにして生きてきており、安住の地を求めるように今の場所に引っ越ししてきたので、ここが一番個人的に刺さった箇所かも。(まあ変えるのは環境だけじゃなくて自分もだよみたいなオチは見えとるのでなんなんだけど)
先生の話に興味を持ったので、また機会があったら別の本も読みたい。

ひかりのいと-朗読のための自選詩集- / 銀色 夏生

今日は雨が降っていて、詩を読むべきではみたいな雰囲気を勝手に察知したため、前回の続きから一気に読了。詩集って一気に読むようなもんじゃなくないか?そのせいなのかなんなのか、前に読んだときほど入り込めなかったかも。まあ詩を読んで刺さる時ってのは、それを自分が受け入れる素地ができているかどうかのタイミングだからなあ。また違うタイミングで手に取ろう。わかったようなことを言って大丈夫か?

WordPressセキュリティ大全 / 吉田哲也

そういえば、Wordpressの今時の対策って知らないかも(ログインページを変えて、ユーザー名でadminを使わないで、コメント使わないで、定期的に自動バックアップをとって、できるものは全て自動更新、パスワードはランダム生成して使い回さなければ良くない?程度の認識)とうっすら不安を感じたので、念の為。と思いきや、普通に対策が足りていなかったぽいので、チェック資料として参考になりました。