仮想現実は、いずれただの現実になります
読了。『すべてがFになる』一連のシリーズや『ソウルハッカーズ』等、仮想現実(VR)がある創作が好きなので、興味があって手に取った。なんだかVRに没入できるヘッドセット型のデバイスOculus Quest2欲しくなっちゃったな。今のメタバースでも、なんか課金するとVRの視界内にモニター5枚並べて仕事ができるみたいな話を聞いたことがある。2〜3枚モニターを並べられるなら、現実でモニター買うより安そうだし、もうちょっと技術が進んだら手に取ってみたい。私がVRに求めることは、基本的には眺めのいい景色にいること(誰もいない古風のホテルの窓際から夕暮れの海を眺めながら茶を飲むみたいなおハイソ空間を、家賃の安い家に居ながら満喫したい)、自分で部屋を改造すること(シムシティの部屋作りみたいなインテリアコーディネートかな)の二点なので、VR内でも金を稼ぐとか他人とコミュニケーションを取るとかは今のところ興味がない。しかしまあ、『すべてがFになる』や『Wシリーズ』で出てきたように、仮想現実はいずれただの現実になるし、現実をやや上回る美しさ、快適さになるんだろうなあという予想はぼんやりしていること。
ジブリのアニメの話でもあったが、創作で描かれた優美な自然は、現実以上に美しく見えてしまい、いざ現実の自然を目にすると「なんだ、現実ってこんなものか」とがっかりしてしまう、ということがあるらしい。私もこの感覚は理解できる。仮想現実でも搾取されることはあるだろうが、それより視覚的には現実より美しい風景があり、優しいものがあるのだろう。本の意訳だが、この仮想現実は、優しいフィルターに包まれて、より美しく、より幻想的で、不都合なものはシャットできる。現実では人は単体で空を飛べないが、仮想現実であればリアリティのある飛翔が単独でできる。リアルが苦手な人にとっては、天国みたいなところなのかもしれない。
ここの本で笑ったポイント。
・アイドルのCDはコピーできるが、アイドルの握手はコピーできない。(それはそう)
・いいねコスト高すぎ説(民主主義的に数で賛同を得れば強い社会だけど、承認欲求を満たすためだけにしてはコスト高すぎるんだよな〜見たい話)
・ニーアオートマタに人生救われた話(ある世界観に没入することで何かが救われるというのはめちゃめちゃ分かるので、これは笑いポイントというより頷きポイント)
いいねコスト高すぎ説でなんとなく思い出して、読み返した。たまに読んでは、「見栄の出費になってないか」「何が一番欲しいかはっきりしているか」と自問するきっかけにしている。あとはまあ、「今すぐ楽になりたい」と短絡的な辛さから逃げて、短絡的な楽をとってしまうのは得策ではないのかもしれないよ、という自戒にもなるか。物事は少しずつ、継続的に、長期戦でよい、夢は後回しでも良いと自分に言い聞かせるためにパラパラと読み返しました。(何回めかなので通読はせず)