最近Twitterでよく推されているところを見る漫画。機会があったので、どんなストーリーなのか見当もつかないまま手に取ってみることに。
姉夫婦が事故死したことがきっかけで、人見知りの30代半ばの主人公・高代槙生が、残された姉夫婦の子供であるところの姪っ子・田汲朝を引き取ったところから始まる漫画。歳も離れていれば、性格も大きく異なる二人の交わらなさを味わいながら、手探りの同居生活を始めていく感じ。
槙生はひたすら書き続けるという孤独を愛するタイプで他人が苦手、自立心があり、それらの特性を貸して少女小説の作家をしている。そんな槙生に引き取られた朝は、親を亡くしたりと言った背景こそあるものの、それ以外は特にやりたいことも明確ではないまま暮らしている。しかし、朝は、槙生とは異なり、明るく素直で対人とのやりとりも苦手ではない。
……な、なるほど?だ、大丈夫か?この手の漫画で「人見知りで孤独を愛する主人公」って、コミュ障っぽく見えるが大体リアルで合う友人知人は多いという謎のズレが最後まで気になって仕方ないパターンが多い気がするのだが……!と一抹の不安を感じながら読み進めていったところ、案の定主人公はだいぶ友達いるタイプの人見知りだったりした。まあ人間関係描写するタイプの漫画だろうからそれはそうだろうね……展開上仕方ないね……という納得はあるものの、キャッチコピーで押しられた造形と一致しなくて、キャラクター性が心にしっくりこないまま進んでしまった。
とはいえ、この手の漫画に求める人間関係的な要素(子供と大人の態度・亡くなった姉とのいざこざがずっと残っている主人公・交わらない人間関係の妥協点・理解と突き放し・需要の多そうな恋愛関係)を満たしており、十分に読み応えのある漫画で、とても面白かった。私が感情移入できるキャラクターが一人もおらんかったことが逆にメチャクチャ新鮮だったし、ずっと話の展開が気になって最新刊まで一気に読み切れた。色んな人が推す気持ちも理解できたし、新刊が出たらまた読みたいと思う。