「社会」の記事一覧

読書:読むだけですっきりわかる「やり直しの日本地理」/ 後藤武士

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

このようなかなしい事件が起きたため、とりあえず九州を中心に県の位置関係を確認するべく、日本地理系の本を手に取った。地図だけでも十分っちゃ十分なのだが、そもそも日本の地理を覚えたいなんて動機は、私の場合、その周りの歴史とか文化とか興味があるな〜って時にふと思い出して紐づけて喜ぶ要素を増やしたいということなので、地図と本の両方で学習することにした。

読むだけですっきりわかる「やり直しの日本地理」 / 後藤武士

ほぼほぼタイトル通りの内容の本。日本都道府県の大まかな地形、産業、観光資源、山脈・平野等を適度な隙間で教えてくれるので、興味がある場合は、ちゃんと頭に入る良い本でした。さすが、すっきりわかるシリーズで累計360万部売れたと帯に書くだけはある。(権威に弱い)

この本、時代に合わせて改訂を重ねているらしく、現時点で「読むだけですっきりわかる日本地理 令和版」が最新であることに気づいてしまった。まあ……いいか!

本のつくりとしては、北海道から順に南下してみていく構成になっているのだが、鉄は熱いうちに打てともいうので、今一番関心のある九州のページを真っ先に開いた。九州、食べ物が美味しいイメージなんだよな。
そして、名前はよく聞くけれど、地形として把握していない島が九州にはいっぱいある……。壱岐(邪馬台国かもしれないところだっけ?)、屋久島(仮面ライダー響鬼)、種子島(鉄砲伝来)、天草諸島(諸島なのは分からないが、天草四郎時貞・島原の乱あたりだろうと見当がつく)、対馬、五島列島など。

解説を読んでいて気づいたのだが、言われてみれば九州なのに七県しかない。もしかして心の綺麗な人間にしか見えない県が2つもある?この辺り学校で習った時も思ったはずだが、すっかり忘れていたあたり、己の九州に対する興味の無さを自覚させられた。九州なのは旧国名が9つあったなのね、心の綺麗な人間にしか見えない県ではなくて、知識を持っている人にしか見えない県だった。

▼とりあえず、ざっと見てちゃんと位置を覚えた!と思えた3県
・長崎県:ポルトガルと関係があるし、ここは元々覚えていた。対外貿易。南蛮貿易。出島。砂糖がいっぱい入ってきたので甘いもののメッカとなる(九州醤油は甘いというアレには業を感じる)。ポルトガルから入ってきた長崎のカステラ、金平糖。修学旅行先であったが、カステラを買って帰った以外の思い出は特にない。
・熊本県:九州の真ん中にくまモンが鎮座するイメージ、天草諸島がある。
・鹿児島県:薩摩藩はさつまいもの語源、さつまいもの別名は唐芋、唐は中国、だから中国の海側。桜島、種子島、屋久島を抱える。この覚え方だと、薩摩の場所はわかるけど、薩摩=鹿児島と結びつかないかもしれない…。鹿児島は桜島の古地名。ちょっと苦しいか。さつま・かごしま。最後の「ま」揃えで暗記できそう。

▼長崎の関係性で覚えている県
・佐賀県:よく分からんけど、シュガーロードで長崎と繋がりがあるという話だし(サガだけにシュガーなんてなガハハ)、長崎の隣にあるはずでは?

▼位置も名前もはっきりしない県
・福岡県:?
・宮崎県:??
・?:あと1県なんだ?咄嗟に出てこないので考えてしまったが、そうだよ大分県。

改めて地図をみる。そのあと本を読み進める。

・福岡県:本州の山口と若干接触しているのね。北九州。博多。シュガーロードに含まれる県(南蛮貿易の長崎街道は、長崎→佐賀→福岡→本州なのかな?)。かろうじて覚えられる。
・大分県:別府温泉の別府なんだ。四国寄りの方。
・宮崎県:上記6県のどこでもないところ(地図の右側)

興味がないと覚え方が雑で根拠も薄い……!!大丈夫か!?ちょっと自分が心配だが、九州の県の場所はフンワリ覚えることができたので、今日のところはよしとしよう。いずれ興味が湧けばちゃんと覚えるようになるだろうし、その日まで寝かせておくか。

読書:つや姫 10万分の1の米 / 五十嵐佳子

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母が山形は庄内の出身であり、庄内の美味しいお米に『つや姫』というブランドがあることを誇っているため、実家に帰ると大体この『つや姫』を食することになる。ちょっと細長い感じの米粒に輝く艶、噛めばしっかりとした旨味とほんのりした甘みを交互に感じ、僅かな雑味が味の広がりと奥行きを支える、庄内が誇る滋養に満ちた米である。当然うまい。私もこの米でお粥を食うのが大好き。でもまさか、こんなピンで本を出すほど知名度がある米かと問われれば、一瞬考え込んでしまうので、まあ、せめて私が理解者になってやるか……という使命感で手に取ってしまった。そんなに?

つや姫 10万分の1の米 / 五十嵐佳子

まずタイトルに突っ込みたいんだけど「10万分の1の米」ってなんだよ、と思ったらすぐ答えに辿り着いてしまった。山形県鶴岡市の「県農業総合研究センター水田農場試験場」という、国のお膝元で次世代のブランド米を作るために試行錯誤し、その配合の過程で一つ一つ個体を選り抜く必要があって、結果10万本の稲から選定し生まれたブランド米が『つや姫』ということらしい。
元々、山形には『ササニシキ』や『はえぬき』という美味しいお米があるのだが、『あきたこまち』や『コシヒカリ』と比較した際、それらより評価が下回り、低い価格がついたことがあった。次世代のエースとして十分に戦える味だと自負していたが、ブランド米としての戦略が十分でなかったとも言える。その反省を生かして、米自身のおいしさはもとより、冷害や病気に対する耐性、収穫量や味の安定諸々をしっかり吟味した品種を育てた上、きちんと購入ターゲット層を定め、販売開始前からのPR活動も徹底したとのこと。
まずPR活動の一環として、『つや姫』の名称も公募と投票の上で知事が決定したらしい。男性人気は『山形97号』、女性人気は『つや姫』にあり、どちらにするかで悩んだそうだ。『山形97号』は、しっかりと山形の産地だということをアピールできるということで強く推されていたが(人気1位だった)、『つや姫』は購入ターゲット層である主婦からの支持が厚く(つやがあり、大事に育てられた米のイメージを期待できる)、結果、『つや姫』と名称が決定された。その後、知事が先頭を切ってPRに勤しみ、アンテナショップで先行販売、考え抜かれたパッケージデザイン、キャッチフレーズ、そして何より味が決め手となって、山形のトップブランド米の地位を確立したらしい。
東日本大震災のこともあり、放射能の被曝といった風評を受けるアクシデントもあったが、「消費者は、美味しいお米を、そして何より安全なお米を求めている」とセシウム検査を入念に行なったりして、乗り越えていった、と。

いやー、すごかった。この本の何がすごいって、つや姫の成り立ちもそうなんだけど、それ以前に著者の狂気という名の熱量がすごい。推しの米のこと、本一冊になるくらいの熱量で書くことなんてある?狂気の沙汰だよ……(小声)(失礼)

他、面白かったのは次の箇所。

・ウソだろ、突然芋煮会の話を挟んできたぞ!これは米の話の本のはずだが!?!?!?
・つや姫を育てる米農家・鈴木さんの熱いコメントが出たかと思ったら最後に「息子はお笑い芸人のウド鈴木さんで、ウド鈴木さんはつや姫の観光大使をしている」という補足情報
・「西洋人女性として初めて東北を旅行した英国人旅行家イザベラ・バードは『日本奥地紀行』に「東洋のアルカディア(理想郷)」と書き記している」の文章、同じ流れで、忘れかけた頃に計2回出てきたのなに?
・ヤマセ!日本の地理の学習をしていたら必ず出てくるヤマセ!(太平洋側で春から夏に吹いてくる偏東風)放射能を持ってくるかもしれないこのヤマセを、山形の霊峰や奥羽山脈は必ず守ってくれると信じていた……みたいなコメントに、胸が熱くなってしまった。地理…勉強し直してみてよかった!ヤマセと、奥羽山脈がわかるもん!(そこ?)

親族が山形・庄内におり、私自身もつや姫が好きというポイントだけで最大限楽しんでしまった。

下は、この本を読む前に呟いてたコメント。

やっぱ山形市と鶴岡市では、芋煮に対する情熱が違う気がするんだよなあ。

読書:ロシア史-キエフ大公国からウクライナ侵攻まで-

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

メチャクチャ目立つ位置に置いてある、時事ど真ん中の『ウラジーミル・プーチンの頭のなか』という本を手に入れたんだけど、やっぱこの本を読む前にロシア史の最低限の知識はいるか……?と余計なことまで気にしてしまい、とりあえず先に読むことにした本。パラパラと見ていて、「おや、ロシアの成立は13世紀から!?じゃあもしかしてそこまで長い歴史を覚えなくてもいい!?」という邪心が芽生えたので、勢いに乗って一気に読んだ。とはいえ、まあこのビジュアルとページ数であれば、2〜3時間くらいあれば読めるだろうと思っていたら、普通に4時間くらい掛かってしまった。甘く見てすみませんでした。

ロシア史-キエフ大公国からウクライナ侵攻まで-

ロシア史のことは全く詳しくなくて、有名人とその前後の出来事でなんとなくうろ覚えしている程度のもの。例えば雷帝イヴァン4世、エカチェリーナ2世(愛称カチューシャ)、ピョートル一世(異国で働いてまで文化を取り入れようとした)、ロマノフ朝(王家の遺伝病に興味があり、血友病周りのエピソードで末路まで調べたことがある)、スターリン。文化で言えば、文学のチェーホフ(短編小説『ねむい』怖過ぎて泣いた)、ドストエフスキー、クラシックバレエ、あとウォッカ、その辺くらいまでかなあ。
そういうわけでこの本は、既存の点と点を繋いで線にしたり、新しい点を増やしたり、時系列と物語で覚えたり、ということを心がけて読んだ。

以下、興味が湧いたところのメモ。

・ロシアの農奴制の話。あれ!?先日、ポルトガル史含むヨーロッパ圏の荘園制度が分からんので調べたときに聞いた農奴制の話では、中世で終わった制度だと思っていたのだが、ロシアは割と近代に近いところで取り入れているんだな。既存の農奴制を強化したのはピョートル1世。ピョートル1世に対する若干のポジティブイメージ(自国の文明強化のために異国に行ってアルバイトをしてたりしてた)が崩れてしまった。貨幣経済が発展して以降、農奴制は廃止されてゆくものだが(農奴を土地に拘束すると工業化が進まないのが主な理由だとか)、さすが社会主義の国だなって感じもする。そして思い出したぞ、コルホーズだ……。

・ロシアのトップの役職名は「書記長」(スターリン書記長とかね)、中国や北朝鮮での役職名は「総書記」、社会主義における書紀の権力がヤバい説。

・基本的に個人崇拝(英雄崇拝)の風習?があり、強力なトップが国を治める。フランス革命が起きて、自由と平等という人権を訴えられる世の中になっても、ツァーリズムは維持された。

・神聖ローマ帝国が東西に分割→東側はビザンツ帝国(コンスタンティノープルは第二のローマってやつね)→そのビザンツ帝国の最後の皇帝の姪を娶ったのがモスクワ大公・イヴァン3世(雷帝の祖父かな?)、モスクワは第三のローマと呼ばれる。知らんかった。

・東方正教なんのこっちゃと思っていたけれど、この流れでなんとなく分かってきた。東ヨーロッパに広がったキリスト教諸教派、ギリシア正教、東ローマであるビザンツ帝国経由?いや、分かっとらんかった。混乱してきた。後で読み直そう。

・ポーランド分割!!!!!!歴史解説動画とか見ていると避けられないポーランド分割!!!!!!ここなんだ!?!?!

・南下政策の目的は不凍港の獲得にある。アレクサンドル2世の暗殺。この辺りが出てきた時、ゴールデンカムイで見たやつだ!!!!とテンションが上がってしまった。(漫画1)

・ツァーリの権威が失墜した『血の日曜日事件』、これも聞いたことあるやつだ!ナナマツサンバツで!(漫画2) これで『血の日曜日事件』についてはなんとなく分かった!という気でいたら、Wikipediaの一覧を見た時、二度見してしまった。血の日曜日(日曜日に発生した流血事件全般を含むので10件以上ある)多過ぎんか?

・チンギス=ハンとオスマン帝国、どこの歴史見ても急に出てくる上、なんか無闇に強すぎ問題。そしてオスマン帝国、結構最近(1922年)まであったんだな。相当ウケたらしく、メモに「オスマン、まだいるの!?オスマン!!」って殴り書きしてて、見返した時笑ってしまった。

・後は、キエフ大公国の周り。ロシアの起点はここにある、という話はテレ東の解説動画(豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス)で見聞きしていたが、改めてこういう歴史だったんだなということが知れた。

力尽きたので……ここまで!(息切れ)

まあこんなご時世でなければ、ロシア史を知りたいなんて思わなかったかもしれないから(マリア・タチバナの国だな〜くらいしか思わなかったかもしれない)、なんか、なんかこう……。ポジティブな機会ではないから、心情的にブレーキがかかってうまく言語化はできないのだが、何か起きた時には、その何かを考えるきっかけになる、という意識は持つように心がけていきたいなと思った次第です。

読書:わけがわかる中学社会 / 学研プラス

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

クイズ形式の中学社会全般(地理・歴史・公民)の本。先週も似たような本(中学社会のなぜ?が1冊でしっかりわかる本)を読んだのだが、これがまるでダメだったので、復習がてらを読み返した。

読書:中学社会のなぜ?が1冊でしっかりわかる本 / 玉田久文読書:中学社会のなぜ?が1冊でしっかりわかる本 / 玉田久文

わけがわかる中学社会 / 学研プラス

流石に1週間前に似たような範囲をざっくり読んだので、そこそこの精度で答えることができた。

本「Q.正倉院の宝物の中に西アジアやインドから伝わったものがあるのはなぜ?」
私「正倉院、覚えていますよ!鑑真!!!!!!!あと遣唐使!!!!!」
本「A.シルクロードを通って唐に伝わったものが日本にもたらされたからです」

はい……。中途半端なキーワード暗記をしてしまっていた……。テストでもないのに、暗記でキーワードをうろ覚えするなどといったことをしてしまう己の不甲斐なさよ。ちゃんとストーリー込みで、歴史の流れを覚えることに努めなければなあ。まあいつか、奈良旅行とか行くか。大仏見たいし……赤の神紋で連城も仏像見てたし……(??)

個人的にテンションが上がった問いは、「なぜアメリカには円形の畑が広がっているのか?」というもの。これは機械で円形を水を撒くからでしょ!?!?!?これはね、火星テラフォーミングゲームで見たことある!!!!とゲーム脳だけで自信満々に答えられたし、実際その通りだったので楽しかった。

あと、「ブラジルの公用語がスペイン語ではなく、ポルトガル語なのはなぜ?」という問いもあったんだけど、これはポルトガル史を勉強中だったためさすがにニコニコで答えることができた。ニコニコで答えるようなもんでもないけどな、植民地云々の歴史はな。クイズの楽しみがわかってきたかもしれん。

社会を学び直して面白いなと思ったところは、世界の地理や歴史に興味を持ち始めることはまあ当然として、それまで漠然と憧れていたヨーロッパ文化の諸々に対し、「いや……ちょっと色々……あの……怖すぎるな……」と我に返ってしまったところかもしれない。なんとなく漠然としたままだと、今の諸外国のポジティブイメージ戦略の情報量に自ら屈するしかないんだな。日本も全く人のことは言えないし、過去=現在ではないのでなんだけど、今までとは少し違った、変化のある見方ができるようになったという自分自身の変化は、楽しいものである。これは勉強全般に言える効果かも。

読書:ポルトガル史[増補新版](2) / 金七紀男

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

今回はP43〜53の以下の章を読んだ。

  • 第四章 ポルトガルの建国

▼前回

読書:ポルトガル史[増補新版](1) / 金七紀男読書:ポルトガル史[増補新版](1) / 金七紀男

この章を読むだけで済むはずなのだが、わからん用語も調べて理解しようと努めたところ、時間がかかり過ぎて泣いてしまった。ともあれ、なんとか読み終えた『第四章 ポルトガルの建国』。

レコンキスタの後にポルカトゥーレ伯領の成立があって、カスティーリャ王国から独立し、ポルカトル王国ができたという話。このポルトカトゥーレ伯領が、やがて英単語Port(ポート)の由来となった港町ポルトゥス・カレになり、現在のポルト(都市)に至るというやつ…のかな?レコンキスタより後の成立っぽいので、思ったよりポルトガルは新しい国なのかもしれない、と感じたが、レコンキスタが思ったより古かっただけの気もするな。なんとなくレコンキスタの期間をWikiで調べてみたところ、次の通り。

レコンキスタ(スペイン語: Reconquista)は、718年から1492年までに行われた、複数のキリスト教国家によるイベリア半島の再征服活動の総称である。

Wikipedia

いや長いな!!!約800年!!!!!!!!!!!!!!

ポルトガルは12世紀の成立のはずだろ!計算が合わねえ!いい加減にしろ!ここでまた自分の浅い理解に苦しみながら、また何度も同じページを見る苦しみに耐えたりした。でも読み直すたびに「修道院の国っていうイメージのあるポルトガルだけど、成立からしてもうローマ教皇庁の承認が必要だったりで完全にカトリックやねんな」「ヨーロッパの南の端ってイメージがあったけど、封建制度だしガチガチカトリックだし、荘園もある……典型的ヨーロッパって感じ……」「と思えばそうでもないところもある」と発見を捻り出すなどできた。細かいことを諦めること自体はもう諦めているのだが、ちょっとずつ理解ができる項目が増えると、読み返した時、以前は目が滑って頭に入らなかった言葉に目を向ける余裕ができているような気がする。

とはいえ、今日は疲れてしまったので…ここまで!