「詩・短歌・俳句」の記事一覧

性の対象は季語に入りますか?

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

大人になるまでに読みたい15歳の短歌・俳句・川柳(1)愛と恋

15歳の倍以上の歳を取っているが、ようやく短歌に興味を持ち始めたので手に取った。手に取った後に気づいたんだけど、サブタイが『愛と恋』だった。15歳の……愛と……恋!

鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし

三橋 鷹女(みつはし たかじょ、1899年12月24日 – 1972年4月7日)、千葉県出身の俳人

鞦韆(しゅうせん)ってなんだ…!?いきなり困惑してしまったが、解説を見たらブランコのことで、春の季語とのこと。ブランコって季語になるんだ?それも鞦に秋ってあるのに春の季語とは一体?でも、「〜べし、〜べし」の勢いが良くていいな。愛は奪うべしのインパクトもよし。そしてよく見たらこの本の句、15歳以下の人が読んだものじゃないな。恋とか愛とかの句を並べるから、大人になるまでに一度読んでおいてくれということか。

こういった歌集は一気に読むものではないという偏見が私にあるため、少しずつ読んでいる。下句に「性の対象」とか「しめる友の首」とか、たまにアンブッシュが来るので、面白い。

そういや合歓の花ってちゃんと見たことないかも

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

歌集 合歓の花 / 阿形志津

図書館で借りた、個人の短歌をまとめた本。本屋では買えないタイプの個人が発行している同人誌(印刷所と著者の住所が奥付にあるやつ)だったので、とても懐かしく思い、借りてしまった。いやー、地元の情景を短歌にしているってすごくグッと来るものがあるな。明らかに見たことがある場所の写真とともに、ここで生まれ育った人生と情景で短歌作りました!と言われると、なんだか気持ちリアルに思い浮かぶんだよなあ。最近、地元の民話を聞いたりと、地元由来のあれこれに興味を持ちだしているんだけど、この行動は当たりだったと思う。メチャ楽しい。気に入った短歌は以下の通り。

葉を閉ざし夕べをひそと咲いている合歓咲く七月わが生まれ月

さざ波に 映る夕日の影ありて夢にたつ旅の海は恋しき

芽吹くもの紅も緑もみな淡く春の光を彩りてゆく

歌集 合歓の花 / 阿形志津

シンプルに、私も植物とこの辺りの海と夕日が好きだなーと言う趣向の一致と、この方、孫のことや福祉のこと、戦争、亡き夫、旅路の思い出を短歌にしているページもあったりで、短歌で人生を綴っているのすごくいいな〜とても好き〜と思ったりした。芋蔓についての話を見た時は「ああ〜!静岡の民話で見たやつ!この辺り、芋関係の話があったよね!」と、以前読んだ地元の本から得た伏線がちゃんと回収され、なお楽しい。終始しみじみと読むことができた。

この本とは全く関係ない話をするんだけど、合歓といえばeuphoriaだなあ。以前、ペルソナでも、同じように「眠る少女が見る幸せの夢が、あまねく全てに伝播する。その少女が夢を見ている楽園への扉がどこかにある」みたいな設定があったことで、このゲーム共通の元ネタ絶対にあるはずやん、なんだろう?イギリス小説っぽい……と思ったまま、それから先一向に情報を集められず保留になっていたんだけど、案外日本の小説とか民話なのかもしれないな。