「漫画」の記事一覧

漫画:フランス家族のニッポン滞在記&出産体験記 / 大場もも

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Kindle Unlimitedで色々な漫画を読み漁ったよメモ。

フランス家族のニッポン滞在記&出産体験記 / 大場もも

この漫画は、タイトル通りにフランス家族が3週間ほど日本滞在した時の記録(と作者が妊娠・出産した経験ログ)なんだけど、やっぱ異文化交流でハッキリする両国の違いみたいなものの認識のズレが面白かった。出だしからして、フランス人の夫と結婚して、日本で子供を産むぞ!となった時に、夫側の親戚友人一同(計6名)がフランスから駆けつけてくるの強すぎんか?

フランスと言えば、革命と人権、自由・平等・友愛、食い物全般が途方もなく美味い、酒も美味い、植民地エグい、十字軍、カロリング家、ブルボン朝、ナポレオン、圧倒的な芸術資本力、ロマンチックっぽい、ファッション総本山など咄嗟に思い浮かびはするものの、そのイメージを現実の具体的な何かと結びつけて考えたことはそんなになかったから、フランス人から見た日本の●●みたいなコメントが面白く読めた。日本人が興味を抱きがちな「フランス人から見た日本のフランスパン」「日本人はビニール使いすぎでは?」「ウォシュレットトイレに感動してフランスでも使えないか検索する」「みんなで回転寿司に行く」などの定番どころも押さえてあるし、全体的に面白く読めたな。

漫画:一級建築士矩子の設計思考 1巻 / 鬼ノ仁

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タイトルを入力していて思ったんだけど、もしかして設計思考と設計施工をかけとる?ともあれ、一級建築士の方が描いた一級建築士の漫画。確か結構昔にTogetterの記事で知って、そのままKindleで購入して積んでしまっていたんだったかな。該当記事はこちら。

一級建築士・1級建築施工管理技士の資格を持つ有名なエロ漫画家「鬼ノ仁」さんがついに建築漫画を発売!じゃないのよ。そんな設定の人なんだっけ!?忘れていた。まあでも、作中にそんな要素は、そこまで感じなかったのでセーフよ。建築学科の犀川先生、建築探偵・桜井京介、と最近建物関係の設定を見ていたから、この漫画のタイトルが視界に入った時に開いてしまった。

一級建築士矩子の設計思考 1巻 / 鬼ノ仁

建築とお酒が好きな一級建築士の古川矩子が、独立して自分の事務所兼飲み屋を開いたところからスタート。私に建築系の知識は無く、せいぜいゲームでシムピープルやシムズを遊び倒した程度だったので、こんなにも図面が出てきたり数値が出たり、安全対策・法律などの知識がガンガンに詰め込まれた漫画の情報量に圧倒されてしまった。細かいところは正直分からんのだが(私は雰囲気で建築漫画を読んでいる)、それでも十分面白かったな。あらゆる創作がそうなんだけど、出来上がった作品は、その価値を担保しようとすると人の手による維持管理が必要になるかとは思う。建築にもそれが言えるわけで、設計も大変だし施工も大変だし、その後のメンテ管理も必要だしとあらゆる工程が人の手で行われているのに、立派な建物を見た時、私は、特に人の生活を思い浮かべたりしないんだけど(絵画は絵画だなあ〜くらいの感覚で、描いた人の背景や時代などにじっくり思いを馳せたりしない)、やっぱ建築士ともなると、常に建物と人との接点を深く観察されてるんだな。そういう視点の違いが、一番面白かったかも。

漫画:スナックバス江 252話 / フォビドゥン澁川

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ヤングジャンプ、当時連載していたゴールデンカムイを追いたいな〜と思ったのがきっかけで手を出し、終わった今となっては主にジャンケットバンクとスナックバス江を見ているのだが、今回はスナックバス江のダイエットネタがメチャメチャ刺さって笑ってしまった。

スナックバス江 252話 / フォビドゥン澁川

スナックバス江はヤングジャンプで連載中の漫画。場末のスナック「スナックバス江」を舞台にして、そこのチーママが主人公なのだが、主に常連客を相手にした小気味よいギャグディスカッションで進んでいくという、だめだ、私には言語化ができないが、まあともあれ風刺とキレのある掛け合い、真理かもと一瞬思ってしまう名言などを見せてくれる一話完結型のギャグ漫画である。結構Twitterとかでネタ画像が出回っているので、絵柄を見れば「これかぁ〜!」となるかもしれない。公式でSNSで使っていい画像を100個くらい用意してくれているので貼っておく。

会話のやり取りが面白くて、1話に対してページ数少ないのに、お腹いっぱいになる感じ。

「ハーブか何かやっておられる?」
「すぐ謝っても怒られるでしょう!?どうせ謝るならコスパ良く許されたい!」「気持ちはすごくわかっちゃう…!」
「目標はなんと言っても結婚やからね…?」「いきなり目標が高すぎるの(ルビ:イカロス)よ」
「クリスマスソングって聴こえてくると苦しくならんか?」「闇属性だから聖属性で弱点ダメージ食らってんの?」

今回のヤンジャンは週明けに読んだので今更の話題なのだが、その雑誌に載っていた話がダイエットとルッキズムをテーマにした回だった。森田というイケてない常連客いるのだが、人間の価値観が変わる時代を待つよりも自分が痩せた方が早い的な理由から普段敵視しているルッキズムに迎合して、ダイエットを始めた。

右下が森田

無茶なダイエットをしようとする森田に対して「ダイエットは無理せず続けるのがいいのよ!」と主人公のチーママ・明美がアドバイスするのだが、どうしても痩せたい森田は「もっと苦しんだ方が痩せられるのでは?」と言う考えに陥ってしまっていた。それを見た明美が、「苦行主義は釈迦も否定しているわよ…!」と的確に返したのをみたダイエット中の私、なんかワケが分からんくらいウケてしまって、本当にもうワケが分からんくらいウケてしまった(?)

確かに私もここ2ヶ月、空腹をただの根性で乗り切りがちであり、まあ結果が出てるから…!と自分を納得させていたのだが、確かに釈迦も断食での苦行は否定していたなあ〜〜〜〜〜!明美ちゃんがそう言うなら…無理して根性を使わなくても良いくらいのギリギリのカロリー上限を見極めて、無理せず続けよう…

お笑い代としてこのスナックに金を落とすべく、とりあえず単行本を買って読んでみたのだが、1話1話のカロリーがラーメン二郎並みだし、以下の会話が出てきて笑っちゃった。

「でも単行本を買うほどじゃない漫画ってあるじゃない?」
「なんてことを言い出すんですか!?」

読書:フランスふらふら一人旅

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フランス旅行記のコミックエッセイ3作、『フランスふらふら一人旅 パリ・アパルトマン生活編』『パリ・美術館巡り編』『モネの足跡をたどる列車旅・前編』を一気に読む。作者の方は漫画家のようで、フランス近代史あたりをテーマにした漫画を描かれているっぽい。女ひとり、単身で何度もフランス旅行に行くという行動力は素直に凄いと思うし、中谷美紀っぽいとも思った(?)。

世界史あたりの本を読んでいると、ヨーロッパ各国の革命・遠征軍・植民地支配云々がどうしてもメインになるので、若干のネガティブイメージが私の中に芽生えてしまうこともあるのだが、たまには純粋に各国の良いところを見たって良いだろう、ということで読んだ。ウソです。盛りました。(読み終わった後に考えついた後付けの設定)

著者の方は漫画家ということもあり、芸術に強い関心があるようで、どの本にも訪ねた美術館についての詳細な記述と基礎画力高そうなイラストが豊富にあり、そういったもので埋まったページを眺めるだけで楽しかった。フランスは芸術の国って感じだもんな。あとは美食もか。やっぱパリって……オシャなんやな!

どうやら著者の推し画家はクロード・モネであるようで、フランス旅行記の『モネの足跡をたどる列車旅・前編』のほかに、この後編、『モネのキッチン』という漫画を描かれているようだった。私は、モネといえば「睡蓮……日の出……あと日傘のレディ!」くらいのボンヤリした思い出しかないのだが(名古屋に住んでいた頃の美術館のイベントで何回か見た覚えはある)、印象派って、19世紀後半から現代に至るまで、こんなにも人に影響を与えたジャンルだったんだなあ、と改めて気付かされた。印象派って、なんか印象にないんだよな…印象派なのに…(?)。これも地理とかと同じで、知れば知るほど面白い分野ではあるんだろうな。フランス史を見て上がったり下がったりしていたフランスへの好感度が、ちょっと上がったコミックエッセイだった。

読書:サマータイムレンダ / 田中靖規

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表紙を見た時、なんか地方に浮かぶ小さな島で美少女とドキドキな日常を送るヤツだと思うじゃないですか?

サマータイムレンダ1〜13巻 / 田中靖規

おい!!SIRENとひぐらしと屍鬼を足しっぱなしにしたみたいなSFオカルトホラーじゃねえかよ!!!!

ドッペルゲンガーじみた「自分にそっくりな影を見ると死ぬ」という伝承が伝わる小さな島を故郷に持つ主人公が、幼馴染の少女の葬式に出るために島へ帰ってきたことから始まるストーリー。そこで死んだはずの幼馴染、その影と出会った主人公だが、展開が進むにつれ、不可解な怪奇に巻き込まれて殺されてしまう。しかし、その死をトリガーとして、過去へタイムリープするループ能力に目覚めた主人公はーーーみたいな感じ。

殺傷シーンが死ぬほど多いので合う合わないがあるかもしれないが、エログロ系は控えめだし、あまりに適当な役割を振られたかませっぽい登場人物もいなかったので、そう言った意味では安心して見ることができた。登山漫画『孤高の人』で負ったトラウマ(主人公の男ライバルがクズ堕ち、ヒロイン枠が風俗落ち)がまだ消えてないんよ。

和物+SFっぽい雰囲気設定は好きだなあ。私自身、海が好きなので、その周りの設定もいい。
登場人物の一人が言っていた「ひだるい」という言葉が出てきた時、「ひもじいってやつだ!」と六道紳士の『デスレス』で学んだことを思い出した。この語彙生きることあるんだ!?

舞台の島には、漂着したものは神として祀るという漂着神文化があるらしく(島の浜辺に流れ着くワカメや鯨、タコ、流木、舟などの資材をありがたがる文化)、この辺りちゃんと『漂着神』でググれば色々出てきたので、気になる民話ではある。鯨とかが漂着すれば、肉は食えるし、脂やヒゲ、骨は使えるし、確かに神の恩恵の一種に見えるなあ。

寄り神(漂着神)
主に漂着したクジラを指して(古くは流れ鯨・寄り鯨(座礁鯨)を)「寄り神」と呼ぶことがある。「鯨 寄れば 七浦潤す」「鯨 寄れば 七浦賑わう」などというように、日本各地には地域がクジラの到来により思わぬ副収入を得たり飢饉から救われたりといった伝承が多いが、特に能登半島や佐渡島や三浦半島で信仰が残っている。海外からの漂着物(生き物の遺骸なども含む)のことを「えびす」と呼ぶ地域もあり、漁のときに漂着物を拾うと大漁になるという信仰もあるという。九州南部には、漁期の初めに海中からえびすの御神体とするための石を拾うという風習があるという。これらの民俗信仰は、えびすの本来の性格を示すと考えられる。

WIkipedia – えびす

終わりの方の展開には、う、ウーン!?そういうふうに纏めてしまうんだ!?と若干納得がいかないところがあったが、民話や伝承をうまくオカルトSFチックに繋げる設定力なんかは大変良かった。面白い漫画だった。