昨日の続きから。よく考えてみたら、2021年に、まだこういうバシャール対談本みたいなスピリチュアル本を出せるのはすごいことなんじゃないだろうか?吉本ばなな先生のネームバリューかな。宇宙、愛のエネルギー、チャネリングなどなど、久しぶりにこの手の本を読んでいるかもしれない。宇宙云々とかはさておき、愛とかしがらみとか生きづらさとかの話題が多いので、「やっぱこの世代はみんな人間関係から生じる摩耗で、多かれ少なかれ疲弊しとんのやな」と言う印象が強い。人間関係を密にすれば、ポジディブな意味でもネガティブな意味でも感情が揺れる原因になるだろう。揺れること自体には良いも悪いもないが、人間の流れやすさを侮ってもらっちゃ困るぜ。そう言う意味では、「違うことをしないこと」と言うのは、無理をしない、他人に合わせすぎて自分の思考を無視しない、溜め込まない、違和感を黙殺しない、みたいなメッセージ本なのかな。
ここからはメチャクチャ個人的な偏見なんだけど、歳を取ってくると、若い時に無理に我慢することなかったなって気づいて、開き直って図々しくなれたりできることあると思う。その分生きやすくなったな〜とは思うんだけど、その分どっかで若い人に我慢させてるみたいな皺寄せを感じていることがあり、「母ちゃん嫌ってたおばあちゃんの性格に似てきたな」「血筋って抗えないのかもしれないな」と言うような状況も見ているので、世の中は連鎖なんだなあ、と感じることはあるし、私も歳をとってきて我慢しない方に寄ってきているのを感じている。本の中でも、自分は自分!と言う人間ばかりだと共存が難しく空中分解する、みたいなことは書かれていたので、それはそうだなと自戒せねばなるまい。
吉本ばなな先生やべえなって思うポイントは、若い頃からメチャクチャ売れてたのでメチャクチャな人間関係をガンガンに経験しているのに「ずっと書いて生きていきたいから、そう言う経験もこの先いる」って判断して、自ら飛び込むところだな。これが私には出来ないので、読んでいて「そりゃ作家として大成する」と納得しかなかった。何かに飛び込まないでスルーするより、失敗だらけだとしてもちゃんと経験として受け入れて、「(小説家としての自分のスタンスと)違うことをしない」と言う先生の生き様がすべてを語るスタイルの本だった。
対談はスピリチュアルがメチャ強。それが終わると「前世はある、幽霊はいる、神はいる、ってことにしておいた方がいろんなことの説明が楽」みたいな見解も出るので、やっぱ作家の視点があるんやろな。個人的には森博嗣先生の話が挟まれたのが嬉しみポイントだった。そういえば、吉本先生は森先生と付き合いあるんだった。森先生のエッセイ本とかにもちょくちょく名前お見かけするもんな。
学生向けのコーナーにあった読書本。たぶんわかりやすいだろう!と思って手に取った。なぜ読書が良いのか?というテーマに沿って、哲学者・教育学者の著者が解答をしている。
第1章・読書の効用。「読書で得た知識(教養)で出来た蜘蛛の巣には、時折ひらめきの電流が走る」、これは分かる。私もこれを楽しみにして本を読んでいるときがある。ただまあ、その時はメチャクチャすごいこと閃いた感はあるんだけど、著者の言う『そのひらめきから最適解が見出される』とまでは感じたことないかも。私に取ってはセンスが爆発した脳汁溢れる瞬間なのだが、最適解を見出せるかというと…そ、そうか…?と自信がない。でも、読書のメリットとしては賛同できる。
大事なことは、無闇に知識を得るのではなく、知のネットワークを築くこと。これもそう。適当な時間潰しで見た雑学動画とかって、結局私自身に興味や意識がないと、そこで得た知識がどんなに優れた知識でも、私の脳が内容のうっすいゴミデータに改竄しちゃうしな……。また、読書から直接体験を得られる・視野が広がると言うのも同意できる。
第2章・読書の方法。あんまり記憶に残らなかった。読むタイミングがたまたま合わなかったんだろうな。
第3章・レジュメ(読書ノート)の作り方について。途中でオンラインサロンの会員云々の話が出た時、「あ!でた!ビジネス書でよくみる有料オンラインサロンへ誘導するやつ!」と一瞬にして警戒してしまった。悪いビジネス書の読みすぎなのよ。大学の先生が、有料オンラインサロンへの誘導を筑摩書房でやるわけがないのよ。……エッ、ですよね?それが気になってしまって、内容が頭から吹き飛んだことを反省したい。
読書の利点を学生向けに分かりやすくまとめられた本で、良かったと思います。