元々はTwitterかPixivあたりで流行ったWEB漫画(セレブな女性が漫画家をするコメディ系の漫画)っぽい。Kindleのセールで爆安(98円)だったのがきっかけで目に留まったのだが、どうやらこのセール、百合漫画特集だったっぽいので、一抹の不安を感じる(百合ジャンルに対して合う合わないの差が激しい)のだが…!まあいい、見てみればわかるだろう。ということで、いざ鎌倉!
全然大丈夫な方の百合でした。百合要素はそんなになかったし、何より気軽に読めて面白かった。
漫画の設定としては、漫画家兼妙にリアルな経営者視点を持つ美人の社長(22歳)が、ビジネスでは百戦錬磨ではあるものの、漫画家としては連載を持つことができず苦戦している……みたいな、『一見バリバリのキャリアウーマンで近づきづらいが、女性としての可愛さもあり、それが全面に出てくるのが漫画で四苦八苦しているときか、世間からズレていることが発覚したとき』とギャップで殴ってくるタイプのアレ。
別の作品の話になるんだけど、昔『辣韮の皮』という、登場人物全員がオタク活動をする四コマ漫画にもこの手の金持ち創作キャラがいて、「大金持ちのお嬢様が、創作以外の苦しみを金で解決するところが見てえ〜!!」という感想を抱いたことを思い出した。私はこの手の設定が好きなので、それも相まって面白かったな。
例えば、セレブで漫画家の主人公・一条さんが編集者と打ち合わせの最中、編集が「一条さんの漫画に出てくる、この商品の名称は実在するやつなんで、出しちゃまずいやつです」というようなごく普通の指摘を、「(電話で確認したところ)A社の株式は私名義の比率が50%を超えているので、A社の経営権握っている状態です」「じゃあ問題ないですね……」と、ひたすらマネーパワーで捩じ伏せるといったような主人公のセレブ芸が面白かったし、己の金や経営手腕で解決できない創作分野(連載漫画を持つという野望)については、ひたすら苦しんでいるところも良かった。良かった?(大金持ちのお嬢様が、創作以外の苦しみを金で解決するところが見てえ〜!!という欲望が満たせたので)良かったです。
登場人物のメインはこの主人公と編集さん、そしてライバル視をしてきたものの、すぐに懐いてきた女子高生漫画家(天才肌)の女の子の3人。最後の方にアシスタントキャラが追加されたところで1巻が終わり、盛り上がってきたところで、続きの2巻を見るか〜!と勢いに乗ったところ、2巻は出てないことが発覚して泣いてしまった。エ!?2017年の漫画で続きが出ていない!?この漫画のタイトルにも「セレブ漫画家一条さん 1」と、いかにも続きがありそうなナンバリングしているじゃないですか!?なんだろう、何かトラブルがあったのか……!いささか残念だが、続きを期待したい。