漫画:恋する名画 1〜2巻 / みもと

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「恋する名画?恋するワンピース的なやつかな?」などと抜かしながら深く考えずに購入して中身を見たところ、ピカソ『泣く女』、レオナルド・ダ・ヴィンチ『モナ・リザ』などの印象的な名画に因んだシーンが出てくる百合漫画の短編集だった。しまった、私にとって百合は、合う合わないの差が激しいように思えるジャンルなので、試し読みすべきだったか……!とは思ったものの、もう2巻買ったので読むしかないのだ。いざ鎌倉!

恋する名画 1〜2巻 / みもと

最初はほのぼのした短編漫画が多かったので、途中から無警戒でニコニコしながら読んでいたのだが、突然急にR18同人誌見たいなキツいやつとか、古のポンキッキの『学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!』に出てきそうなホラー展開とかが出てきて、やや心が折れかけた。綺麗な絵柄とは裏腹に、出てくるキャラクターが性欲と欲望に忠実なの怖すぎるんだが〜〜〜!一瞬心が中学生に戻って「警告なしの強制レや児童殺害は地雷です!」と騒いでしまった。Pixivに群がるベイビーか?ともあれ、私が中学生(未成年)でなくて本当に良かった。

しかしこうやって読んでみると、全体通して「この話に名画のシーンの表現が必要か……?」という不可解さを最後まで解消できなかったのが、返って面白かったかも。私は名画を見るとき、その絵のモチーフであるところの女性に対して、特に性欲とか美しいというような感想を抱かないのだが(画家の時代背景や、その絵に対して後世で見出された価値はなんなのかとかのストーリー性が気になるタイプで、技巧や姿形そのもののには「すごいな〜」くらいしか思わない、美術に関する素養の貧しさが露わなタイプ)、この作者さんの感性はそうではないということだもんな。女性体にエロスを見出せる。絵画などの芸術は、それ自体と、観察するものの対面あって完成するとは聞くが、やっぱり解釈は個々人によって異なるのだろう。誰しも同じ感性ではない、少なくとも私は違う、というのが、この漫画の(異性愛ではないという後ろめたさを持つ登場人物たちの)恋愛にもなんとなく結びついて、そういった意味で結果的には面白がることのできた漫画だったかもしれない。

読んでいくうちに「そういや私が好きな絵画って、風景がメインで、人間を主題にしている絵画が好きってことはそんなに無いかもしれない」と気付けたりしたしな。と思ったが、オタクならみんな大好きなゴーギャンの『我々は〜』と、モネの『散歩、日傘をさす女』は好きかもしれない。どっちだよ。

あかね

静岡に住む、30代後半のものです。当時何に興味かあったのかを振り返るとき用に、読んだ本やYoutube動画、考えたことなどを書いていきます。