「2022年」の記事一覧

読書:おはなし りょうり きょうしつ・4 こまったさんのオムレツ / 寺村輝夫、岡本颯子

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

こまったさんシリーズの続きを手に入れた。このこまったさんシリーズという児童書は10巻まで出ており、(1)スパゲティ(2)カレーライス(3)ハンバーグ (4)オムレツ (5)サラダ (6)グラタン (7)サンドイッチ (8)コロッケ (9)ラーメン (10)シチューと、それぞれタイトル料理にちなんだストーリーが展開される。
今まで(1)スパゲティと(7)サンドイッチは読んだことがあるので、今回は(4)オムレツを読むことに。

おはなし りょうり きょうしつ・4 こまったさんのオムレツ / 寺村輝夫、岡本颯子

多分今回もこまったさん(花屋の既婚女性)が異世界に召喚されて、タイトルの料理であるところのオムレツを作ることになるのだろうと予測を立てる。これはこのシリーズのお約束だからね。

さて、話はこまったさんのお家に「4月31日にオムレツ島へ招待します」みたいな旅行の案内が来たところから始まる。4月30日の次の朝、とりあえず旦那さんのご飯の準備をしてから旅行へ出かけようと冷蔵庫を覗いだところ、なぜかそのままオムレツ島に転移して……なんでだよ!そして、そこで出会った不思議な空飛ぶおじいさんはこう述べる。「早速オムレツを拵えてもらおうかの。うまくできれば、うちにかえれるが、下手だったらこの島から出れんことになる。いいかの?」何も良くないよ!なんの誘拐だよ!

毎回思うんだけど、こまったさんが異世界に飛んでから遭遇するやつの方がよっぽど困ったヤツらなのでは?と思っていたら、今回は、普通に協力的なお料理上手な人間たちが続々出てきて、こまったさんにアドバイスをするなどしていた。クソー!登場人物の性格がやや悪いのはこのシリーズのお約束じゃないのか!?認知不協和を起こすだろうが!あといつも思うんだけど、この作者のあとがきのクセが強い!自己主張が激しい!毎回ツッコミどころが多いな!

純粋に児童書を楽しむ気持ちをとっくに失ってしまった私だが、そんな薄汚れた大人の心でも楽しんでしめる本だった。

読書:魔女の宅急便 / 角野栄子、林明子

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

有名なジブリアニメ『魔女の宅急便』の原作にあたる小説。子供向けだとは思うのだが、本に印刷された文字は少し小さく漢字もあるので、小学生の高学年向けといった感じだろうか。児童書?の範疇に当たるかどうかちょっと不明なところ。この本を見かけた際、「魔女の宅急便って原作あるんだ!?」と不意を打たれてしまい、そのまま手に取った。え!?魔女の宅急便って原作あったの!?じゃあとなりのトトロも、もしかしたらあるのか……?と思ったけど、トトロ関連の大量のグッズ展開を見るにジブリオリジナルっぽそうなんだよなあ。ともあれ、『魔女の宅急便』は元々などんな小説で、どのようにジブリに魔改造されてしまったのかを確かめるべく、いざ鎌倉!

魔女の宅急便 / 角野栄子、林明子

色々覚えていない設定が出てくるな。魔女の家系に生まれたキキは、二つしか魔法が使えない。母は魔女、父は民俗学者の(おそらく)日本人。魔女の技術は年々失われつつあり、今ではキキの母も2つしか魔法が使えない。箒で空を飛ぶことと、薬草を育ててくしゃみの薬を作ること。今は数を減らしつつある魔女だが、その魔法の存在が今もあることを知らしめるべく、年頃になると他の魔女のいない街にひとり立ちする風習があるそうだ。ちなみに、魔女になるかどうかは、本人で選べるらしい。人権!あと、魔法とはカテゴライズされないのだが、魔女は連れ添った黒猫と二人だけのおしゃべりができる能力があるらしい。そう言われてみれば、黒猫のジジはしゃべるけれど、キキ以外と会話していた覚えがないような……記憶が曖昧!そしてこの猫は、魔女が自分と変わる相手と結婚すると、魔女と別れて自分も相手を探しに出ていくらしい。そんな設定あったの!?じゃあキキが、あのそばかすボーイとくっ付いたら居なくなっちゃうんだ!?(アニメにこの設定を適用するならば)

アニメではあまり掘り下げられなかった、キキの身内周りの設定が面白い。キキの母は古い魔女の血を絶やしたくない伝統主義だし、キキはそれに不満を覚えて「何もかも新しく変えたい」みたいな心境で、一人暮らしを望んだのかな。とはいえ、箒に乗って空を飛ぶという魔法はとても好きだし、「魔女になってひとり立ちする」と決めたら、もう5日後の満月の夜にひとり立ちするし、魔女は黒い服しか着れないという縛りに反発するし、魔女や魔法が廃れたのは世のせいではない、魔女が遠慮しすぎたせいだ、私は人になんて言われるのか気にして生きるのは嫌、とはっきり口に出せる子なので、アニメよりちゃんとした女の子という印象がある。私は原作のキキが好きかもしれない。

そして、心配していたジブリの改変なんだけど、やっぱりあらゆるところに手を加えているなコレ。初めて旅立った日の夜、出会った魔女の先輩、普通にいい人だった。嫌味なんて言ってこない。初めてついた大きな街の人々の、魔女に対する無関心さに心傷つきながらも迎え入れ、寝床を提供し、キキのやりたいことについて相談に乗った上に「おとどけ屋さんより、宅急便屋さんがいいわよ。魔女なんだし、魔女の宅急便っていうのはどうかしら?」と提案してくれる神対応のパン屋のおかみさんが居たりもした。こんなキーパーソン、アニメに居たっけ!?ジブリくん!?

しかしなかなか示唆に富んだストーリーだな。キキの母が居た街では、魔女が生活と結びついていて、誰もが大事にしてくれた。しかし、魔女の存在しか知らない大きな街では、魔女の存在を知らず、煙たがる人も出てくる。キキは項垂れた。「どうして魔女は悪いことをするって決めちゃちゃうの?」「人間って自分が理解できないことは、簡単に悪いことにしちゃったのよね」。原因をなんとなくでも推測し、その上でジジと「じゃあもう少し自分たちを知ってもらうように宣伝が必要、行動しよう」って方向にすぐ持っていけるので、観ていて安心できる。主人公コンビとしてのレベルが高い。そしてキキ、生き方が強いな。アニメに出てきた男の子に商売道具の箒を奪われて、そのせいで命懸けの人命救助を行い、挙句男の子に箒を壊されてしまって、涙ぐんで恨み言を言って、でもその後すぐに仕方ない、新しい箒を作ろう、魔女の仕事ってなんとか笑えるの立派すぎる。まだ13歳の女の子だよ……。

面白かったところ。トネリコの枝で空飛ぶ魔女の箒を作ると判明したところ。大人が困っている場面で、魔法ではなく頭のよさで解決したところ。ニシンのパイの話が出てこなかったところ(続刊に出てくるのか、ジブリオリジナルなのか)。大きな街の若い市長が、自分の見栄のためにキキに泥棒行為を強要して、思わず二度見したところ(13歳の女の子にさせることじゃないやろがい!)。せっせと自分の仕事をこなして大きな街の人たちに信頼されるようになり、成長したキキが、最後の方で、両親のもとに一度里帰りをしたところ。そして、日も立たないうちに、いつの間にか『自分たちの街』になっていたあの大きな街に帰りたくなったところ、

アニメの『魔女の宅急便』は雰囲気や音楽が好きなんだけど、原作の『魔女の宅急便』は、世界観、温かみのある登場人物、キキの勇気と学び、臨機応変さが本当に良かった。続刊もあるようなので、また機会があれば見てみたい。

読書:YOUR TIME ユア・タイム / 鈴木祐

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

本のサブタイは『4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』。いわゆる生産性や時間効率を高めるとされる『時間術』に対する、近年の科学的見解についての本。

著者の方のファンでここ数年サブスクに入っているので(ニコニコのパレオチャンネル)、もちろんこの本は予め予約をして買ったのだが、なんだか途中、ワークショップ的なところでモタモタと時間がかかってしまった。私はワークショップに対する苦手意識が本当に強い。しかし、具体例がなければ無いで「これをどうやって落とし込めば…」と迷子になる可能性もあるのだがから、結局は本をなんとか読むしか方法がないのだなあ……。

以下は、本を読んでいた時に行った、出版社から出ている『時間感覚タイプテスト』の結果になる。

人生の喜びを失い、自分を過信して失敗する私の未来はどっちだ。いざ鎌倉!

YOUR TIME ユア・タイム / 鈴木祐

この本の面白いところは、「時間術」という世間の認識に対して、以下の回答でバッサリ切ったところ。

・真実1:時間術を駆使しても仕事のパフォーマンスはさほど上がらない
・真実2:時間の効率を気にするほど作業の効率が下がってしまう
・真実3:「時間をマネジメントする」という発想の根本に無理がある

どれも「そうなんだ!?」といったん驚いてから、「でも確かに言われてみればそうかもしれない、時間の効率を気にするってことが、すでに作業全てに加算される認知の負荷に繋がるのかも」と思えた。

私は『規則正しい生活』みたいな、マネジメントされた自律、またはセルフコントロールについて興味関心があるのだけれど、時刻という数値でスタートとエンドの区切りを行うことについては本当に苦手である。自分で定めた日々の学習ノルマはあるんだけど、夜20時 学習〜みたいなスケジューリングは破りがちだったりする。ただ、自分のタイミングで「おっと、そろそろしなきゃ」と思った瞬間にすることは出来るので、なんとか日々帳尻を合わせられているだけだとも言える。

そんな中、本に書かれていたような『スケジュール帳・ToDoリスト・締切設定などの大半の時間術は、科学的に大した効果が認められていない』『時間術が高めるのは、効率化というよりも幸福感である』との記述に、「おっと…!?話が変わってきたぞ」と助けられたような気持ちになった。

以下メモ。

・時間術が与えるものは「セルフコントロール」を満たすもの、つまり自分の人生を自分でコントロールできているという『認識』が満足や幸福をもたらすのである。
・時間の効率化を優先すると、想像力が下がる。判断力も下がる。問題解決能力も下がる。(多分、効率化ということは、すでに無駄のない作業という手順が決まっているということでもあり、考える余地や想像力を膨らます時間が排除される?)
・時間術で有効なのは『生きがい』かもしれない。人生で大事なことが明確だった人は、ストレスに強く、幸福感が高く、健康的で、判断に迷いにくい上、各々のタスクの重要性を見極められるようになり、必要なタスクを選ぶ傾向にある(重要度は低いが緊急性の高い仕事を優先しすぎず、長期的に取り組むべき緊急性の低いタスクにも着手できる)。
・効率的に生産性を高めたい、将来的なメリットを得たいと思うあまり、長期的に見て人生を狂わせてしまうことがある。
・時計に頼ってスケジュールを区切ることは、創造性やセルフコントロール感を減少させる(時間で区切ることは、自分で決めているようで、自分ではない外部の何かに急かされているのと同じ?)。スタートとエンドのタイミングは自分で決めて良い。あなたが時計で時刻をチェックしているとき、時計も時刻であなたをチェックしているのだ、みたいなホラー感ある。こわ。
・認知の忍耐とは、あいまいなことを保持し続けられる力である。(みんなすぐに答え得て楽になりたいもんね…)

時間術は、効率化や生産性についてそこまで有力な手段ではないし、効率化とか気にしすぎると「このレシピに書いてある『弱火でじっくりコトコト1時間』の工程、『強火で20分』にできんか!?」みたいな雑念が生まれがち。作業に没頭できることが一番人生に貢献しそうな状態なのに、その雑念で濁すよりは、生きがいを自分に明示して、判断の指針にした方が、長期的な人生全般の幸福度に対して、ほぼ間違いなく効果がある、みたいなニュアンスを捉えた。普段ビジネス系の本は見ないのだが、この本はそのカテゴリーを越えたとても良い本だった。

漫画:呪術廻戦 21巻 / 芥見下々

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

普通に21巻のネタバレを踏みそうになって、「あ!?お!?え!?もう発売されたっけ!?」とKindleの購入履歴を二度見した。え!?予約していたはずだが!?なんで通知が来なかった!?(実際は予約されてなかったからだよ)

呪術廻戦 21巻 / 芥見下々

そういうわけで、慌てて購入した21巻である。ジャンプの定期購読で毎週きっちり呪術廻戦を追っているので、この巻に収められた話は大体知ってはいるのだが、改めて読み返すと懐かしくて面白い。そうそう、突然科学監修にくられ所長の名前が出てきて二度見したとかあったし、パンダのお辛い弱体化もあったり、「ボディがお留守だせ!」とゴリラが言い始めた時は「草薙京!!!!!!!!!」とかつてない血圧の上がり方をしたし(KOFが私のオタク人生の始まり)、金ちゃんがパチスロ術式使い始めた時は「????」ってなったし、鹿紫雲くんと金ちゃんが大変いいキャラで毎週「頼む〜!両方とも死ぬな〜!」って祈っていたことを覚えている。

とはいえ、登場人物が命を賭ける漫画を見ることが多いので、ある意味毎週「エーン!両方とも死ぬな〜!」とは思っている気もする(今週はヤングジャンプのジャンケットバンクを見て思ったし、その前は少年サンデーの葬送のフリーレンを見て思ってた)。

しかし、何度見ても「三対で観測しあうことにより自我が安定する」というパンダの設定にある魂の話が好きだな。この漫画は『私とあなた』だけで安定するような世界観じゃないんだな〜〜みたいな面白さがある。呪術廻戦は、キャラクターも好きなんだけど、設定や世界観の骨子も好きなんだよなあ。

そういえば、まだSF小説の『三体』をちゃんと読めていないのだが、あれはどういう意味だったんだろう。年末年始に読んでみるか。

雑談:今年も残り1ヶ月

水色チェックマークのあるタイトル作品のネタバレを含みます

今年も残り1ヶ月、ということで確定申告やらふるさと納税枠の確認やら、Kindle月替わりセールの確認やらFGOショップの仕入れやら、あとは仕事やらで正に師走感を味わった。頭がパンパン。今日は本も読まずに大人しく終了。