「2022年5月」の記事一覧

終末旅行がはじまるぞ!

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始まらんやないかい!(ニコニコ動画で『少女終末旅行』アニメ全話一挙放送が始まったと思ったら追い出された)

少女終末旅行 / つくみず

原作の漫画はだいぶ昔に一通り読みました。滅びを待つだけの終末世界の雰囲気が好きだったのでワクワクしたし、残された機械や人工知能の役目なんかも哲学的で面白かったな。アニメは原作に追いつかず、途中までで終わっているとのことでいつかは見てみたいなあと思いながらクリックしたら……はじまらんやないかい!(二回目)

どうやらAmazonプライムビデオにもアニメの収録があるようなので、折を見て試聴したいと思う。

簡単に、単純に考える / 羽生善治 

先日読んだ『人工知能の核心』が面白かったので対談本に手を出した。対談本好きなんだよな。これは面白いはず、と思って読み始めたのだが、一人目の時点ではあまり話が面白くない。なんだろう、対談者が羽生先生が天才っていう論調で進める結論ありきの引き出しで進めてくるからか?会話の受け答えにいまいちピンとこなくて首を捻る感じである。私にはまだ早すぎたのかもしれない。本日17%まで。

ダメもとで申し込んだ呪術廻戦の舞台チケットが当たりました。やったぜ。久しぶりに東京へ行こう。

エウリュアレLv90しか勝たん

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古代ギリシャのリアル / 藤村 シシン

藤村シシンさんのファンなので読んだ、と言いたいところだが、この本が出たのは大分昔では?ともあれ、ようやく読みました。読了。
ギリシャに対する「青い空、青い海、白い神殿」という漠然としたイメージが秒で崩されて笑ってしまった。あの白いパルテノン神殿も元々はインドの仏像のような極彩色の建物だったのに、ヨーロッパ的な「俺たちが考えたギリシャ」イメージで漂白されて作り上げられたものとのこと。1939年に発覚した、博物館のスポンサーに「大衆に受けるように白くしろ!」と指示された職員が金の装飾等を削ぎ起こしてしまったという世界で一番大きなスキャンダルだったそうだ。知らなかった。でも、そう言われてみれば、アサシンクリードのパルテノン神殿は色彩豊かだったように思える。
ギリシャに限らないが、恣意的に改竄された歴史はもう取り返しつかないんだよな。でも読み進めるうち、とにかく人間くさい動機でしょうもないことを主張し過ちを繰り返すギリシャの歴史に、微妙に親近感が湧いたりもした。なんだろうな、著者の書き手の妙なんだとは思うが、『なんでそんなことした!?』という気持ちがヘイトに向かないというか、まあ、生きてる人間はそういうもんだよなと感じられる温度の文章で面白かった。偉大な古代ギリシャを引っ張り出してきて、それを商売にして現世利益を優先した結果、古代ギリシャ以外のギリシャのイメージが皆無になってしまっているのも示唆に富む。また、ギリシャ神話の神々について少し詳しくなりました。
今、YoutubeのゲームさんぽでFGOのギリシャ陣営を追ってるっぽいので、こちらも引き続き追いかけたい。

ロボット工学三原則 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない

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羽生善治の『人工知能の核心』に出てきた「その芸術を創造したのが人間かロボットかの区別がつかず、またロボットが作ったとわかると評価を下げる人間の性」と、『ラーメン発見伝』に出てきた「大半の客はラーメンの味なんて分かってない。モナリザの贋作を見分けられる奴がどれだけいる?」みたいな話、さては同じでは?(それはどうかな)

われはロボット/ アイザック アシモフ

人工知能やロボットなどの本が続いたことで、「さすがにそろそろ読んでおいた方がいいのでは」という思いが強くなり、手に取った。かの有名な『ロボット工学三原則』で有名な1950年代のSF小説。ロボット心理学を専攻にしている研究者のおばあちゃんがいくつかの昔話を回想しながらインタビュアーに話す形式の短編集で、本日は子守ロボットの話までを読み終わった。1950年に出たSF小説なのに、もうロボットに仕事を奪われることを危惧する市民の心理描写があって、「人工知能に仕事を奪われる!」みたいな考えは70年前から出てたんだな〜ということが大層面白かった。まあでも、かつて産業革命もあったし、機械が人間の仕事を奪うという考えは当然といえば当然か。あとは、ロボット心理学というところで『TWIN SIGNAL』思い出しちゃったな。この小説が元ネタだったんだ。

あなたは誰ですか?

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人工知能の核心 / 羽生善治

読了。本が提示した、現代の「大量の情報を得ることに追われて、自分の頭で課題を解決する時間がなくなる」ことについては、既にいろんな方が問題提起している。確かに、昔のように特定の会や流派に所属していないと得られない知識などという場所による格差などは減りつつある。実際に情報に恵まれていることで、学習も検討もしやすく、全体のレベルも上がってきている。しかし、情報処理を行うだけでも脳のリソースは十分に使用されることになる。すぐに新しくなる情報を浴びるように受け、それに追いつくことに一杯一杯になると、自分で深く考えること・知見を広げる想像力に回すリソースが減るだろう。みたいな話だったと思う。
個人的な感想ではあるが、最新の知見・技術など、新しいことを取り入れるのが最も効率が良いとされるような前提が世の中にはあるような気がするな。自分が考えることはすでに誰かが深く考えているだろうし、それを見つけて解釈した方が早いとされる常識が根底にあるような気がする。
だから新しい情報を追い続けることにリソースを割くのは間違いではないと思うが、問題は「世の中のみんな」がそのような方法に飛びつくことが当たり前になることで、返って思考の独自性や多様性が世間から失われることである。誰もが同じことを同じように学習し、種族全体のレベルは上がるものの、個人を個人たらしめる個性による創造性は損なわれる。そもそもこの学習法をやり出したら、人工知能が上をいくのは分かりきっていることではないのか?人間にできることは何か?みたいなことを次々に投げかけられ、考えさせられる良本だった。

パラダイスロスト

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Youtubeで雑学系のチャンネルをよく見ているのだが、この「楽園を模した名に不自由ない環境下でネズミを繁殖させるとどうなるのか?」という実験の解説が面白かった。食糧や水源が無限にあって天敵が存在しない楽園であっても、文字通り鼠算式に個体数を増やした彼らは群れを作り、群れからはカーストができ、やがて何も守らず、そして他人に関心を示さない個体の割合が増える。出生率を死亡率が上回って、超高齢化社会で妊娠できるマウスがいなくなり、やがて全滅するという流れになるらしい。もう25回実験をして、全て全滅しているってすごいな。動画製作者の指摘として、「社会が社交的にさせているだけであって、人間は元来非社交的なのでは?」というのが面白かった。生命は眠っている状態が正常で、睡眠を妨げるもの・生命活動を維持する等の問題解決のために不快な覚醒を行う、みたいな説もあったし、考えると楽しくなる話だ。