子供向けのコーナーで見つけた本。よだかの星は今までちゃんと読んだことはないのだが、昔、岩手県花巻市にある『宮沢賢治童話村』へ行ったことがあり、なんとなくうっすらよだかの話を覚えていた。そのため、この本の表紙を見た瞬間、よだかの星って人間の話だっけ!?と思わず手に取ってしまった。もちろん違う。
よだかは、実にみにくい鳥です。
その見てくれから周りの鳥たちからも疎まれ、特に鷹からは「おまえが俺と同じ「たか」だなんて」と嫌われており、改名か死かを迫られる。よだかは、泣きながら生き足掻こうとして必死に羽ばたき続け、という子供向けの絵本の内容でサクッと読めてはしまうのだが、本全体から「そういえば宮沢賢治はこういう世界観だし、死生観だったな」と思い出させる雰囲気がすごい。とにかく字を目で追い続ける小説に没入する感覚もいいが、たまには、絵本の行間を読み、想像力を膨らませながらゆっくり目で追う絵本もいいなと思えた。